絶体絶命都市

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テンプレート:Infobox絶体絶命都市』(ぜったいぜつめいとし)は、アイレムソフトウェアエンジニアリングより2002年4月25日に発売されたPlayStation 2(PS2)用ゲームソフト2004年9月16日には廉価版が「PlayStation 2 the Best」で発売された。

海上に構築された架空の人工島都市「首都島」を舞台に、地震によって崩壊した都市から脱出することを目的としたアクションアドベンチャーゲームで、次々と地震で崩れていく建物や街を、道具などを駆使して探索しながらゲームを進行させる。

韓国では日本と同一タイトルで、北米では Disaster Report'欧州では SOS The Final Escape というタイトルで発売されている。

2013年1月5日から21日にかけて、劇団エリザベスにより「【舞台版】絶体絶命都市 ―世界の終わりとボーイミーツガール―」が上演された。

ゲームシステム

主人公である須藤真幸(デフォルト名)をプレイヤーが操作して、大地震後の崩壊した人工島の首都島から脱出する。避難の途中で手に入れたアイテムを活用し、知り合った仲間と協力して、余震で崩れ行く建物や倒壊する高速道路などから身を守りながら、安全な場所を目指して移動する。余震の起こるタイミングや建物の崩壊は、ランダム性は無く決まった通りに起こるので、反射神経や予測能力がなくとも一度ゲームオーバーを経験すれば2度目以降は比較的楽に危機を切り抜けることが可能である。

ジャンルは「アクションアドベンチャー」である。地震や地震に伴う災害から避難するというゲームの性質に加えて、主人公が民間人という設定であるため、プレイヤーが要求される行動はほとんどが逃げ回ることのみなので、同種のジャンルでも『メタルギアソリッド』・『バイオハザード』などのゲームとは趣が大きく異なる。ゲーム制作の際、実際に地震で被災した街を参考にしているため、地震で崩壊した街がリアルに表現されている。作中に登場する大通りの名称は、南北線は月 (暦)の和名、東西線はそれにちなんだ餅の名である。

主人公は、ゲーム内の状況に応じて様々な行動をとる必要があるが、歩く・走る・ジャンプなどの移動に関係する行動をとると、それに応じて主人公の喉が渇くよう設定されている。喉の渇きは、HP(体力)ゲージの下にある「QPゲージ」にブロック単位で表示されており、難易度によって最大ブロック数が異なる。主人公が激しい行動をとれば、喉の渇くペースは比例して速くなる。喉の渇きが一定のレベルに達すると、動きが鈍くなって主人公の行動に制限が加えられてしまう。それを防ぐためには、ゲーム中随所に設置されている水道(または給水車)で水分を補給しなければならない。水道は、セーブポイントをかねている。また、アイテムとしてペットボトルを入手した場合、水を汲んで持ち運ぶこともできる。途中で知り合う仲間(パートナー)に水を飲ませることもできる。なお、ペットボトルを使ってできることは喉の渇きを回復することと水をあげる、捨てるのみで、セーブはできない。

取得したアイテムは、所持しているバッグなどに収納される。特定のアイテムを除いては、アイテムはバッグ内でブロック単位で区分けされ、バッグの許容搭載量を超えていると、アイテムを新たに取得することができない。なお、一部のアイテムは組み合わせることで、新たなアイテムを作ることも可能。

ゲーム中で主人公がとった行動により、パートナーを組むヒロインが替わることがある。また、ゲーム中で主人公がとった行動や、組んだパートナーによってエンディングの内容が変わる。エンディングは全部で7つで、中には主人公がパートナーを見捨てて脱出するものや、最終的に首都島と運命を共にするものがある。

ゲーム内の各所にコンパス(方位磁石)が隠されており、オプション設定で手に入れたコンパスを画面上で表示されるコンパスとすることが可能。コンパスの種類は実用的なデザインから冗談デザイン、アイレムのゲームキャラクターをモチーフとしたものなど多数用意されており、コレクションアイテムとして集めることができる。集めたコンパスは、ゲーム二周目以降に持ち越すことができる。

ストーリー

2001年。政府が十数年前から手がけていた一つのプロジェクトが完成した。人工島の建造である。それは国内の最新技術が注ぎ込まれた、従来の物を遥かにしのぐ規模のものであった。

建造に用いられた新工法は、従来の埋め立てに比べ深い海域での土地造成を可能とし、またコストが低く工事も短期間で住むという画期的なものであった。そのため国内のみならず、各国の人口過密都市からも注目されていた。政府は人工島建造技術を重要な輸出品目の一つと捉え、実用に耐えうる信頼性を世界へ向けて実証すべく、首都機能の移転を決定した。そのためこの島は「首都島」と呼ばれるようになった。

