虚偽告訴罪

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虚偽告訴罪(きょぎこくそざい)とは、刑法が定める犯罪類型の一つで、他人に刑罰懲戒を受けさせる目的で、虚偽の告訴をする行為を内容とする。告訴だけでなく、告発その他の処罰を求めての申告も虚偽告訴罪となりうる。

虚偽の告発を行って人を貶めることを古くは讒訴(ざんそ)または誣告(ぶこく)といった。旧刑法下でもこの虚偽告訴罪のことを誣告罪(ぶこくざい)呼んでいた。

概説

保護法益は、第一次的には国家の適正な刑事司法作用という国家的利益であり、二次的に個人の私生活の平穏という個人的利益であると解するのが通説である。

そして、本罪が成立するためには、これら両者がともに危殆化されることを要する[1]

なお、本罪の有罪判決のほか公訴棄却免訴を含む本罪の「証明」となる確定判決は、本罪にかかる虚偽告訴によって有罪判決を受けた者について、再審請求の法定事由となる(刑事訴訟法435条3号、「有罪判決を受けた者を誣告した罪」という形で本罪が引用されている)。

虚偽告訴等罪

人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的で、虚偽の告訴告発その他の申告をした者は、3月以上10年以下の懲役に処する(刑法第172条)。

目的犯

本罪は目的犯であり、「人に刑事又は懲戒の処分を受けさせる目的」が必要である。なお、本罪は虚偽の申し出による被害者が存在する点で、虚偽の申し出における告訴告発の対象が存在せず、また事件も存在しない虚偽申告軽犯罪法第1条第16号)と異なる。

行為

本罪の行為は「虚偽の告訴、告発その他の申告」である。警察など司法機関に対する告発に限らず、行政機関に申告したり、弁護士会に対して弁護士の懲戒請求をする場合も本条に該当しうる。

虚偽告訴罪にいう「虚偽」の申告とは、客観的事実に反する申告を行うことをいう。申告者が自己の記憶に反して主観的に虚偽だと思って申告をしても、それがたまたま客観的事実に一致しているのであれば、国の捜査権が害されることはないので、罪にはならない。

自白による刑の減免

前条の罪(虚偽告訴等罪)を犯した者が、その申告をした事件について、その裁判が確定する前又は懲戒処分が行われる前に自白したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる(刑法第173条)。

関連項目

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脚注

  1. 林幹人 『刑法各論 第二版 』 東京大学出版会(1999年)454頁

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