臨時駅

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臨時駅(りんじえき)とは、特定の期間のみ営業する鉄道駅

概要

設置される理由としては、海水浴場スキー場、花の名所など季節限定の観光地を訪れるために設置されるものや、付近の催事場でのイベント開催時のみに営業されるものが多い。その他、積雪の多い地方では利用の少ない駅の除雪の手間を省くために冬季営業休止とする例もある。営業期間が限定されているという性質上、プラットホームだけで駅舎がない駅も多い。

また、通年営業ではあるが、仮乗降場と同様に駅とするには利用が少なく、駅に比べて簡素な施設で設置された例がある。

臨時駅の中でも、年間を通して停車する列車が1本もない駅は「通年休止駅」と呼ばれている。

また、臨時駅から常設駅に格上げされたり、逆に常設駅から臨時駅に格下げされる例も見られる。

臨時駅までの運賃や料金の計算に関しては、その駅までの営業キロが表記されている場合はそれが適用され、表記されていない場合は次の営業キロが表記されている駅までのものが適用される。一方、営業キロが表記されていない臨時駅からの運賃や料金は、実際の乗車方向と反対の方向にあり、その駅から最も近く、かつ営業キロが表示されている駅からのものが適用される(旅客営業規則第71条)。

日本国有鉄道(国鉄)の臨時駅のうち仮乗降場同様に通年営業する駅については仮乗降場と同じく1987年の分割民営化と同時に常設駅に昇格している。国鉄時代は、1969年10月1日に統一されるまで仮駅または仮乗降場と、統一以降は臨時乗降場と称されていた。

「仮駅」と「仮乗降場」の違いは以下の通り。

  • 「仮駅」:海水浴場・スキー場・観光地など、毎年一時的に人出がある所に1か月以上6か月未満に限り設置する駅。設置の際には官報および鉄道公報に公示の上で隣接駅との間に営業キロ程を設定する。
  • 「仮乗降所」:観桜・祭礼など短期間(1か月程度以内)に人出が予想される所に設置する駅。もしくは災害・改築などで既設の駅が使用困難の際に別の場所に臨時に設置する駅。設置場所及び設置期間決定は鉄道管理局長の権限で、公示及び隣接駅間との営業キロ程の設定はない。

日本の臨時駅一覧

2013年9月28日現在、現存する臨時駅は、次のとおりである。

類型は以下の通り。

  1. 春季のみ営業する駅
  2. 夏季のみ営業する駅
  3. 春 - 秋にかけて営業する駅(俗に冬期休止)
  4. 夏 - 秋にかけて営業する駅
  5. 冬期のみ営業する駅
  6. イベント開催時のみ営業する駅
  7. その他(通年営業する駅)

*は通年営業休止中の駅

北海道旅客鉄道

東日本旅客鉄道

  • ベイサイドアリーナ駅気仙沼線・類型7)
  • 長部駅大船渡線・類型7)
    • BRT区間上に新設された駅であり、『JR時刻表』・『JTB時刻表』に臨時駅との記載がある。
  • 奇跡の一本松駅(大船渡線・類型7)
    • BRT区間上に新設された駅であり、『JR時刻表』・『JTB時刻表』に臨時駅との記載がある。営業キロが設定されていないため、気仙沼方面との間で乗車の場合は竹駒駅を、盛方面との間で乗車の場合は陸前矢作駅をそれぞれ基準としたキロ数で運賃を計算する。
  • 高田病院駅(大船渡線・類型7)
    • BRT区間上に新設された駅であり、『JR時刻表』・『JTB時刻表』に臨時駅との記載がある。
  • 碁石海岸口駅(大船渡線・類型7)
    • BRT区間上に新設された駅であり、『JR時刻表』・『JTB時刻表』に臨時駅との記載がある。
  • 猪苗代湖畔駅磐越西線・類型2, かつては類型4*)
    • 2007年以降、停車する列車が設定されていない。
  • 柿ノ木駅只見線・類型6)
    • 2013年3月16日に常設駅から格下げとなり、定期列車はすべて通過となった。
  • ガーラ湯沢駅上越線上越新幹線〕・類型5)
    • 『JR時刻表』および『JTB時刻表』には開設時期にのみ掲載されるが、時刻用には臨時駅の表示がない。
  • ヤナバスキー場前駅大糸線・類型5)
  • 偕楽園駅常磐線・類型1・6)
    • 下り線(水戸方面行き)にのみホームが設置されており、上り列車は当駅には停車しない。そのため、水戸方面からの上り列車で当駅を利用する場合は、一旦隣の赤塚駅まで乗車し、下り列車で折り返すことになる。反対に当駅から友部方面への上り列車を利用する場合、一旦下り列車で隣の水戸駅まで乗車し、上り列車で折り返す。営業キロが設定されていないため、友部方面との間で乗車の場合は水戸駅を、勝田方面との間で乗車の場合は赤塚駅をそれぞれ基準としたキロ数で運賃や料金を計算する。

