秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線
|} 秋田内陸線(あきたないりくせん)とは、秋田県北秋田市の鷹巣駅から仙北市の角館駅に至る秋田内陸縦貫鉄道が運営する鉄道路線。
日本鉄道建設公団建設線(鷹角線、ようかくせん)のうち、既に開業していた旧国鉄の特定地方交通線だった阿仁合線(あにあいせん)、角館線(かくのだてせん)と鷹角線の未開通区間を引き継いだ路線である。
2012年1月27日に公募により「あきた♥美人ライン」と愛称が付けられた[1][2]。
目次
路線データ
- 管轄:秋田内陸縦貫鉄道(第一種鉄道事業者)
- 区間(営業キロ):鷹巣 - 角館 94.2km
- 軌間:1067mm
- 駅数:29駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:特殊自動閉塞式(軌道回路検知式)
- 交換可能駅:6駅(合川、阿仁前田、阿仁合、比立内、上桧木内、八津)
運行形態
普通列車のほか、快速と急行「もりよし」が運行され、合わせて1 - 2時間に1本程度運行されている。 各列車の現行の停車駅は「駅一覧」を参照。
- 普通列車
- 全線を通しで運転する列車もあるが、途中の阿仁合で乗り継ぎとなる列車が1日3本(2014年3月15日現在)ある。阿仁合 - 角館、鷹巣 - 阿仁合、阿仁合 - 比立内、鷹巣 - 比立内間の区間列車も設定されている。朝の2往復を除いて単行の気動車がワンマン運転を実施している。
- 快速
- 2014年3月15日のダイヤ改正で利用客の少ない普通列車に通過駅を設ける形で新設された料金不要の速達列車。朝に上り角館発阿仁合行きが1本、夜に下り鷹巣発角館行きが2本運転されている。
- 急行「もりよし」
- 鷹巣 - 角館間を専用車両を使用して運転される急行列車。同区間の所要時間が各駅停車で2時間20 - 30分程度での運転であるのに対し、2時間程度で運転する。秋田内陸線が全通した1989年4月に2往復で運転が開始されたが、2001年12月に1往復に減便。2005年12月からは下りが1本増発され1往復半の運転となっている。
- 急行料金は50kmまで160円、51km以上は320円(2011年現在)
- Moriyoshi express.jpg
急行もりよし
- AKITA-NAIRIKU-JYUKAN Railway.company.Express"MORIYOSI"(JAPAN)1.JPG
急行もりよしのサロン席
臨時列車
- 「角館武家屋敷とさくら号」・「弘前お城とさくら号」
- 大曲の花火大会臨時
- 全国花火競技大会開催日に、JRの臨時列車に合わせて2往復ほど臨時列車を角館に向けて運転されている。
- 「いぐ来たなぁ〜」
- 帰省の時期に運行される臨時快速列車。ダイヤは、「さくら号」のダイヤが基本になっている。
- 「もみじ」
- 毎年秋に秋田駅 - 角館駅間を運行する臨時列車の名称。秋田内陸縦貫鉄道の8900形2両(もりよし編成)が使用される。
- 秋田駅 - 鷹ノ巣駅まではJR東日本の奥羽本線を走行し、鷹ノ巣駅でホームの入れ換えを行い鷹巣(地名は鷹巣、JRの駅名は鷹ノ巣になっている) - 角館間は秋田内陸縦貫鉄道を走行する。車掌・運転士ともにJR区間はJR東日本、秋田内陸縦貫鉄道区間は秋田内陸縦貫鉄道の乗務員が担当する。
- 元からこのような区間が定められていたわけではなく、一時期はJR区間のみを走行する「リレーもみじ」(キハ58系アコモ編成または485系)と秋田内陸縦貫鉄道区間の「もみじ」に別けられていた。しかし最近では一貫した形で運転がされている。
国鉄時代の運行形態
国鉄時代は普通列車のみの運行で、北側の阿仁合線が1日に5 - 8往復、南側の角館線が朝夕の3往復のみであった。
利用状況
輸送実績
秋田内陸線の輸送実績を下表に記す。
表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 輸送密度 人/1日 |
特 記 事 項 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 合 計 | |||
1986年(昭和61年) | 4.0 | 22.3 | 18.5 | 44.8 | 654 | 国鉄より運営移管 |
1987年(昭和62年) | 7.1 | 47.1 | 38.5 | 92.7 | 573 | |
1988年(昭和63年) | 6.0 | 48.8 | 37.8 | 92.6 | 556 | |
1989年(平成元年) | 5.0 | 52.7 | 50.2 | 107.9 | 567 | 比立内 - 松葉間延伸開業 |
1990年(平成2年) | 4.7 | 53.1 | 44.5 | 102.3 | 515 | |
