米国債

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アメリカ合衆国財務省証券(アメリカがっしゅうこくざいむしょうしょうけん、United States Treasury security)は、アメリカ合衆国財務省が発行する公債である。日本では一般的に米国債と呼ばれる。

解説

アメリカ合衆国政府に対する信頼により市場が形成されており、極めて高い流動性を有する。流動性の高さからドル外貨準備の主要な投資先となっている。

戦争経済危機などの際は「有事のドル買い」に併せて米国債市場への資金流入が起きる傾向が強い。また米国債の金利は長期金利の世界的な指標である。

財務省証券の種類

償還期間の長短や利払いの方法により分類される。

  • 償還期間による分類
    • 短期国債(Treasury Bills : 2, 3日-52週間の割引債)
    • 中期国債(Treasury Notes : 2, 3, 5, 7, 10年物の利付債)
    • 長期国債(Treasury Bonds : 30年物の利付債)
  • 利払いの方法
    • 利付国債
    • 割引国債

1年以内の償還期限は割引債として、2年以上の償還期限のものはすべて6カ月毎に利払いがある利付債として発行している。 このほか元本及びクーポンが物価指数上昇率に連動するTIPS(Treasury of Inflation Protected Securities,インフレ連動債)や利付債の元本部分と利札部分を分離し元本部分をこの利付債の償還を満期とする割引債に利札をそのクーポンの支払日期日が満期の割引債として販売するSTRIPS(Separate Trading of Registered Interest and Principal of Securities)がなどがある。

帳簿記載方式

帳簿記載方式(book entry form)とは、帳簿への記載によって所有者を証明し券面の発行を省略する制度であり、米国財務省証券の取引を容易にし流動性を高める一因となっている。日本の振替決済制度に相当する。

米国債債権国上位20国

2013年8月時点:

Holder $US billion
1. 中国 1268.1
2. 日本 1149.1
3. カリブ諸島金融機関 300.5
4. ブラジル 252.9
5. OPEC加盟国 246.4
6. 台湾 183.6
7. スイス 179.7
8. ベルギー 166.8
9. イギリス 159.1
10. ルクセンブルク 143.8
11. ロシア 136.0
12. 香港 126.5
13. アイルランド 117.3
14. シンガポール 79.4
15. ノルウェー 71.7
16. カナダ 60.4
17. メキシコ 59.9
18. ドイツ 58.6
19. トルコ 58.4
20. インド 57.0
Source: The United States Treasury[1]

QE2政策

2010年11月、FRB議長のベン・バーナンキは追加的量的緩和政策(quantitative easing policy、いわゆるQE2)の中で、約6000億USドル(約48兆円)の米国債を市中から購入する決定を行った。失業率の改善や、SP500等株価指数の上昇など、QE2の効果は着実に表れたとされる[2]

見解

カブドットコム証券によると、為替変動や発行体の信用リスクにより損失が発生するおそれがあるとされる[3]。一方、サンケイビズは満期まで保有していれば額面通りに償還されるとしており[4]ZAKZAKも、満期まで保有して償還を受ければ、損失は発生しないとしている[5]

金融アナリストの久保田博幸は、「国債は一定期間売却できない代わりに、その期間を過ぎれば国が額面で買い取る」と解説している[6]

米国債売買をめぐる日本国内の動き

江田憲司は2011年9月27日の衆議院予算委員会で、日本政府保有分米国債は約四十兆円の為替差損を抱えていると述べた。これに対し安住淳財務大臣は「円高にはさまざまな要因があり」「ヨーロッパにおける金融不安等があってこういうレートになっている」と答弁した[7]

民主党の前原誠司政調会長は「米国債を売ってしまうとドルの信頼に響き、さらなる円高が加速する可能性もある」と述べ、売却に否定的な見解を示した[8]

2013年1月、安倍晋三総理大臣は米国債買い入れのために50兆円に上るファンドの設置を検討すると表明した[9]

主張

  • 経済評論家の植草一秀は「ドルが値上がりしたなら、ドル高の局面でドルを円に換金するべき」と主張している[10]
  • 河野太郎は、円高が進んでいる現状で米国債を売却しても負債が資産を上回るため、福島第一原発事故の賠償金にそのままあてることはできないと指摘している[11]
  • 金融・貴金属アナリストの亀井幸一郎は「大量の米国債を手放すとなると市場の混乱は必至」と述べている[12]
  • J-CASTも、アメリカへの配慮が米国債を売却できない理由だと推測している[12]
  • ZAKZAKは、「売却で得たドルを円に替えれば、円高ドル安に拍車をかけることになるため、「売りたくても売れない」という事情もあるようだ」としている[13]

関連項目

脚注

  1. テンプレート:Cite web
  2. 米FRB議長のQE2はいいことずくめ 相場押し上げ与信・景気拡大 Bloomberg 2011年5月10日
  3. 債券取引の基礎知識
  4. 国債急落、高まる警戒 大手銀が危機管理マニュアル策定sankeibiz
  5. ZAKZAK2011年8月6日
  6. 債券と国債のしくみがわかる本 久保田博幸テンプレート:要ページ番号
  7. http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001817820110927002.htm?OpenDocument
  8. asahi.com2011年11月25日
  9. FRB議長を安倍首相が手助けか-外債購入ファンド構想で2013年1月14日 bloomberg
  10. 日本政府は対米上納外貨準備を金地金に変換せよ2013年8月20日 植草一秀の『知られざる真実』
  11. 河野太郎公式サイト2011年04月25日
  12. 12.0 12.1 なぜ日本は金を買わないのか? 大量の米国債、売るに売れず……2013年6月20日 j-cast
  13. ZAKZAK2011年8月6日
テンプレート:Economy-stub

テンプレート:US-stub


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