維新
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維新(いしん)は、「変革」の意味を持つ語句である。和訓では「これあらた」と読む。
日本では天保元年(1830年)、水戸藩の藤田東湖が藩政改革への決意を述べる際に、『詩経』「大雅・文王篇」の一節である「周雖旧邦 其命維新(周は旧邦なりといえども、その命これ新たなり)」を引用して用いたのが最古とされている。それより少し遡る安永8年(1779年)、平戸藩主の松浦清(松浦静山)が藩校を設立した際、校名を「維新館」と名付けたことに対し、幕府から「維新とは不穏当である(倒幕の意思ありか)」と問責されているが、その後も校名に変更はなかった。これもまた『詩経』より採られたものであった。
なお、『日本書紀』大化2年(646年)3月の記事に、大化改新の詔に応じた皇太子(中大兄)の言葉として「天人合応厥政惟新」とあり、「天も人も合応(こた)へて厥(そ)の政(まつりごと)惟(これ)新(あら)たなり」と訓まれている。依拠した漢籍文は不明。
「維新」と付けられた思想、名称など
- 明治維新 - 日本では単に「維新」と呼ぶ場合、これを指すことが多い。
- 維新 (阮朝) - ベトナム阮朝の元号(1907年 - 1916年)。阮福晃(維新帝と呼ばれる)の治世で用いられた。
- 維新体制 - 大韓民国の大統領朴正煕が標榜した政治スローガン。
- 大正維新 - 大正改元時に、新宗教大本教の出口王仁三郎が唱えた政治的宗教思想。
- 昭和維新 - 五・一五事件・二・二六事件などのスローガン。
- 世界維新戦争 - 太平洋戦争当時、日本人の中で言われていた言葉。
- 平成維新 - 現代(平成年間)における変革・維新を示すときに使われる。大前研一の平成維新の会など。
- 新世紀維新 - 小泉純一郎首相が、自身の行う構造改革を所信表明演説にて「新世紀維新」と称した。また、大曲全国花火競技大会の2009年(第83回)のテーマとして「新世紀維新・武士道」が使用された。
- 大阪維新の会 - 橋下徹の大阪都構想に基づいた政党。西の大都市大阪から地域分権と地域活性化を目指す思想である。
- 日本維新の会 - 日本の政党。大阪維新の会の流れを汲む。
- 維新政党新風 - 日本の政治団体。
- 西尾維新 - 日本の小説家。
- プロレス維新(または維新革命) - 1980年代に長州力が唱えた、プロレス界の世代闘争を示す。その派閥は「維新軍団」と呼ばれた。
- 維新力 - 元大相撲力士の四股名、後にプロレスラーに転向しリングネームとなった。