1991年(平成3年) | 4.5 | 57.7 | 43.0 | 105.2 | 524 | |
1992年(平成4年) | 3.9 | 56.6 | 42.7 | 103.2 | 510 | |
1993年(平成5年) | 3.5 | 56.6 | 41.1 | 101.2 | 498 | |
1994年(平成6年) | 2.8 | 56.2 | 42.6 | 101.6 | 494 | |
1995年(平成7年) | 2.3 | 56.3 | 39.5 | 98.1 | 478 | |
1996年(平成8年) | 2.4 | 53.2 | 38.6 | 94.2 | 453 | |
1997年(平成9年) | 2.3 | 52.0 | 36.0 | 90.3 | 469 | |
1998年(平成10年) | 1.9 | 48.1 | 36.1 | 86.1 | 496 | |
1999年(平成11年) | 2.0 | 49.8 | 32.3 | 84.1 | 458 | |
2000年(平成12年) | 1.7 | 48.4 | 29.6 | 79.7 | 441 | |
2001年(平成13年) | 1.3 | 43.0 | 28.0 | 72.3 | 380 | |
2002年(平成14年) | 1.4 | 37.4 | 25.8 | 64.6 | 344 | |
2003年(平成15年) | 1.5 | 30.1 | 24.7 | 56.3 | 312 | |
2004年(平成16年) | 1.9 | 24.2 | 24.4 | 50.5 | 323 | |
2005年(平成17年) | 4.5 | 22.8 | 24.0 | 51.3 | 352 | |
2006年(平成18年) | 50.2 | |||||
2007年(平成19年) | 5.5 | 13.3 | 25.5 | 44.3 | ||
2008年(平成20年) | 9.2 | 12.4 | 25.5 | 47.1 | ||
2009年(平成21年) | 7.9 | 14.5 | 25.8 | 48.2 | 439 | |
2010年(平成22年) | 6.9 | 13.8 | 20.6 | 41.3 | 340 |
収入実績
秋田内陸線の収入実績を下表に記す。表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色で表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
通勤定期 | 通学定期 | 定 期 外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1986年(昭和61年) | 50,691 | ←←←← | 71,771 | 0 | 122,462 | 5,777 | 128,239 |
1987年(昭和62年) | 18,359 | 84,713 | 157,346 | 0 | 260,418 | 2,602 | 263,020 |
1988年(昭和63年) | 15,210 | 81,935 | 151,567 | 0 | 248,712 | 2,351 | 251,063 |
1989年(平成元年) | 13,273 | 84,137 | 249,060 | 0 | 346,470 | 36,904 | 383,374 |
1990年(平成2年) | 13,449 | 89,908 | 233,970 | 0 | 337,327 | 37,356 | 374,683 |
1991年(平成3年) | 12,321 | 95,964 | 217,083 | 0 | 325,368 | 47,783 | 373,151 |
1992年(平成4年) | 10,856 | 96,961 | 222,905 | 0 | 330,722 | 14,967 | 345,689 |
1993年(平成5年) | 9,327 | 94,068 | 210,235 | 0 | 313,630 | 13,284 | 326,914 |
1994年(平成6年) | 7,534 | 94,332 | 209,250 | 0 | 311,116 | 8,055 | 319,171 |
1995年(平成7年) | 5,583 | 95,853 | 196,740 | 0 | 298,176 | 1,960 | 300,136 |
1996年(平成8年) | 5,909 | 91,716 | 182,399 | 0 | 280,024 | 3,490 | 283,514 |
1997年(平成9年) | 5,659 | 88,799 | 194,771 | 0 | 289,229 | 10,888 | 300,117 |