2005年6月。報都新聞の記者である須藤真幸は、赴任先の「首都島」の支局へ移動中、新交通システム[うみつばめ]本島方面行空港島連絡橋で大地震に遭遇する。避難の途中で救出した女子大生相沢真理と共に、崩壊が進行し徐々に水没をする首都島から脱出を試みる須藤だが、行く手には様々な困難が待ち受けていた。

様々な障害を乗り越えながら避難を続けるうち、須藤はこの大地震の本当の原因と首都島に隠された陰謀を知ることになる。同じく首都島の秘密を追うフリージャーナリストの陣内晃二と協力し、謎の武装した黒服の男達に襲われつつもかわしながら次第に島の真相へと近づいて行く。

主な登場人物

メインキャラクター

須藤 真幸(すどう まさゆき 声:ヤマモトヒロフミ

年齢 25歳/身長 175㎝/体重 65kg

本作の主人公。報都新聞の記者。クォーターで祖父がイギリス人。首都島支社に転属になり、そこに向かう途中の電車の中で被災する。名前はデフォルトであり変更可能。
相沢 真理(あいざわ まり 声:前田ゆきえ

年齢 20歳/身長 163㎝/体重 45kg/血液型 A型

本作のヒロイン。女子大生。旅行のため空港島に向かう途中の電車で被災したが、実際は震災発生1日前のチケットを持っていた。愛犬家で、飼い犬を助けるためなら命も惜しまない。
比嘉 夏海(ひが なつみ 声:立野香菜子

年齢 17歳/身長 158㎝/体重 41kg/血液型 O型

本作のもう一人のヒロイン。女子高生。遊園地で弟と遊んでいる時に被災し逃げ遅れた。沈みゆく首都島で弟を探す。
陣内 晃二(じんない こうじ 声:松本保典

年齢 30歳/身長 185㎝/体重 75kg/血液型 A型

フリーのジャーナリスト。元報都新聞記者。首都島の隠された秘密を探っている。多少性格が悪いが正義感は強い。彼に関する複数のサブイベントが存在するが、クリアしても礼を言われるだけで特典はない。その後、スナイパーに射殺され、「絶対に記事だけは書き上げるんだ」と言い残し、死亡する。

サブキャラクター

村田 信吾(むらた しんご 声:緒方賢一

年齢 75歳/身長 165㎝/体重 65kg/血液型 A型

主人公が避難の途中、半壊したビルの中で会う老弁護士。住民から相談を受けて首都島の調査をし、首都島に欠陥がある可能性を考えている。重傷を負っており身動きが取れない。その後、ビルの崩壊に巻き込まれ死亡する。
村田 美智子(むらた みちこ 声:百武彰子
村田信吾の妻。夫とともに半壊したビルに閉じ込められている。孫の写真を見せると喜ぶ。その後、ビルの崩壊に巻き込まれ死亡する。
西山 秀朗(にしやま ひであき 声:中田雅之

年齢 48歳/身長 163㎝/体重 71kg/血液型 O型

高所恐怖症の報都新聞首都島支社編集長。災害発生後も自ら社屋に留まり記事を書き続けている。人使いがかなり荒っぽい。怪我をするも、ヘリで救出された。
比嘉 春彦(ひが はるひこ 声:葉月絵理乃

年齢 10歳/身長 148㎝/体重 38kg/血液型 B型

夏海の弟。平崎病院の避難所にいたが、姉を探しに行き行方不明になる。夏海を「お姉ちゃん」と呼ぶ。
堀田 伸治(ほりた のぶはる[1] 声:麻生智久

年齢 39歳/身長 169㎝/体重 58kg/血液型 AB型

島内にある平崎病院に勤務する医師。陣内のいとこ。災害発生後も島に残り、負傷者の手当てを続けている。眼鏡をかけている。
都築 孝司(つづき たかし 声:小野健一

年齢 41歳/身長 166㎝/体重 73kg

島に残り、島民の避難を誘導している警察官の一人。一見落ち着いて見えるが、家族は先に避難しており内心ではいち早く島を離れたいと思っている。
飯坂 俊哉(いいさか としや 声:小川一樹

年齢 24歳/身長 178㎝/体重 80kg

島に残り、島民の避難を誘導している警察官の一人。まだ新米警官だが、正義感と気概に溢れている。
竹辺 幸(たけべ ゆき)

年齢 34歳/身長 160㎝/体重 55kg

商社勤務のOL。被災のショックからか理性を失い、宝石店で宝石をあさっている。主人公の行動次第でその後宝石を渡してくる。実はちゃっかり終盤でヘリで救助されている。
杉山 義博(すぎやま よしひろ)
嵩原建設の社員。血塗れで倒れており会話直後に息を引き取る。八田の秘密を知っている模様。
新崎 良嵩(しんざき よしたか 声:小野健一

