空集合

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空集合(くうしゅうごう、テンプレート:Lang-en-short)は、元を一切持たない集合の事である。通常は記号 ∅ または <math>\emptyset</math> で表す。記号 ∅ は、ブルバキ創立メンバーのひとりであるアンドレ・ヴェイユ1939年の著作[1]ノルウェー語のアルファベット Ø を空集合の記号として用いたのが起源という[2]。表記にギリシャ文字Φ で代用することも多く「ファイ」と読まれることもあるが本来はΦとは無関係である。テンプレート:要出典範囲

概要

集合とは、素朴には一定の決まりに従って数学的対象を集めた集まりのことであるが、集合論の議論をする上で「何も含まない集まり」「何も集めていない集まり」を集合の一種と考えた方が自然である。この何も含まない集合 {} が空集合である。例えば「4で割り切れる奇数の集合」、「身長が10メートル以上あるヒトの集合」、「日本が統治するアメリカ合衆国の州の集合」は全て同じ空集合である。集合を袋にたとえる場合に、空集合は空の袋に相当する。

性質

  • 全ての集合は空集合を部分集合として含む。つまり、任意の集合を A とすると、∅ ⊆ A
  • どんなものであれ、空集合に元として含まれることはない。
  • 空集合の部分集合は空集合自身のみである。
  • 空集合の元の数は0である。つまり、|∅| = 0
  • どんな集合 A についても、A と空集合 ∅ の和集合A に等しく、A と ∅ の積集合は ∅ に等しい。すなわち、
A ∪ ∅ = A, A ∩ ∅ = ∅

これらは実数 a と 0 のについての

a + 0 = a, a × 0 = 0

に対応している。

空集合の文字コード

記号 ∅ は、UnicodeではU+2205、JIS X 0213では1-2-39のコードが定められていて、ラテン文字Ø直径を表す記号 ⌀ とは区別されている。HTMLにおける実体参照では &empty; と記述する。ASCIIISO 8859 ではこの記号は定義されていない。<math>\emptyset</math> という文字の活字が無い場合もあるので、組版の都合上、見た目が似ているギリシャ文字Φで代用する習慣もある。

記号 Unicode JIS X 0213 文字参照 名称

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脚注

  1. 日本語訳はブルバキ(1984)
  2. Earliest Uses of Symbols of Set Theory and Logic の2010-09-01版(2010-10-29閲覧)に、彼の自伝にそう記してある旨の記述が見られる。ヴェイユ(2004b)、36頁によると以下の通りである。 テンプレート:Quotation

参考文献

関連項目

テンプレート:集合論