1998年(平成10年) | 4,670 | 82,740 | 177,562 | 0 | 264,972 | 12,324 | 277,296 |
1999年(平成11年) | 4,765 | 88,494 | 163,573 | 0 | 256,832 | 2,397 | 259,229 |
2000年(平成12年) | 4,425 | 83,903 | 148,791 | 0 | 237,119 | 8,807 | 245,926 |
2001年(平成13年) | 3,372 | 73,327 | 141,720 | 0 | 218,419 | 2,208 | 220,627 |
2002年(平成14年) | 3,569 | 63,965 | 132,024 | 0 | 199,558 | 3,891 | 203,449 |
2003年(平成15年) | 3,518 | 51,959 | 128,938 | 0 | 184,415 | 8,434 | 192,849 |
2004年(平成16年) | 4,633 | 44,791 | 129,398 | 0 | 178,822 | 7,727 | 186,549 |
2005年(平成17年) | 15,106 | 42,315 | 126,788 | 0 | 184,209 | 640 | 184,849 |
2006年(平成18年) | 206,430 | ||||||
2007年(平成19年) | 18,561 | 31,666 | 133,621 | 0 | 183,849 | 2,732 | 186,581 |
2008年(平成20年) | 28,678 | 29,407 | 147,593 | 0 | 205,677 | 3,306 | 208.984 |
2009年(平成21年) | 24,043 | 33,149 | 134,194 | 0 | 191,386 | 4,961 | 196,347 |
2010年(平成22年) | 21,837 | 32,120 | 119,588 | 0 | 173,545 | 5,344 | 178,889 |
歴史
改正鉄道敷設法別表第13号に掲げる「秋田県鷹ノ巣ヨリ阿仁合ヲ経テ角館ニ至ル鉄道」である。日本三大銅山の一つであった阿仁鉱山から産出される鉱石輸送のため、鷹ノ巣側より建設が進められ、1934年に阿仁合線として鷹ノ巣 - 米内沢間が開業、その後1936年に阿仁合まで延伸された。
戦後は、1963年に阿仁合線が比立内まで延伸、角館側も1971年に角館線として角館 - 松葉間が開業、残りの区間も建設が進められていたが、国鉄再建法施行により、角館線が1981年に第1次特定地方交通線に、阿仁合線が1984年に第2次特定地方交通線に指定され、建設線も工事が凍結された。
これを受けて地元では、阿仁合線、角館線と建設線を引き継いで一体運営すべく1984年に秋田内陸縦貫鉄道を設立し、1986年に既開業区間の転換を受けて秋田内陸北線(あきたないりくほくせん)、秋田内陸南線(あきたないりくなんせん)として暫定開業。1989年に未開業区間が開業し、全通した。
日本国有鉄道時代
阿仁合線
- 1934年(昭和9年)12月10日 【開業】阿仁合線鷹ノ巣 - 米内沢 (15.1km) 【駅新設】羽後上大野、米内沢
- 1935年(昭和10年)11月15日 【延伸開業】米内沢 - 阿仁前田 (10.2km) 【駅新設】桂瀬、阿仁前田
- 1936年(昭和11年)9月25日 【延伸開業】阿仁前田 - 阿仁合 (7.8km) 【駅新設】小淵、阿仁合
- 1956年(昭和31年)4月1日 【駅名改称】羽後上大野→合川
- 1963年(昭和38年)
- 10月15日 【延伸開業・全通】阿仁合 - 比立内 (13.0km) 【駅新設】荒瀬、萱草、笑内、岩野目、比立内
- 12月10日 【駅新設】小ヶ田、前田南
- 1965年(昭和40年)
- 1981年(昭和56年)3月10日 【貨物営業廃止】阿仁合 - 比立内
- 1982年(昭和57年)11月15日 【貨物営業廃止】鷹ノ巣 - 阿仁合
- 1984年(昭和59年)6月22日 廃止承認(第2次特定地方交通線)
角館線
- 1971年(昭和46年)11月1日 【開業・全通】角館線角館 - 松葉間 (19.2km)(旅客営業のみ) 【駅新設】羽後太田、西明寺、八津、羽後長戸呂、松葉
- 1981年(昭和56年)9月11日 廃止承認(第1次特定地方交通線)
秋田内陸縦貫鉄道移管後
- 1986年(昭和61年)11月1日 【廃止】国鉄阿仁合線 (-46.1km)、角館線 (-19.2km) 【開業】秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸北線鷹巣 - 比立内(46.0km)、秋田内陸南線松葉 - 角館 (19.2km) 【駅名改称】鷹ノ巣→鷹巣
