紀伊田辺駅

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:駅情報 紀伊田辺駅(きいたなべえき)は、和歌山県田辺市湊塔ノ内にある、西日本旅客鉄道(JR西日本)紀勢本線(きのくに線)の

概要

田辺市の代表駅で、特急「くろしお」を含むすべての定期列車が停車する。阪和線から直通してくる普通列車は、当駅が終点であり、線内の普通列車で当駅を越えて運転されるのは、朝の周参見和歌山行き1本のみである。また、亀山駅から当駅までは単線だが、当駅から和歌山駅までは複線となる。

かつては紀伊田辺機関区が併設されており、D51形D60形C57形C58形などの蒸気機関車、入換用に、8620形C50形なども配置されていた。扇形車庫などもあり、和歌山機関区新宮機関区亀山機関区と並ぶ紀勢本線の重要な車両基地であった。現在も紀伊田辺運転区・紀伊田辺保線区・田辺電気区が設置され、紀南エリアの拠点であると同時に、紀勢本線運行上の要衝としての役割を果たしている。

歴史

ファイル:Kii Tanabe Station open.jpg
開業当時の駅舎(1932年)

1932年11月、紀勢西線の南部駅から当駅までの開通に伴い紀勢西線の終着駅として開業したのち、1933年12月には紀勢西線が当駅から紀伊富田駅まで延伸となったことにより中間駅となった。

第二次世界大戦後は、田辺地方引揚援護局の設置に伴い、主に台湾などからの戦後引揚者を輸送する引揚列車の起点としても重要であった。

年表

駅構造

単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、合計2面3線のホームを持つ地上駅で、構内に留置線があり、折り返しが可能である。また、ホームと接する線路の間にもう1本線路がある。単式ホームの1番のりば側に駅舎があり、島式ホームの2・3番のりばへは跨線橋で連絡している。駅舎は天井が高い洋館風で、1932年の開業当時に建設されたものである。

駅長が配置された直営駅であり、管理駅として周参見駅 - 岩代駅間の各駅を管理している。みどりの窓口が設けられているほか、自動券売機テンプレート:要出典範囲設置されているが、みどりの券売機および自動改札機は設置されていない。このほか、駅レンタカー業務も行っている。トイレは、設置されている。

テンプレート:要出典範囲。また、「こども110番の駅」にも指定されている[2]

当駅において、夜間滞泊を行う車両がある。

紀伊田辺駅プラットホーム
ホーム 路線 行先 備考
1 テンプレート:Colorきのくに線 和歌山天王寺新大阪京都方面 特急含む
2 テンプレート:Colorきのくに線 白浜串本新宮方面 特急含む
3 テンプレート:Colorきのくに線 白浜・串本・新宮方面  
御坊・和歌山方面
  • 上表の路線名は旅客案内上の名称(愛称)で表記している。
  • 1番のりばが下り本線、2番のりばが上り本線、3番のりばが上下副本線である。
  • 普通列車は入出庫の関係もあり、発着ホームは時間帯によって変わる(なお、到着後にホームで直接折り返す列車は3番のりばを使用)。特に和歌山方面への普通・快速列車の発着ホームは列車ごとに変動が大きい。

テンプレート:Double image aside また、2006年に施行されたバリアフリー新法への対応の一環として、新宮側に架設されていたそれまでの跨線橋を撤去したうえ、新たに御坊側に車椅子対応型エレベーター2基と跨線橋を約2億7000万円で設置(うち3分の1はJR西日本が負担)し、2009年3月29日から供用を開始した。なお、同日には完成記念式典が行われ、JR西日本和歌山支社長・仁坂吉伸和歌山県知事・二階俊博経済産業大臣真砂充敏田辺市長らが出席し、設備の完成を祝った。[3]

利用状況

1日の平均乗車人員は以下の通りである。[4]

乗車人員推移
年度 1日平均人数
1998 2,571
1999 2,481
2000 2,351
2001 2,272
2002 2,157
2003 2,109
2004 2,031
2005 2,000
2006 1,970
2007 1,956
2008 1,868
2009 1,733
2010 1,692
2011 1,578
2012 1,607

駅周辺

駅前広場は、田辺市の「都市再生整備計画」に伴う改修が事業化されている。中心市街地活性化の一環として行われるもので、一般駐車場の移設に伴いスペースを確保するとともに、公共交通機関の乗降場などが整備され、交通混雑の解消やバリアフリー対応がなされる。このほか、観光案内施設の建設も計画されている。工事は2012年7月から年度末にかけて行われる予定で、事業費は約4億1千万円とされている。[5][6][7]

