般若経

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般若経』(はんにゃきょう)、正式名称『般若波羅蜜多経』(はんにゃはらみったきょう、テンプレート:Lang-sa-short, プラジュニャーパーラミター・スートラ)は、大乗仏教において、般若波羅蜜(般若波羅蜜多、智慧の完成)を説く多数の経典を総称した呼称。

紀元前後から作成・編纂が始まった、大乗仏教経典の中では最も早く作成・編纂が始まった経典群だが、下述するようにその後数百年に渡り、大幅な増広が繰り返されてきた。

一般にを説く経典とされているが、同時に呪術的な面も色濃く持っており、密教経典群への橋渡しとしての役割を無視することはできない。

般若経典一覧

  • 十万頌般若経』(じゅうまんじゅはんにゃきょう、十万頌般若波羅蜜多経、テンプレート:Lang-sa-short, シャタサーハスリカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ
    • 現存サンスクリット本に対応する漢訳はないため、鳩摩羅什(344年 - 413年)の時代には編纂されていなかった可能性がある。玄奘訳『大般若波羅蜜多経・第一会』との対応は明確でない。
  • 大般若波羅蜜多経』(だいはんにゃはらみったきょう、大般若経、テンプレート:Lang-sa-short, マハー・プラジュニャーパーラミター・スートラ
    • 玄奘西域から関連経典を持ち帰って漢訳し、集大成したとされる。全16部(会)600巻。
    • 『第二会』(第401巻-第478巻)は、上述した『二万五千頌般若経』(大品般若経、摩訶般若波羅蜜経)に相当する。
    • 『第四会』(第538巻-第555巻)及び『第五会』(第556巻-第565巻)は、上述した『八千頌般若経』(小品般若経)に相当する。
    • 『第九会 能断金剛分』(第577巻)は、下述する『金剛般若経』に相当する。
    • 『第十会 般若理趣分』(第578巻)は、真言宗で重用する『理趣経』即ち『大楽金剛不空真実三摩耶経 般若波羅蜜多理趣品』不空訳(720年 - 774年)と比較的近いサンスクリット本の翻訳とされている。
    • 『第十六会 般若波羅蜜多分』(第593巻-第600巻)は、登場する菩薩の名に因んで『善勇猛般若経』(ぜんゆうみょうはんにゃきょう)として知られる。
    • 日本の各宗派で儀礼的な「転読」が行われる経典として有名。

短編経典

  • 金剛般若経』(こんごうはんにゃきょう、金剛般若波羅蜜多経、テンプレート:Lang-sa-short, ヴァジュラッチェーディカー・プラジュニャーパーラミター・スートラ
    • その長さから「三百頌般若経」とも呼ばれる[2]
    • この経は「空」を説く般若教典の中で「空」という用語が使われていないため最古層に編纂されたものであるとする意見もある。
    • 漢訳は、玄奘『大般若経』「第九 能断金剛分」(660年-663年)や、『能断金剛般若波羅蜜多経』義浄703年)ほか計6本(7本)あるが、鳩摩羅什訳の『金剛般若波羅蜜経』(402年)が主に使用されている[3][4]
    • 空海請来と称するサンスクリット本があるが真偽のほどは明かではない。
  • 般若心経』(はんにゃしんぎょう、(仏説・摩訶)般若波羅蜜多心経、テンプレート:Lang-sa-short, プラジュニャーパーラミター・フリダヤ)
    • 「二十五頌」から成る最短の般若経典。
    • 最古のサンスクリット本が法隆寺に伝わる。(7~8世紀の写本とされている)
    • 残存する漢訳は、『摩訶般若波羅蜜大明咒経』鳩摩羅什訳(402年 - 413年)、『般若波羅蜜多心経』玄奘訳(649年)があり、こののちも4本残存するが、玄奘訳が人口に膾炙している。

日本語訳

大般若経全訳

個別経典

脚注・出典

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関連項目

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  1. CiNii 論文 - 金光明経の教学史的展開について14頁
  2. 『大乗仏典1』 長尾雅人戸崎宏正中公文庫 p326
  3. 「世界大百科事典 第2版」2006年 平凡社
  4. チベット語訳 『金剛般若経』 と 『法華経』 について 庄司 史生 p38