- 1989年(平成元年)4月1日 【延伸開業】比立内 - 松葉 (29.0km) 【線名改称】秋田内陸線(秋田内陸南線を秋田内陸北線に編入) 【駅新設】西鷹巣、奥阿仁、阿仁マタギ、戸沢、上桧木内、左通、羽後中里 【ダイヤ改正】急行「もりよし」2往復運行開始。
- 2001年(平成13年)12月1日 【ダイヤ改正】急行「もりよし」1往復廃止。
- 2005年(平成13年)12月10日 【ダイヤ改正】急行「もりよし」鷹巣→角館に下り1本増発。
- 2007年(平成19年)3月18日 【ダイヤ改正】鷹巣 - 阿仁合間のJR接続のない早朝と深夜の1往復を削減。
- 2008年(平成20年)3月15日 【ダイヤ改正】最終列車の時間を10分ほど繰り下げ。
- 2012年(平成24年)
- 2014年(平成26年)
- 3月17日 【ダイヤ改正】利用の少ない一部時間帯の普通列車を快速列車に変更し速達化。
駅一覧
- 全駅秋田県に所在。
- 普通列車は全ての駅に停車
- ●:停車、▲:上り(阿仁合行き)のみ停車、|:通過、※:季節停車(通常は通過)
駅名 | よみがな | 駅間キロ | 営業キロ | 快速 | 急行もりよし | 臨時快速 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
旧阿仁合線 | 鷹巣駅 | たかのす | - | 0.0 | ● | ● | ● | 奥羽本線(鷹ノ巣駅) | 北秋田市 |
西鷹巣駅 | にしたかのす | 1.3 | 1.3 | ● | | | | | |||
小ヶ田駅 | おがた | 2.4 | 3.7 | ● | | | | | |||
大野台駅 | おおのだい | 2.4 | 6.1 | ● | | | | | |||
合川駅 | あいかわ | 3.6 | 9.7 | ● | ● | ● | |||
上杉駅 | かみすぎ | 2.4 | 12.1 | ● | | | | | |||
米内沢駅 | よないざわ | 2.9 | 15.0 | ● | ● | ● | |||
桂瀬駅 | かつらせ | 5.5 | 20.5 | ● | | | | | |||
阿仁前田駅 | あにまえだ | 4.7 | 25.2 | ● | ● | ● | |||
前田南駅 | まえだみなみ | 1.9 | 27.1 | ● | | | | | |||
小渕駅 | こぶち | 2.0 | 29.1 | ● | | | | | |||
阿仁合駅 | あにあい | 3.9 | 33.0 | ● | ● | ● | |||
荒瀬駅 | あらせ | 2.4 | 35.4 | ● | | | | | |||
萱草駅 | かやくさ | 2.7 | 38.1 | ● | | | | | |||
笑内駅 | おかしない | 2.8 | 40.9 | ● | | | | | |||
岩野目駅 | いわのめ | 2.4 | 43.3 | ● | | | | | |||
比立内駅 | ひたちない | 2.7 | 46.0 | ● | ● | ● | |||
新線区間 | 奥阿仁駅 | おくあに | 3.7 | 49.7 | ▲ | | | | | ||
阿仁マタギ駅 | あにまたぎ | 2.6 | 52.3 | ● | ● | ● | |||
戸沢駅 | とざわ | 8.9 | 61.2 | | | | | | | 仙北市 | ||
上桧木内駅 | かみひのきない | 4.7 | 65.9 | ● | ● | ● | |||
左通駅 | さどおり | 1.8 | 67.7 | | | | | | | |||
羽後中里駅 | うごなかざと | 4.0 | 71.7 | | | | | | | |||
旧角館線 | 松葉駅 | まつば | 3.3 | 75.0 | ● | ● | ● | ||
羽後長戸呂駅 | うごながとろ | 2.9 | 77.9 | | | | | | | |||
八津駅 | やつ | 5.0 | 82.9 | | | ※ | ※ | |||
西明寺駅 | さいみょうじ | 4.0 | 86.9 | ● | ● | ● | |||
羽後太田駅 | うごおおた | 3.0 | 89.9 | | | | | | | |||
角館駅 | かくのだて | 4.3 | 94.2 | ● | ● | ● | 秋田新幹線、田沢湖線 |
その他
脚注
関連項目
テンプレート:リダイレクトの所属カテゴリ- ↑ 秋田内陸縦貫鉄道、愛称は「あきた美人ライン」 - 朝日新聞、2012年1月28日。
- ↑ 秋田内陸線の愛称は「あきた♥美人ライン」に決定しました。 - 秋田内陸縦貫鉄道、2012年1月27日。