神戸電気鉄道1300系電車

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神戸電気鉄道1300系電車(こうべでんきてつどう1300けいでんしゃ)は、1971年に登場した神戸電鉄(神鉄、登場当時は神戸電気鉄道)が保有する通勤形電車1000系列の形式群の1つであり、1971年より2両編成グループとして増備を開始した。

概要

3両固定編成のデ1100形と増結車のデ1050形が増備される中、2両編成の増結車が必要となったことから1971年よりデ1300形の増備が開始された。形態の相違によって4形式に区分されており、1987年までの18年間にデ1300形デ1320形デ1350形の3形式を新製後、1997年にはデ1320形の改造により1370形が登場している。

系列別概説

デ1300形

1971年から1973年にかけて5編成10両が製造された。デ1000形、デ1100形と同様の2扉車体を採用しており、主に粟生線の増結車として1100系とともに運用された。1975年には更なる輸送力増強の対策として、デ1320形のユニットを中間に組み込んだ4両固定編成が誕生している。

電装品、車体共にデ1000形と同様であるが、回生ブレーキの装備が省略されたことから別形式となっている。パンタグラフは偶数車の運転台側に1基のみ設けられた。抵抗器はニクロムリボン式のものを奇数車と偶数車に分担して搭載する。

デ1320形

デ1300形を4連化する際の中間電動車として、1975年 - 1979年にかけて3ユニット6両が製造された。足回りはデ1300形と同様であるが混雑緩和のため3扉となり、後のデ1350形にも継承された。

編成組成の際には両端の制御電動車とユニットを組み、3000系と同様の構成とした Mc1-M2-M1-Mc2 の編成を組む。1975年に増備された2ユニットは非冷房、広幅貫通路と淡色系の内張りであったが、1979年増備の最終ユニットは後述のデ1350形に準じたスタイルとなり、狭幅貫通路、木目模様の内張りを有する冷房車となっている。

1997年には全車を対象に先頭車化改造が実施され、後述の1370形への改番によりデ1320形は形式消滅した。改造後の動きについては#1370形を参照。

デ1350形

デ1300形・デ1320形をベースに、1000系列としては初の新製冷房車として登場した3扉車である。1979年 - 1987年に6編成12両が製造された。

冷房装置は3000系前期車とは異なり集約分散式クーラーCU-193 (10,500kcal/h) を各車に3基搭載している。内装も3000系に準じた木目調の内張りを採用、貫通路も貫通扉付きの狭幅となった。パンタグラフの設置位置もデ1150形に準じており、偶数車の連結面側に1基設置されている。

1353編成以降は乗務員室後部の戸袋部分に神戸電鉄のイニシャル「K」のマークを設置、1357・1358編成は自動連解装置を製造当初から設置している。最終増備の1361編成はデ1150形1153編成と同時期に落成しており、登場時より新塗装を纏い、側面方向幕が設置された。

1370形

粟生線に残る非冷房の増結車を置き換えるため、1997年に中間電動車であったデ1320形に運転台を設置した先頭車化改造車である。改造後の形式は形式記号を省略した1370形[1]とされ、車番も現番号に50を足したものとなっている。

先頭部は廃車となった1000系列(デ1050形デ1300形)の運転台を接合している。デ1350形と違い、種車の名残で3扉車ながら運転台側にパンタグラフが設置されているのが外観上の特徴である。

車番の対応表は以下の通り(括弧内は旧車番/運転台提供車の車番)。

(←有馬温泉・三田・粟生)
  • 1371-1372 (1321-1322 / 1303-1304)
  • 1373-1374 (1323-1324 / 1057-1058)
  • 1375-1376 (1325-1326 / 1305-1306)

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運用

デ1300形は1971年の登場以来、粟生線の増結用2両編成を中心に運用されていたが、更なる輸送力増強のために2編成に中間電動車としてデ1320形が組み込まれた。デ1350形第1編成も登場後間もなくデ1320形を組み込んだ4両固定編成を組成している。

(←有馬温泉・三田・粟生)
  • 1307-1322-1321-1308
  • 1309-1324-1323-1310
  • 1351-1326-1325-1352

その後、2両編成2本を併結する形の4両編成として1353・1355編成と1357・1359編成が増備され、後者の編成は1357の有馬寄にデ1070形1076を併結した3両基本編成として連解5連運用に充当された。

  • 1353-1354+1355-1356
  • 1076+1357-1358+1359-1360

1991年の編成替えにより、デ1320形は全編成がデ1350形の中間ユニットとして編入され、非冷房だった2編成も編成替えと同時に冷房化が実施されている。これによりデ1300形は全編成が2両編成となった。

  • 1351-1326-1325-1352
  • 1353-1322-1321-1354
  • 1355-1324-1323-1356

1997年、粟生線の増結車に残る非冷房車を淘汰するため、デ1350形の2両編成と共にデ1320形も先頭車化改造を実施の上1370形として増結運用に投入されることとなった。4両固定編成は5000系の増備により賄われ、代替としてデ1300形の5本中4本が廃車となっている。デ1350形と1370形による5連運用は、2001年まで続けられた。

2001年6月のダイヤ改正により粟生線の全区間で4両編成の直通が可能となったことで5両編成の運用が減少、増結車であった1300系も4両編成への組成変更が順次実施された。1357編成は1076の併結相手をデ1150形1153編成に変更して4連化、デ1300形として唯一残った1310編成はデ1350形1361編成との4両編成となり冷房化を実施、1351編成は冷房化改造されたデ1070形1074と組み、側面方向幕の設置の上で3両固定編成となった。1351編成はその後の改造でワンマン対応となり、この3両編成で公園都市線の運用にも充当された。

  • 1357-1358+1359-1360
  • 1361-1362+1309-1310
  • 1074+1351-1352

粟生線でのワンマン運転が開始された2003年、1351編成は連結相手を1370形1371編成に変更の上同編成と4両固定化、1074はデ1100形1111編成を併結相手とする4両編成に組成変更された。その後も1000系列4両編成のワンマン化改造が順次実施され、1300系は神鉄全線がワンマン化された2005年までに全編成への改造が完了した。

  • 1353-1354+1355-1356
  • 1371-1372+1351-1352
  • 1373-1374+1375-1376

2012年現在、1300系は4両固定編成5本の20両が在籍しており、公園都市線以外の神鉄各線で運用されている。

脚注

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参考文献

  • 『鉄道ピクトリアル No.711 2001年12月臨時増刊号』、電気車研究会、2001年
  • 『私鉄の車両 19 神戸電気鉄道』、保育社、1986年

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  1. ただし、神戸電鉄公式サイト内の車両形式図には「デ1370」と表記されている。外部リンクを参照。