消防庁

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テンプレート:混同 テンプレート:行政官庁 消防庁(しょうぼうちょう、Fire and Disaster Management Agency, FDMA)は、日本の消防活動を統括する総務省外局である。

なお、混同されがちな「東京消防庁」は全く別の東京都の組織であり、区別するため「総務省消防庁」と呼ばれる場合も多い。

概要

国家行政組織法第3条第2項及び消防組織法第2条に基づき設置され、日本の消防行政企画・立案、各種法令・基準の策定など行う。職員は消防吏員ではなく、実働部隊を持たない(消防車両「支援車」を所有するが、実際の維持管理は貸与先の自治体が行なっている)。自治体消防への直接的な指揮権はなく、助言や指導、調整等にとどまる。これは、日本の消防は警察と違い、完全に地方自治体が管理・運営しているためである。

国民保護法の施行に伴い、消防庁には武力攻撃事態等における国民保護の国と地方公共団体との総合的な窓口としての役割が与えられた。

災害時の非常対応も行うが、2003年以前のアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁のような非常災害時の公的機関に対する統括指揮権の掌握はできず、内閣危機管理監や、最終的には首相官邸に設置される対策室や、内閣に設置させる災害対策本部などが指揮する。これに対し、消防庁に災害発生時や緊急事態発生時の公的機関に対する一元的な指揮権を与えるべき、という意見も存在する。

沿革

  • 1947年昭和22年)1月15日 - 内務省警保局消防課を設置。同年末、内務省廃止。
  • 1948年(昭和23年)3月7日 - 消防組織法施行。新しく設置された国家公安委員会国家消防庁を設置。内部部局として、管理局及び消防研究所を置く。
  • 1951年(昭和26年)8月1日 - 消防講習所附属機関として設置。管理局教養課の下部機関から昇格。
  • 1952年(昭和27年)8月1日 - 国家消防庁を改組し、国家公安委員会に国家消防本部を設置。管理局は廃止し、消防研究所は本部の附属機関とする。
  • 1959年(昭和34年)4月20日 - 消防講習所を改組し、消防大学校設置。
  • 1960年(昭和35年)7月1日 - 自治庁を改組し、自治省設置。国家消防本部は国家公安委員会から分離し、自治省の外局である消防庁に改組。
  • 1961年(昭和36年)7月1日 - 消防庁に次長を設置。
  • 2001年平成13年)1月6日 - 中央省庁再編により、消防庁は総務省の外局となる。
  • 2001年(平成13年)4月1日 - 消防研究所を分離し、独立行政法人消防研究所に改組。
  • 2005年(平成17年)8月15日 - 消防庁に内部部局として国民保護・防災部を設置。
  • 2006年(平成18年)4月1日 - 消防大学校の内部組織として消防研究センターを設置。独立行政法人消防研究所を廃止し、その業務を承継。

組織

幹部

消防庁長官は、総務官僚出向者が就任する。

内部部局

他庁と違い、官房は置かれていない。

  • 審議官
    • 総務課
      • 政策評価広報官
    • 消防・救急課
      • 救急企画室
      • 救急専門官
    • 予防課
      • 消防技術政策室
      • 危険物保安室
      • 特殊災害室
      • 違反処理対策官
      • 国際規格対策官
      • 設備専門官
  • 国民保護・防災部
    • 防災課
      • 国民保護室
      • 国民保護運用室
      • 応急対策室
      • 防災情報室
      • 災害対策官
      • 広域応援対策官
      • 震災対策専門官
      • 国際協力官
    • 参事官

審議会

施設等機関

職員

消防庁職員は消防吏員ではなく、総務事務官または総務技官である。また、国民保護法の施行に伴い「国民保護・防災部防災課国民保護運用室長」には自衛官が充てられている。旧自治省外局の際は自治事務官・技官という身分であった。

消防庁の業務は主に全国消防制度の企画と立案、消防関連の研究、自治体消防の幹部消防吏員の教育程度であり、ごく一部の大規模災害を除けば、実質的な消防活動全般や広域指揮は取り扱っておらず、それらは地方公共団体による消防機関が消防庁から完全に独立して行っている。

よって、地方公共団体の消防機関を指揮下に置く必要がないため、警察管区警察局のような地方機関は置かれず、消防庁の組織の規模も警察庁に比べて小さい。警察における「警察官僚」のような、生え抜き官僚という概念は存在せず、消防庁職員の身分も消防吏員ではなく総務事務官または総務技官、つまり「総務官僚」であるため「消防官僚」という言い方は用いない。

また、警察庁に所属する警察官僚が警視庁道府県警察へ出向してその中枢を掌握するのに対して、消防の場合は消防庁に所属する官僚が各自治体消防へ出向するという人事は、入庁後、約2年の本庁勤務後の地方の消防機関への出向(地方消防機関の消防学校初任科課程研修を含む。)及び地方の消防機関の幹部への出向を除き、多くはなく、消防庁職員が各自治体の消防活動に介入することもない。消防吏員は全員地方公務員であり、警察官のように地方公務員としての採用者でも、警視正以上の階級になれば国家公務員になるというような規定もなく、国の消防庁と自治体の消防機関は完全に独立している。「消防キャリア」という表現もなく、この場合は「総務キャリア」である。

消防吏員のトップの役職は消防本部ごとに設置されている「消防長」であり、消防吏員の最上位階級である「消防総監」は東京都(23区及び受託地域)の消防本部・東京消防庁の消防長である。

業務上も、警察の場合は広域捜査公安捜査、警備実施や全国交通取締り等の全国的警察活動は警察庁が全国に号令をかけて行うのが通例であるが、消防の場合、全国的規模で行わなければならない業務というのが大規模災害以外はほとんどない。

職名章と制服

消防庁職員には消防吏員階級及び階級章に準じた職名章が定められている[1]。また、通常時はほとんどの場合私服(背広)での勤務であるが、状況により消防吏員の物に準じたデザインの制服制帽・活動服(作業服)・アポロキャップ安全帽等を着用することもある。

警察庁警察官巡査巡査長がいないのと同様、消防庁職員にも消防司令補相当級以下の職員はいない。

脚注

  1. http://www.fdma.go.jp/ugoki/h1701/16.pdf

関連項目

外部リンク

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