科料

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テンプレート:混同 テンプレート:日本の刑法 科料(かりょう)とは、1000円以上1万円未満(つまり、9999円以下)を強制的に徴収する財産刑の一種である。日本の現行刑法における主刑で最も軽い刑罰で、軽微な犯罪に対して科される。罰金と類似しているが、罰金は1万円以上である。

市町村役場犯罪人名簿には記載されないが、検察庁保管の前科調書には記載され、前科となる。

行政罰の一種である過料(かりょう)と区別する意味で、科料を「とがりょう」と読み、過料を「あやまちりょう」と読むことがある。

法定刑に科料がある主な罪

その他、各種の行政手続法規(旅館業法等)で、軽微な違反に対する罰則規定に多い。

今のところ科料の法定刑の上限又は下限金額を個別に定めた罪はなく、「○○した者は、科料に処する」のように規定されているので、法定刑の範囲は一律に1000円以上1万円未満である(例えば、「○○した者は、3000円以下の科料に処する」とか、「○○した者は、5000円以上の科料に処する」のように法定刑を定めた罪はない)。

労役場留置

科料を完納できない場合は、労役場に留置され、判決で決められた一日あたりの金額が科料の総額に達するまでの日数の間、労務(封筒貼りなどの軽作業)に服することになる。労役場留置の期間は、1日以上30日以下である(科料を併科した場合は60日以下)。

科刑状況

科料判決が確定した件数は次のとおりである[1]

  • 2002年 2,752件
  • 2003年 2,774件
  • 2004年 3,014件
  • 2005年 2,829件
  • 2006年 2,868件
  • 2007年 2,842件
  • 2008年 2,507件
  • 2009年 3,086件
  • 2010年 3,067件
  • 2011年 2,964件
  • 2012年 2,868件

同じ財産刑でも、罰金刑の確定人員(2012年が344,121件)に比べると適用は少ない。大部分は簡易裁判所略式手続による略式命令である。略式手続によらないものは、年間数件程度である。

科料の科刑状況は年代によって大きく変化している。戦前の1926年 - 1943年では、裁判の第一審に占める科料の有罪判決の割合は、1.5 - 14.0%であった。もっとも戦前には、微罪には違警罪即決例を適用して裁判を経ずに科料を科すことが可能であった。1935年頃にはこれが年間100万件以上あり、科料は最も多用される財産刑であった。

戦後では、1956年頃に件数のピークがあり、この年に第一審で 614,700件の科料判決が出されて、罰金判決 724,513件と肩を並べるほどであった。これ以後は、自動車の普及とともに交通事犯の罰金が急増し、科料が激減して現在に至る[2]。近年は年間3,000件程度で推移している。

脚注

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  1. 検察統計年報・「審級別確定裁判を受けた者の裁判の結果別人員」
  2. 『平成元年版 犯罪白書』第4編 第5章 第3節