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[[File:105mm HEP typeB.JPG|thumb|350px|[[74式戦車]]で使用される105mm粘着榴弾]] '''粘着榴弾'''(ねんちゃくりゅうだん)は、[[戦車]]の[[主砲]]などに使用される[[ホプキンソン効果]]を利用した[[砲弾]]の一種。英語では'''HESH'''(High Explosive Squash Head)または'''HEP'''(High Explosive Plastic)と呼ばれる。[[弾頭]]部分が[[装甲]]にへばり付くように潰れて起爆するまでの様子が和名の由来であり、[[接着剤]]などを攻撃に利用するものではない。 == 構造 == 外観は[[榴弾]]とほぼ同一だが、先端部はやや丸みを帯びた形状となる。これは、傾斜した[[装甲]]を持つ[[戦車#戦後第2世代主力戦車|第二世代戦車]]を攻撃する際に[[弾丸]]が先鋭な形をとると[[避弾径始]]によって弾かれてしまうことがあるため、流線形化による射程の長距離化よりも起爆の確実性を優先させたことによる。 弾殻は、榴弾よりも薄く柔らかい金属で成型されている。炸薬には[[C-4 (爆薬)|C4]]など[[プラスチック爆薬]]を充填する。[[信管]]は弾底に無延期信管が取り付けられる。 [[弾頭]]が装甲を貫通することを目的として作られたものではなく、粘着榴弾は目標の表面に着弾後、つぶれて密着した後起爆される。厚みのある装甲を貫通することなく、[[ホプキンソン効果]]によって、衝撃波が目標車両の装甲を伝わり装甲の裏側が剥離飛散する[[スポール破壊]]を引き起こし、飛び散った装甲の破片によって内部の人員、機材に損傷を与える。 榴弾と近い構造であることから、破片効果を期待して使用されることもあるが、弾殻金属が榴弾に比べて薄いため飛散する破片が少なく、信管の調整もできないことから、榴弾より[[榴弾#破片効果|破片効果]]は劣る。 == 対応火器 == 目標に直撃させなければ本来の効果を得られないことから、主に[[カノン砲]]、[[無反動砲]]といった直射[[火器]]で用いられる。 スポール破壊の理論上、[[装甲#複合装甲|複合装甲]]を採用した[[戦車#戦後第3世代主力戦車|第三世代]]以降の[[戦車]]には効果が望めず、単純な防弾鋼板であっても、内部に高分子ライナーを貼り付けて破片の飛散を抑えることで防御策とすることができる。 装弾筒付き翼安定徹甲弾([[APFSDS]])が登場した後も、[[成形炸薬弾#多目的対戦車榴弾|多目的対戦車榴弾]](HEAT-MP)より長射程で価格は1/5程度、全天候性を持ち、初速が遅いため[[銃砲身|砲身]]寿命への影響が少なく、[[榴弾]]同様に円形の危害範囲を有するといった利点から、[[イギリス]]の[[チャレンジャー2]]戦車などで使用が継続されている。実戦では、[[湾岸戦争]]で[[チャレンジャー1]]戦車が[[イラク]]の[[T-55]]戦車に対し、距離5,000mから[[砲撃]]して命中、撃破した記録がある。 == 関連項目 == * [[砲弾]] * [[榴弾]] [[Category:砲弾|ねんちゃくりゅうだん]] [[pl:Amunicja przeciwpancerna#przeciwpancerny pocisk odkształcalny]]
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