笹原宏之

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テンプレート:特殊文字 笹原 宏之(ささはら ひろゆき、1965年 - )は、日本国語学者言語学者博士(文学)早稲田大学)。 早稲田大学社会科学部・社会科学総合学術院教授。

日本製漢字である国字研究の第一人者。 文化庁 文化審議会国語分科会で、常用漢字の選定・改定作業に携わる[1][2]

人物

東京都出身。小学生の頃より漢字の面白さに惹かれ、中学生になると世界最大の漢和辞典として知られる「大漢和辞典」を小遣いで購入し耽読した。

当時から、「字源」への興味もさることながら、社会生活のなかでの漢字の使われ方、社会の移り変わりを映し出す、漢字表記(表現)の変化の有り様、これら豊かな漢字表現にあらわれる日本人心理について特に興味を惹かれたといい、中学生の頃には「当て字」を蒐集、ノートにまとめ自作の「当て字大辞典」を作成していた。

これら「当て字」に関する30年来の研究は、「命(さだめ)」・「時代(とき)」・「秋桜(コスモス)」・「本気(マジ)」・「夜露死苦(ヨロシク)」など、歌詞漫画テレビ広告などでは流通していながら、辞書には記載されにくい表記を採録した「当て字・当て読み 漢字表現辞典 (三省堂)」としてまとめられた(ちなみに、『よろしく』の当て字は、ヤンキー用語として、『夜露死苦(ヨロシク)』と表記される遥か以前、すでに江戸時代、滝沢馬琴によって『四六四九(ヨロシク)』と当て字されており、この"4649"には、4×6+4×9=60、つまり60回も「よろしく」との意味まで込められていたという)[3]

研究

日本でつくられ独自の発展を遂げた国字(和製漢字)研究の第一人者として知られるほか、辞典などには載せられているものの、典拠不明で、誰にも読めない『幽霊文字』の発掘者でもあり、それら「幽霊文字」のつくられる過程を解明したことでも知られる[4]

漢字の『受容』から『変容』、その独自の発展のメカニズムの解明はもちろん、それらの使用実態に至るまで、漢字文化について計量国語学的・歴史的・社会的・文化的諸側面から学際的研究を行う[5]

こうした研究は、情報通信機器や、「電子政府」を支える文字情報基盤の構築(各種端末・ディスプレイなど異なる環境でも、文字化けを起こさず文字を表示したり、異体字の適切な処理を可能にするなど) に向けた「汎用電子情報交換」のための「文字環境」の実現、さらには、漢字で書かれた膨大な情報資源をデータとして、共有・活用する知的プラットフォームの基盤整備につながっている。

史料文学作品方言地名から、マンガ携帯電話の文字、2ちゃんねる用語まで、幅広い対象を調査し、過去から現在にいたる日本語・漢字表記の動態、位相差を研究し[6]、個人の漢字使用というミクロレベルから、マクロレベルの動態分析まで、漢字文化を総合的視野から捉える学際領域の研究者である。 また、中国・韓国からベトナムに至る東アジア漢字文化圏のあいだの比較研究にも意欲を見せる。

新聞・雑誌・テレビなどで、漢字ブーム、活字離れ、漢字の読めないおバカタレントブームとその背景など、「漢字と社会の関わり」 についてコメントを求められることも多い[1][7][8][9][10][11][12]

略歴

1993年、早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。文化女子大学専任講師、国立国語研究所主任研究官を歴任。1999年から早稲田大学非常勤講師、2005年早稲田大学社会科学部・社会科学総合学術院助教授、2007年から社会科学部・社会科学総合学術院教授。

この間、経済産業省JIS漢字法務省人名用漢字文部科学省常用漢字の選定・改定に携わる。また、三省堂新明解国語辞典』編集委員、明治書院『日本語学』編集委員などを務めるほか、中国の大学である浙江財経学院兼職教授として学術交流を図る[13][14]

2009年日本漢字能力検定協会の不祥事を受け、透明性の高い事業運営実現のため、臨時理事会で新しい評議員に選任された。

審議会等委員

現代日本社会における漢字使用の実態に詳しく、経済産業省「公的文字基盤構築事業」をはじめ、審議会委員などの活動を通じ、その研究が生かされている。

法務省・法制審議会人名用漢字部会」幹事を務めた際の経験などから、赤ちゃんの命名において「」の漢字に人気が出ていること、「生臭い」を意味する「」の漢字を使いたがる親の存在などを通じ、近年の命名の特徴・傾向を分析した 〈cf.たいと〉。

近年の赤ちゃんの「名付け」では、字面の「雰囲気」や「イメージ」テンプレート:Smaller=テンプレート:Smaller、 「響き」が優先されるほか、姓名判断の影響、さらに、これまで見られなかった漫画アニメキャラクターの影響 テンプレート:Smaller「[[en:wikt:獠|テンプレート:補助漢字フォント]]」テンプレート:Smaller を指摘した上で、漢字が持つ『意味』の側面については、蔑ろにされる場合があることに懸念を示している[15][16]

ほかに、「弐千円札」や「さいたま市」の名称選定に関わり、文部科学省文化庁文化審議会国語分科会漢字小委員会委員として、常用漢字表の選定・改定作業にも携わった。

受賞歴

著書

単著

  • 『日本の漢字』岩波新書 2006
  • 『国字の位相と展開』三省堂 2007 (博士論文の増補改訂)
  • 『訓読みのはなし 漢字文化圏の中の日本語』光文社新書 2008

編纂

  • 『当て字・当て読み 漢字表現辞典』三省堂 2010

共著

  • (横山詔一ほか) 『新聞電子メディアの漢字 朝日新聞CD-ROMによる漢字頻度表』三省堂 1998
  • (横山詔一、エリク・ロング) 国立国語研究所プロジェクト選書 『現代日本の異体字 漢字環境学序説』三省堂 2003
  • 沖森卓也編著) 『日本語概説 ― 日本語ライブラリー』 朝倉書店 2010

共編

監修

  • 『オールカラー 名文・名句でおぼえる小学校の漢字1006字』ナツメ社 2009
  • 『しあわせ漢字を贈る赤ちゃんの名前』高橋書店 2009

脚注

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外部リンク

  • 1.0 1.1 『虎は良くても鷹(たか)はダメ? 常用漢字大論争』 「NHKクローズアップ現代」 2009年6月9日放送。
  • 『NHK 週刊こどもニュース:「どうして増える?常用漢字」』 NHK総合テレビ 2010年7月11日放送。
  • 『ドキュメント20min:「恋して! 漢字」』 NHK総合テレビ 2010年9月13日放送。
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  • 第35回 「金田一京助博士記念賞」