駅舎改築をめぐる議論と改築着工へ

2013年9月、JR西日本和歌山支社が現駅舎を北西の隣接地に建て替える案を田辺市に提出していたことが報じられた[8]。JR側は1932年建築の現駅舎を耐震化する場合の経費や、現駅舎の場所での改築する場合の仮駅舎費用などがかさむことをその理由とし、予想される南海地震時の津波避難施設としても活用できる4-5階建てのビルとする構想で、2016年の完成後は現駅舎は取り壊すとされた[8]。これに対しては、現駅舎の位置を前提として市が進めている駅前広場整備事業への影響を懸念する反応[8]や、歴史的価値から現駅舎の保存活用を求める声が地元から上がり、田辺市中心市街地活性化協議会は11月17日に、新駅舎をJR案通りに建設することは承認する一方で現駅舎の保存活用を求める意見書を市に提出した[9]。12月20日に開かれた中心市街地活性化協議会で、JR側は現駅舎を取り壊す場合に跡地の一部に駅舎を設置して現在と変わらない動線を維持すること、現駅舎を市に無償譲渡して市が保全活用することを提案した[10][11]。この提案に対して市側は現駅舎の耐震補強に億単位の費用が必要なことに加え、その後の維持管理や利用者の安全管理まで市が責任を持つ点に市民の合意を得ることが困難であると述べた[10][11]。2014年6月5日付けの地方紙・紀伊民報によると、前日の4日にJR西日本和歌山支社より紀伊田辺駅を現在の位置へ駅に降りた利用客に熊野の歴史や自然の魅力を感じてもらえる空間をイメージした内装と約3000人程度避難できる津波避難機能を持つ3階建の駅ビルに建て替え、2014年秋頃を目途に設計に取り掛かり2015年度初頭に工事に着手し、2016年度完成予定と報じられた。




その他

  • 往復特急利用や当駅発着となる特別企画乗車券の利用で天王寺・新大阪・京都方面の往復の場合は、当駅の「JRパーキング」の利用が48時間以内に限り無料となる「パークアンドライド」を実施している(当駅にて購入に限り他の駅や旅行会社での購入は除く)。なお、隣接する「田辺市営駐車場」は対象になっていない。
  • 2010年3月12日までは、最終電車の到着時刻が午前1時47分となっており、夜行列車を除く定期列車では日本で一番遅く列車が到着する駅であった。これは、この列車がかつて運行されていた夜行列車(天王寺駅・南海難波駅 - 新宮駅間を運行した列車、寝台車を連結した『はやたま』、新大阪駅 - 新宮駅間を運行した列車など)の名残であったことによる。翌日に実施されたダイヤ改正により当該列車(新大阪駅発の紀勢本線直通快速)の運転区間が短縮され当駅まで運転されなくなったことから、現在の最終電車は23時24分に到着する新大阪発の特急「くろしお29号」や、0時08分に到着する普通列車などとなっている。テンプレート:Main
  • 2005年に本宮町が田辺市へ編入された事から、熊野本宮大社の最寄り駅である当駅コンコースに熊野本宮大社で制作された干支が描かれた絵馬が飾られている。毎年12月中旬に取り換えられる作業は、年末の恒例行事であり風物詩でもある。なお、紀伊田辺駅駅舎入口脇の檜看板(表札)は、熊野本宮大社神主の手によって書かれている。
  • かつて特急「くろしお」の当駅到着時の車内チャイムは「牛若丸」であった。これは田辺市が武蔵坊弁慶生誕の地と伝えられているからである。

隣の駅

西日本旅客鉄道
テンプレート:Colorきのくに線(紀勢本線)
テンプレート:Color快速(御坊駅まで各駅に停車)
紀伊田辺駅 - 芳養駅
テンプレート:Color普通
紀伊新庄駅 - 紀伊田辺駅 - 芳養駅

脚注

  1. 天王寺鉄道管理局三十年写真史P278「駅の変せん」
  2. こども110番の駅 実施駅 - JR西日本(2012年3月15日閲覧)
  3. JR紀伊田辺駅に念願のエレベーター 知事ら出席、完成式典 - 紀伊民報2009年3月31日付)
  4. 『和歌山県統計年鑑』及び『和歌山県公共交通機関等資料集』
  5. 田辺駅前広場の改修 7月中旬から着工 - 紀伊民報(2012年6月29日付、同日閲覧)
  6. テンプレート:PDFlink - 田辺市(2009年3月付、2012年6月29日閲覧)
  7. テンプレート:PDFlink - 田辺市(2012年6月29日閲覧)
  8. 8.0 8.1 8.2 読売新聞大阪版2013年9月8日
  9. JR紀伊田辺駅は現駅舎保存活用を 地元協議会が意見書 和歌山 - MSN産経ニュース2013年11月17日
  10. 10.0 10.1 駅舎保全なら田辺市が管理を JRが提案 - 紀伊民報2013年12月21日
  11. 11.0 11.1 現駅舎保存管理は困難 市が考え示す 和歌山・JR紀伊田辺駅 - MSN産経ニュース2013年12月21日

関連項目

外部リンク

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