翻訳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
翻訳家から転送)
移動先: 案内検索

テンプレート:WikipediaPage

テンプレート:Sidebar with heading backgrounds

翻訳(ほんやく)とは、Aの形で記録・表現されているものから、その意味するところに対応するBの形に翻案することである。最も身近なものとして、言語における翻訳があり、あるソース言語(source language)によって表現された文章を、別のターゲット言語(target language)で表現することを指す。

概要

異なる言語間で意味を翻案する中で、特に記述された文章(原語文)を他言語で記述する作業を翻訳と呼ぶことが多い。一方、発話を別言語に置き換える作業は通訳と呼ばれる。元の文を原文、翻訳で成立した文を訳文・翻訳文と言い、原語である元の言語のことをソース言語、翻訳で成立した文を訳語・翻訳語のことをターゲット言語と言う。

実際の翻訳作業は、ソース言語からターゲット言語へその言語間で対応する語彙を用い、対応する文法を用いて翻案することが多い。場合によっては、元々の意味の機械翻訳(機械的に対応する単語を当てはめてゆく方式の翻訳)が行われることもあり、これを直訳と言ったりもする。しかし、それだけでは訳文が文章として成り立たない場合、文章中の個々の単語の対応にこだわらず、意味だけを移す作業が行われる。これが、意訳と呼ばれるものである。

このような両言語から対応するを選定する作業において、単語は言語間で一対一で対応をしているとは限らないことが問題となる。つまり、あるソース言語では1語で表される概念が、別のターゲット言語では複数の語(複数の概念)にまたがっていることが問題となる。これは、文学作品でのニュアンスや語感の再現や、言語による色の表現などで顕著になる問題である。

例えば、の色の数は、日本では7色とされているが、他の地域や文化によっては7色とは限らない。また、日本語で「」と呼ばれるものに緑色の植物や信号灯が含まれるのも、単純に単語を置き換えることができない顕著な例である。なお、このような一対一の対応がないという問題は、コンピュータによる自動的な機械翻訳の実現が単なる単語の差し替えでは不充分であることにもつながっている。

さらに、場合によってはターゲット言語に対応する概念が見当たらないこともあり、この場合は翻訳が難しくなる。

なお、近年ではコンピュータの発達に伴って機械翻訳という言葉はコンピュータが自動的に行う翻訳を指すようになり、そのようなコンピュータによる翻訳と人間の手による翻訳とを区別するために、人間によって翻訳が行われることを、人力翻訳と言う場合も見受けられる。

重訳

重訳とは、A言語→X言語→B言語、という風に、いったん他の言語に翻訳された版を参照し、さらに他の言語へ重ねて翻訳する方法。ソース言語であるA言語からターゲット言語であるB言語へ直接翻訳を行うことが、何らかの事情により困難な場合に行われる。

宗教書を例にとると、仏典の場合はサンスクリットパーリ語の版から漢訳し、さらに日本語へ重訳されている。新約聖書の場合はギリシア語から他言語を経た版が日本語へ重訳されている。

翻訳料

職業として翻訳を行う者を翻訳家もしくは翻訳者と言い、彼らは翻訳を行った対価として翻訳料を徴収している。

一般に、翻訳料には、印税方式と請負方式(ワード方式、単発方式)などがある。印税方式とは、出版物や楽曲など著作物の著作者・著作権者に対し、出版社やレコード会社や大手企業などの利用者が利用実績に応じて、著作者・著作権者・翻訳家らに対して支払う対価をいう。

一方、ワード方式とは、翻訳会社や財閥クラスの一流企業がフリーランスの翻訳者に対して翻訳を発注する際の計算方式で、一般的にワード(翻訳の数量的最小単位。英語1単語を1ワードという)あたりの単価×ワード数で当該案件の金額が決まってくる方式をいう。専門分野や発注会社にもよるが、セミプロで1ワード10円、プロで1ワード15円~30円、特許権などの特殊翻訳や一流翻訳者の場合で1ワード40円前後というのが2010年以降の最近の業界の相場である。一見安いように見えるが、1ワードは言語の最小単位であり、最近のマニュアルや専門書は年々分厚くなってきており、1冊(1業務)あたりのワード数は20万語から30万語を越えるものも多く、1か月1冊年間12冊以上翻訳すれば、セミプロ・クラスでは年収200万円前後、ベテラン・クラスや一流翻訳者になると年収2,400万円から3,000万円程度である。実情は、平均的には、フリーランスの翻訳者の場合、300万円から600万円というのが相場である[1] 。しかし、一流翻訳者になると年収2,400万円以上というケースもあるのも事実である。[2]

社会貢献

職業としての翻訳家であるか否かを問わず高度な語学力を有する者は、地方公共団体特定非営利活動法人ジャーナリストなどに対して翻訳ボランティア活動を行うことが可能である。たとえば、名古屋市における名古屋国際センターは、在日外国人の支援活動の一環として翻訳・通訳ボランティアを募集している[3]。また、東日本大震災の発生時に東京外国語大学の有志の学生たちにより「地震発生時緊急マニュアル」が作成され40か国以上の言語に翻訳された[4]

関連項目

テンプレート:Sisterlinks

脚注

  1. 翻訳年収。Copyright (C) 年収, All rights reserved.
  2. 翻訳年収2,400万円は、いかに生まれるか。翻訳者・水野麻子。Copyright (C) 水野麻子, All rights reserved.
  3. 登録ボランティア制度について名古屋国際センター、2012年9月11日閲覧)
  4. Japan earthquake how to protect yourself (地震発生時緊急マニュアル)、日本語・英語・その他の言語、東京外国語大学の学生たち、2012.3.3開始、2012年9月11日閲覧


テンプレート:Language-stub