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[[File:Liversteatosis.png|thumb|[[コンピュータ断層撮影|CT]]によって撮影された脂肪肝]] '''脂肪肝'''(しぼうかん、fatty liverまたはhepatic steatosis)とは、[[肝臓]]に[[脂肪]]が蓄積した状態を指す。 [[ガチョウ]]や[[鴨]]の肝臓を強制肥育によって肥大化させた高級食材「[[フォアグラ]]」や、稀に[[ニワトリ]]の雌鶏に見られる「白肝」も実は脂肪肝である。 == 臨床像 == [[image:Stage of liver damage.JPG|200px|thumb|脂肪肝による肝臓の変化。脂肪が蓄積して肥大(左)→[[肝細胞]]が[[壊死]]し、[[繊維|線維]]に置き換わって[[瘢痕]]となり(中)→[[肝硬変]]に至る(右)。]] 要因として以下がある。 *単純性脂肪肝 :[[肥満]]によるもの *アルコール性脂肪肝 :[[アルコール性肝疾患]]によるもの *非アルコール性脂肪肝(NAFLD:Non-Alcoholic Fatty Liver Disease) :[[非アルコール性脂肪性肝炎]](NASH:Non-Alcoholic SteatoHepatitis)によるもの *[[妊娠]]に伴うもの :[[急性妊娠性脂肪肝]](AFLP:Acute Fatty Liver of Pregnancy)は重篤に至るものもあり、場合によっては[[帝王切開]]を要する == 画像検査 == *[[腹部超音波検査|エコー検査]] :「'''肝腎コントラスト'''上昇(hepatorenal contrast)」(腎よりも肝が高エコー)や「'''肝脾コントラスト'''上昇」(脾よりも肝が高エコー)が見られる。また深部減衰(deep attenuation)もみられる。肝は腫大し、肝右葉下端が右[[腎]]下極よりも尾側に位置することがある。超音波が斜めに入射する[[胆嚢]]壁では、壁が不明瞭化する「'''fatty boundless sign'''」もみられる。 :限局性に脂肪沈着が多い部分・少ない部分がある場合、[[腫瘍]]と鑑別を要する。鑑別点は、門脈など正常の脈管構造の有無などである。 *[[コンピュータ断層撮影|CT]] :形態から肝障害・脂肪変性の評価を行う。脂肪変性に伴い脈管と実質の信号強度が正常肝と逆転することもある(肝実質がむしろ低吸収像となる)。 *[[核磁気共鳴画像法|MRI]] == 病理検査 == [[image:Non-alcoholic fatty liver disease1.jpg|thumb|250px|非アルコール性の脂肪肝疾病(NAFLD)の[[染色|マッソン・トリクロームおよびヴァーホフ染色]]による[[顕微鏡]]写真。大きな楕円形の空隙が脂肪滴、残った肝細胞は赤、死滅した細胞の痕に集まった線維が緑に染まっている。大きく膨らんだ脂肪滴が、圧迫により肝細胞の[[細胞核|核]]を変形させている。]] [[肝生検]]にての病理組織所見は決定される。基本的には[[肝細胞]]の脂肪変性が認められる。 *アルコール性脂肪肝 *非アルコール性脂肪肝 == 病態 == 砂糖を過剰に摂取すると、脂肪肝が生じる。砂糖が分解してできる果糖は、量に依存する肝毒性を示す。果糖は、肝臓でのみ代謝される。果糖は、肝臓や骨格筋にインスリン抵抗性を引き起こす。インスリン抵抗性が生じると、膵臓からのインスリン分泌が促される。過剰なインスリンによる高インスリン血症は、各種の臓器障害をもたらす。例えば、脂質異常症や肝臓の炎症をもたらす。<ref name="Taubes">[http://www.nytimes.com/2011/04/17/magazine/mag-17Sugar-t.html?pagewanted=all&_r=0 Is Sugar Toxic?] The New York Times、2011年4月13日 </ref><ref>[http://podcast.uctv.tv/webdocuments/Fructose-Epidemic.pdf The Fructose Epidemic] Robert H. Lustig</ref>。 == 治療 == [[アルコール性肝障害]]によるものであれば基本的に禁酒。[[非アルコール性脂肪性肝炎]]であれば、[[ダイエット]]等の食生活改善が基本。 コロラド州立大学のMichael Pagliassotti教授が、実験動物を、摂取エネルギー量の20%分を砂糖で飼育したところ、その実験動物には、数ヶ月後には脂肪肝が生じて、インスリン抵抗性が生じた。砂糖をやめたところ、脂肪肝は速やかに消失し、インスリン抵抗性も消失した<ref name="Taubes"/>。 == 抗脂肪肝ビタミン == 糖アルコールの一種である[[イノシトール]]は、抗脂肪肝ビタミンとも呼ばれ、肝臓における[[中性脂肪の合成]]を抑える働きがある。 == 関連 == * [[肝臓学]] * [[消化器学]] * [[ケトーシス]] * [[脂肪肝出血症候群]] * [[日本肝臓学会]] * [[肥満症候群]] {{DEFAULTSORT:しほうかん}} [[Category:消化器病]]
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