東日本旅客鉄道、鹿島臨海鉄道

  • 鹿島サッカースタジアム駅鹿島線大洗鹿島線・類型6)
    • 元々貨物駅として開業した北鹿島駅に旅客施設を設置した上で改称し、サッカーの開催日に限り旅客扱いを行うようになった。旅客扱いのない日も運転扱い上の駅(信号場・貨物駅)として機能しており、路線・営業上も両線の境界駅であることから、時刻表には臨時駅の表示がない。

東海旅客鉄道

四国旅客鉄道

九州旅客鉄道

会津鉄道

  • 一ノ堰六地蔵尊駅会津線・類型6)
    • 一ノ堰盆踊りまつりの開催日に合わせ、2009年8月23日に「六地蔵尊駅」として設置された。まつり終了後の同年8月25日に廃止されたが、2010年以降も「一ノ堰六地蔵尊駅」としてまつり期間中に営業を行っている。

えちぜん鉄道

広島電鉄

臨時駅という名目ではないが、冬期に営業を休止する駅

かつて存在した日本の臨時駅

以下に例を示す。 テンプレート:節stub

常設駅に昇格

JR

私鉄

廃止

北海道旅客鉄道

  • 上音威子府駅天北線・類型3) - 1987年11月10日常設駅から格下げ(冬季休止)、1989年5月1日に天北線の廃線に合わせ廃止。
  • 東声問駅(天北線・類型6) - 1987年6月1日のみ営業。稚内空港新滑走路完成にあわせて設置。日本の鉄道駅における設置期間としては最短である。
  • 雨煙別駅深名線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ(冬季休止)、深名線の廃線に先立つ1990年3月10日廃止。
  • 政和温泉駅(深名線・類型3) - 1987年4月1日仮乗降場から昇格、1990年3月10日廃止。
  • 蕗ノ台駅(深名線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ(それ以前に冬季休止となっていた)、1990年3月10日廃止。
  • 白樺駅(深名線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ(それ以前に冬季休止となっていた)、1990年3月10日廃止。
  • 谷地坊主村駅(釧網本線・類型6) - 1987年8月8日・9日の両日のみ営業。
  • 静内海水浴場駅日高本線・類型2) - 1992年廃止。
  • フイハップ浜駅(日高本線・類型2) - 1993年9月24日廃止。JR企画の団体旅客専用。
  • 浜中海水浴場駅留萌本線・類型2) - 1995年8月8日廃止。
  • 智東駅宗谷本線・類型3) - 1987年4月1日常設駅から格下げ、2006年3月18日廃止(廃止時点で冬季休止中)。
  • 張碓駅函館本線・類型2) - 1990年9月1日常設駅から格下げ、1998年7月1日通年休止、2006年3月18日廃止。
  • (小樽博覧会)会場前駅(函館本線・類型6) - 1984年6月10日から1984年8月24日まで快速スリッピ号運行時のみ営業。小樽築港駅から浜小樽駅の支線の途上、小樽築港駅から約1 km地点に設置。
  • 北彩都あさひかわ駅(函館本線・類型6) - 2000年12月31日から2001年1月1日までのみ営業、旭川運転所に隣接して設置。
  • 吉岡海底駅海峡線・類型6)
    • 北海道新幹線に関するトンネル内の工事のため、2006年3月18日をもって定期列車の停車を取り止め、臨時列車のみ停車する「事実上の臨時駅」となっていた。その後、同駅に停車する「ドラえもん海底列車」が2006年8月27日で運行を終了したのと同時に、正式に臨時駅であることが時刻表に表記され、「通年休止駅」となっていた。ただし、2009年・2012年・2013年にJRが主催するツアー客用に臨時停車したことはある。2014年3月15日廃止。

東日本旅客鉄道

東海旅客鉄道

西日本旅客鉄道

九州旅客鉄道

  • 食と緑博覧会駅(日南線・類型6) - 1990年8月8日 - 9月16日、食と緑博覧会の開催中のみ営業。

秋田臨海鉄道

  • 秋田博覧会前駅(秋田臨海鉄道南線・類型6) - 1986年7月18日 - 8月25日、秋田博覧会開催中のみ営業。秋田駅から旅客客車列車が運行された。

仙台臨海鉄道

西武鉄道

豊橋鉄道

  • 鮎淵駅(田口線・類型2) - 1965年9月17日水害により休止、1968年9月1日廃止。夏期の鮎釣り解禁シーズンのみ営業。

江若鉄道

京阪電気鉄道

  • 大宮駅(京阪本線・類型不明) - 1920年6月15日廃止。

近畿日本鉄道

南海電気鉄道

  • 中百舌鳥運動場前駅(高野線・類型6) - 1958年5月10日廃止。その後、ほぼ同位置に常設駅の白鷺駅が1964年に開業。

阪急電鉄

北大阪急行電鉄

松浦鉄道

脚注

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関連項目

  • 「来年度も朝夕は増便 富山市の高山線活性化策、婦中鵜坂駅を存続」 北日本新聞 2010年12月2日朝刊
  • JTBパブリッシング『JTB時刻表』2014年3月号
  • 3.0 3.1 テンプレート:PDFlink - 東日本旅客鉄道仙台支社、2014年2月14日、同日閲覧。