葛西臨海公園

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葛西臨海公園付近の航空写真。1989年度撮影。国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成

葛西臨海公園(かさいりんかいこうえん)は、東京都江戸川区に所在する東京湾に面した都立公園である。沖合に隣接する葛西海浜公園についても、ここで述べる。

概要

両公園とも葛西沖開発事業で造られた都立公園である。

葛西臨海公園東京都建設局所管、開園面積は約81万平方メートルであり、上野恩賜公園(53万平方メートル)や新宿御苑(58万平方メートル)より大きい。都立公園としても、野山北・六道山公園(132万平方メートル)や水元公園(92万平方メートル)、小金井公園(79万平方メートル)と並んで最大規模の公園である。園内には日本有数の水族館や大観覧車があるほか、鳥類園や多種多様な植物を楽しむことができ、休日を中心に行楽地として賑わっている。

葛西海浜公園東京都港湾局所管、2つの人工干潟(西なぎさ:15ヘクタール)、東なぎさ:10ヘクタール)とその水域、約411ヘクタールから成る。葛西臨海公園を抜け、葛西渚橋を渡って入園する。東なぎさは環境保全ゾーンとなっていて、立ち入りが禁止されている。西なぎさは夜間の入園が制限されているが、初夏には潮干狩り、夏季には水遊びの家族連れ、また元日の明け方は特別に早朝開放されて初日の出の参拝客でも賑わう。

公園の配置

葛西臨海公園駅の南正面に開けた公園である。公園はいくつかのゾーンに分けられている。駅から南に向かって「海へのプロムナード」と呼ばれるメインストリートが延び、両サイドに水族園ゾーン、鳥類園ゾーンに道が分岐する。さらに直進すると、大きな広場に出る。この広場には水族園ゾーンの入口があり、海に進めば日本庭園の入口も見えてくる。この道は「汐風の広場ゾーン」の展望レストハウスで終わるが、大きな広場からは南西に第二のメインストリートが伸びており、これを進むと汐風の広場や葛西海浜公園に行くことができる。

水族園ゾーン(公園中央部東寄り)には葛西臨海水族園がある。これは年間入場者数日本一の記録を持つ、東日本で最も人気のある水族館といわれている。屋上は展望台になっており、ドームやヨットの帆が海面に浮いているように見える演出が為されている。

鳥類園ゾーン(公園東部)には広大な森の中に「上の池」(淡水)と「下の池」(汽水)が設けられており、池のほとりには「ウォッチングセンター」をはじめ、野鳥観察のための施設が点在している。鳥類園や葛西海浜公園の東なぎさは渡り鳥の休憩場所になっていて、沖合の浅瀬を餌場にする野鳥やそれを狙う猛禽類も飛来する。

芝生広場ゾーン(公園西北部)には園内にある宿泊施設ホテルシーサイド江戸川や「蓮池」、日本一の大きさを誇る観覧車「ダイヤと花の大観覧車」がある。大観覧車は開業後すぐに福岡市Sky Dream Fukuokaに日本一の座を奪われたが、2009年にSky Dream Fukuokaが廃業したため、再び日本一の座に返り咲いた。江戸川区においても船堀タワーホール(115m)を凌ぐ、最大級の建築物である。大観覧車付近には「芝生広場」があり、水仙菜の花コスモスなどが植えられた花畑がある。水仙は公園全体で20万本が植えられており、毎年1月から2月頃に「水仙祭り」が催されている[1]。蓮池は第一駐車場のすぐそばにある池で、中央に橋が架けられている。この池を渡って急な上り坂を登ると、「バーベキュー広場」がある。