年齢 56歳/身長 170㎝/体重 66kg

相沢の叔父で、首都島管理センターの所長。かつては首都島工事の責任者であり、八田が仕組んだ首都島建造に必要な土砂の採取中に起きた事故で家族を失っている。その後、その事実を隠していた八田が「政府に復讐するために一緒に首都島を崩壊しよう」という発言のおかげで立ち直り、一緒に首都島を崩壊することにした。そして、主人公とヒロインの目の前で八田とともに心中する。
八田 巧(はった たくみ 声:麻生智久

年齢 56歳/身長 160㎝/体重 80kg

第三特別行政区土地造成局局長。新首都建設当時から政治方面で関わっており、新崎とも関係が深い。黒服の武装した2人組の男を従え首都島内を暗躍する。その後、主人公を追い詰めるも、新崎の心中に巻き込まれ死亡する。
スキンヘッド
八田に雇われた黒服の2人組の男の1人。バズーカを持っている。主人公がスキンヘッドに見つかる(彼の視界に入る)とバズーカで撃たれ、一発で絶命する。主人公をビルの中に追い詰めるも、ヘリの爆発に巻き込まれ死亡する。
スナイパー
八田に雇われた黒服の2人組の男の1人。スナイパーライフルを持っている。レーザーサイトで主人公を狙う。主人公に弾が命中すると一発で絶命するが、アイテム次第では1発だけ耐えられる。陣内を射殺するも、その後ビルの崩壊に巻き込まれ死亡する。
秋山(あきやま)
第4海洋救助隊の一人。主人公に「空港島連絡橋は危険だから本島に行くように」というメモの入った非常持ち出し袋を落としていく。その後、救助活動をしている。
ゲン
相沢の愛犬。相沢に心配をかけている。

ステージ

前半
空港島連絡橋
かがみ海浜公園周辺
倒壊ビル
オフィス街
建設工事現場
半壊したビル
分岐 相沢ルート
如月水道周辺
さくら むつき交差点
相沢宅周辺
地下鉄むつき港駅
地下の巨大空洞
地下鉄さくら線線路
分岐 比嘉ルート
雨上がりのビル街
遊園地周辺
住宅街
比嘉宅周辺
平崎病院周辺
分岐収束~ラスト
報都新聞社周辺~崇原建設ビル
さつき公園
メイ・スタジアム
かしわ通り周辺~pbプラザビル
水無月運河周辺~首都島管理センター
首都島パークビル
アイランドマークビル
首都島セントラルタワービル

首都島

1986年。首都の人口過密の対策と地方行政の活性化を狙って計画された首都機能移転の際、複数の地域に移転させる分散移転を行うことが決定された。

そして3番目の移転先に選ばれたのがN県平崎島の周辺で、島を中心に土地造成を行って50万人の人間が暮らせる都市を建設する計画が立案され、埋め立てには嵩原建設の開発したハチの巣状に土台を建造するハニカム・ケーソン工法を採用することも併せて決定した。この工法は従来の物より深い海域での土地造成を可能とし、低コストで工期も短くて済む画期的な物であり、各国の人口過密都市から注目されていた。

そのため政府はこの人工島建造技術を重要な輸出品目としてとらえ、信頼性をアピールすべく首都機能の移転を早々に決定したのだった。こうして2001年に完成した人工島はビルの立ち並ぶ巨大海上都市となり、首都機能の移転によって「首都島」と呼ばれるようになった。

街や運河のある本島、空港のある空港島、そして空港島と本島を結ぶ空港連絡橋によって構成され、地下には地下鉄が走り雨水対策用の調節池と水路が張り巡らされている。この地下の調節池は雨水を排出するときに唸りや振動を引き起こし、度々苦情が出されていた。

そして2005年6月21日、首都島周辺でマグニチュード6の地震が発生。地震の規模に対して異常と言えるほどの被害を出した首都島は沿岸部から崩壊をはじめ、災害発生から3日後には地震によって発生した40mの津波の直撃を受け完全に水没した。

被害は死者行方不明者2000人以上という大きなもので、本土では大きな被害が出なかったことから専門家の間では首都島の構造の問題を指摘する声も上がっており、事実調節池の場所と構造に問題があり、島の地下に穴が開き過ぎているという欠陥が村田弁護士によって突き止められていた。

シリーズ作品

2006年には続編である『絶体絶命都市2 -凍てついた記憶たち-』が同じPS2で発売、2009年には『絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-』がPlayStation Portableで発売された。2011年春にはPlayStation 3用ソフト『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』の発売が予定されていたが、東日本大震災の影響により、『4』の発売中止とシリーズ全作の生産中止がアイレム公式サイトなどで発表された。

脚注

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  1. 取扱説明書での名前。公式ガイドブックでは「しんじ」になっている。

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