蝦夷錦

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蝦夷錦(山丹服)

蝦夷錦(えぞにしき)・山丹服(さんたんふく)は、江戸時代アイヌ民族沿海州の民族との交易で入手した、雲竜(うんりゅう)などを織り出した中国産清朝官服のことである。

かつて、アイヌは北方のツングース系民族とも交流があり、彼らと山丹交易と呼ばれる交易を行っていた。ツングース系民族は大陸の中華王朝と交流があったため、中華王朝の物産がツングース民族を介してアイヌにも伝わった。その代表的な例が、蝦夷錦である。

江戸時代、アイヌは松前藩の半支配下に置かれ、不平等な交易をさせられた。その交易の中で、中華王朝のからツングース民族を介してアイヌにもたらされた満州風の錦の衣服が、松前藩にも伝わった。当時の参勤交代の際、松前藩主がその満州風の錦を着て将軍に謁見したところ、将軍は華美なその錦を大いに気に入った。以降、松前藩は錦を幕府に献上するようになった。

その際、松前藩はこれが清からもたらされたものだということを知っていたが、それを隠して蝦夷錦と呼び、錦の輸入を独占した。

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