石炭紀

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テンプレート:顕生代 石炭紀(せきたんき、Carboniferous period)は、地質時代の区分のひとつ。古生代の後半で、デボン紀の後、ペルム紀の前の時代を指し、これはおおよそ現在より3億5920万年前から2億9900万年前までの時期にあたる。この期間はデボン紀末の大量絶滅からペルム紀直前の数百万年に及ぶ氷河期で区切られている。

名前の由来はこの時代の地層から多く石炭を産することによる。この地層から石炭を産するのは当時非常に大きな森林が形成されていたことの傍証となる。

北米では石炭紀の前半をミシシッピ紀Mississippian)、後半をペンシルベニア紀[1] (Pennsylvanian) と呼ぶ研究者もいる。これらはおおよそ3億2300万年前よりも前か後かで分けられる。

サマセットでは、石炭層をコールメジャーズと呼び、上部、中部、下部に分けている。この層は古生代の終わりの2000万年の間に堆積したと考えられており、放射性炭素年代測定でおよそ3億1000万年前から2億9000年前のものとされている。[2]

生物

陸上では、シダ植物が発達し、昆虫両生類が栄えた。この時代、両生類から陸上生活に適応した有羊膜類が出現し、やがて二つの大きなグループが分岐した。竜弓類鳥類を含む爬虫類へとつながる系統)と単弓類哺乳類へと繋がる系統)である。当時の爬虫類ではヒロノムスなどが知られている。また、パレオディクティオプテラゴキブリの祖先プロトファスマなど翅を持った昆虫が初めて出現した。これらは史上初めて空へ進出した生物である。

デボン紀から引き続いて節足動物、昆虫の巨大化も著しく、全長60cmもある巨大なウミサソリメガラシネ)や翼長70cmの巨大トンボ(メガネウラ)、全長2mの巨大ムカデ(アースロプレウラ)などが発見されている。これらの節足動物は陸上進出を果たした両生類や有羊膜類の貴重な蛋白源になったといわれている。逆に三葉虫は衰えてプロエトゥス目(またはプロエタス目)のみとなった。末期には数百万年に渡る氷河期が到来し多くの生物が死滅した。

巨大なシダ類が繁栄し、中でもリンボクレピドデンドロン)は大きいもので直径2m、高さ38mのものが存在し、このような巨大なシダ類が湿地帯に大森林を形成していた。これらの巨木は標準的なものでも20m〜30mの高さがあった。

アメリカのイリノイ州には石炭紀の無脊椎動物の化石を多く出土する地層があり、ここから出土する動物群を特にメゾンクリーク動物群と呼ぶ。メゾンクリーク動物群には腕足類ウミユリなどが多く含まれ、トリモンストラム・グレガリウム(トゥリモンストゥルム)など異様な形態の動物も見受けられる。

後期にはエダフォサウルスなどの単弓類哺乳類型爬虫類)が繁栄していく。

環境

多くの地域は年間を通して季節の変化はあまりなく、1年中湿潤な熱帯気候であったといわれる。一方で南極では氷河が形成されるなど、寒冷化が進行しつつあった。森林の繁栄により、大気中の酸素濃度は35%に達したといわれる[3](現代は21%)。このことが動植物の大型化を可能にしたと考えられている。また、植物が繁栄したことで大量の二酸化炭素が吸収され、その多くが大気中に還元されずに石炭化していったため、大気中の二酸化炭素濃度が激減した。これが寒冷化と氷河の発達、ひいては氷河期の一因とされる。

巨大な陸塊であるゴンドワナ大陸の南部が南極にあったこともあり、ここには大規模な氷河(氷床)が形成されていき、終盤に氷河期が訪れた。

地質

地質的にはバリスカン造山運動の活動期に当たる。デボン紀から存在していたライク海リーク海レーイック海またはミドローピアン海とも呼ぶ)はゴンドワナ大陸ユーラメリカ大陸にはさまれて末期には消滅し、これがやがて次の時代のパンゲア大陸となる。ライク海の消滅と歩調をあわせるかのように生物の陸上新出も進んだ。

この他にもシベリア大陸、カザフ大陸(カザフスタニア)などの小さな大陸が存在していた。

脚注

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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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  1. ペンシルバニア紀、ペンシルヴァニア紀とも書かれる。
  2. サイモン・ウィンチェスター著、野中邦子訳『世界を変えた地図 -ウィリアム・スミスと地質学の誕生-』早川書房 2004年 84ページ
  3. 太古の世界 - 石炭紀 - ナショナルジオグラフィック日本語公式サイト