汐風の広場ゾーン(公園南西部~南中部)は海に面していて、南中部の丘上にはガラス張りの展望レストハウス「クリスタルビュー」があり、海を一望できる。この丘は芦ヶ池の方まで広がっており、海抜ゼロメートル地帯の江戸川区を高波から守る防波堤の役割を担っている[2]。海に面した位置には芝生張りの大きな広場がある。第二のメインストリートを境に東西に分かれており、東側の「展望広場」はクリスタルビューの麓に広がっている。クリスタルビューから続くなだらかな斜面の一角には花畑が作られている。東側の水族館前の海岸には東京水辺ラインの船着場があり、水上バスでお台場海浜公園に行くことができる。西側の「汐風の広場」ではa-nation(2003年)やAKB48のライブ(2010年)が催されたこともある。西端には廃止された東京都観光汽船の水上バスの船着場があり、その先にも広場や「芦ヶ池」が広がっている。芦ヶ池は窪地で、日本庭園の方から流れてくる小川が注ぎ込んでいる。入口付近は岩場のようになっていて、吊り橋が架かっている。汐風の広場ゾーンは西側に広いので、2008年(平成20年)に一部を取り壊して東京オリンピックカヌー・スラーロム施設(鉄骨造、地上2階)を建設する計画が発表された[3][4]が、自然保護の観点から地元住民の一部や自然保護団体が反対し、またオリンピック誘致も無くなったため計画は白紙に戻った。

公園の南東部の、対岸に東京ディズニーランドを臨む江戸川河口付近には、「三日月干潟」と呼ばれる天然の浅瀬が残っている。

第二のメインストリートを直進すると、水路を隔てて葛西海浜公園の西なぎさがあり、「葛西渚橋」で渡ることができる。

葛西海浜公園では、東京ディズニーランドや東京湾アクアライン、房総半島や富士山などを一望でき、1996年(平成8年)には「日本の渚百選」に選ばれた。潮の流れが複雑なので遊泳はできないが、「西なぎさ」には砂浜があり、干潟で磯遊びを楽しむことができる。またスポーツカイトのメッカであり、2002年(平成14年)からは優先区域として「海風の広場」が設定されている。

自然

葛西臨海公園は、都が東京湾沿岸の汚染や埋め立てで破壊された自然環境を再生しようと整備されたものである。今では東京23区でも見ることが少なくなった動植物が、園内の森や池に生息している。主な動植物は、都が保護上重要な野生生物種に指定するアカシジミをはじめ、キアゲハなどのチョウ類や、トウキョウダルマガエルニホンアカガエルなど5種のカエルなど。また、鳥類では約170種類の水鳥、山野の鳥が確認され、渡り鳥の中継地にもなっている。

葛西海浜公園は、さらに沖合に広がる天然の三枚洲という干潟を保護・再生するために作られた公園である。二つの渚はそれぞれ潮流堤(西なぎさ:1690m、東なぎさ1474m)で区画を保護し、外から浚渫土や山砂を入れて造成された。「東なぎさ」は野鳥などの生態保護を目的として立ち入り禁止となっており、架橋されていない。現在は三枚洲と合わせて複雑な生態系が保たれているが、洪水対策が成された荒川・江戸川からの新たな自然客土は期待できない。そのため、干潟維持には継続した人工的な客土が必要であるが、客土により生態系が壊される懸念もあり、これらとどうバランスを取って管理していくかを含めて観察が続けられている。

データ

施設

アクセス

沿革

  • 1970年(昭和45年)- 東京都海上公園構想。
  • 1984年(昭和59年)- 葛西臨海公園基本計画の策定。
  • 1989年(平成元年)- 葛西臨海公園の一部開園。葛西臨海水族園の開園。
  • 1994年(平成テンプレート:06年)- 鳥類園の開園。
  • 2001年(平成13年)- ダイヤと花の大観覧車の完成。
  • 2003年(平成15年)- 葛西臨海公園を含む東京都の海上公園の新方針が策定された。「規制優先」から「利用優先」への転換などが提唱された[7]
  • 2006年(平成18年)- 東京都観光汽船の航路廃止。
  • 2013年(平成25年)- 葛西海浜公園西なぎさが、海水浴会場として海開きした。これは開園以来初であり、東京都区部の海水浴場としては51年ぶりの復活となる。[8]

関連画像

関連項目

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脚注

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外部リンク

テンプレート:東京都立公園

テンプレート:東京都立海上公園
  1. テンプレート:Cite web
  2. 広報えどがわ2008年1月1日号、江戸川区発行
  3. テンプレート:Cite web
  4. テンプレート:Cite web
  5. テンプレート:Cite web
  6. テンプレート:Cite web
  7. テンプレート:Cite web
  8. http://www.asahi.com/national/update/0826/TKY201308260039.html