特殊簡易公衆電話

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特殊簡易公衆電話(とくしゅかんいこうしゅうでんわ)とは、飲食店などの店内に店舗の運営者などが設置する公衆電話サービスである。硬貨収納等信号送出機能を付加したアナログ固定電話回線に料金回収機構を持った電話機を接続するもので、対応電話機の多くがピンク色である事からピンク電話とも呼ばれる。

概要

料金の回収は店舗等の運営者が行い、それにより電気通信事業者から請求される基本料金・通話料金を支払う。通話料金は公衆電話料金が適用される(ただし050番号IP電話宛は加入電話料金となる)。ピンク電話からはPHSにかけられない[1]。個別に携帯電話への通話や他社の通話プリペイドカード(KDDIスーパーワールドカード等)による通話も出来ないように設定している場合もある。また、NTT東日本NTT西日本のナビアクセス[2]は着信はするが発信側の声は相手に聞こえない[3]

かつてこの機種は110118119へ通報する場合やフリーダイヤルは鍵でスイッチを切り替えないと一方通行の通話しか出来なかった[4]1990年頃までのPてれほんシリーズは緊急通報用のボタンがあるので通話は可能であったが[5]、最近の機種ではダイヤルトーンファースト方式が採用されているため、KS鍵を利用せずとも110/119への発信が可能である[6]

公衆電話の不足を補う目的で1953年に開始された簡易公衆電話(店頭の一般加入電話を公衆に使用させ管理者が料金を手渡しで受け取る)の後継として、1959年に電話機をレンタルする形で開始された。1985年の端末設備自由化以降は、買取またはリースの電話機が多い。現在は、NTT東日本・NTT西日本のサービスである。

2000年代に入り、利用の少ない不採算の公衆電話の撤去後に、公共施設等の管理者の負担で導入されることも多くなった。

重複して契約できない電話サービス

硬貨収納等信号送出機能と、一部電話サービスは、重複して契約できない。

主な電話機

初期型ピンク電話(小型ピンク電話)
ダイヤル式。10円硬貨のみで市内通話のみ可能であった。市外通話や無料の通話先などは鍵操作が必要であった。1960年にレンタルで提供開始された。1972年にレンタル終了。
大型ピンク電話(初期型 : 675-A2、後期型 : 675S-A2)
ダイヤル式。10円硬貨のみ使用可能。無料の通話先に等にかける時は鍵操作が必要である。市内通話も3分毎に10円課金となった1972年11月12日の「広域時分制」での硬貨収納等信号に対応するために開発され、レンタルで提供、民営化後は販売された。かなり長期に渡って製造されていたが2004年に生産終了、翌2005年12月をもって販売終了。
ボタン式ピンク電話(100円ピンク電話 / 675P)
10円・100円硬貨が使用可能。緊急通報用ボタンを装備し、110番・119番などへ迅速な通報が可能である。また、無料の通話先へ鍵操作無しで通話でき、呼び出し音量調節も可能である。1985年に販売開始。2005年に販売終了。
テレホンカード専用ピンク電話 (MC-6P)
テレホンカードのみ使用可能。テレホンカードの残額を減らすことにより料金の回収が行われるので、設置者の料金回収の手間が少ない。不正使用の温床となったことも有ったが、対策が行われた。1989年にレンタルのみでサービス開始。2005年にレンタル終了。
鹿鳴館
10円・100円硬貨が使用可能。緊急通報ボタン装備。上述のボタン式ピンク電話 (675P) をベースに、木製の筐体を加装したもの。レトロな雰囲気がある。2005年に販売終了。

Pてれほん

ファイル:PてれほんS.JPG
ナンバーディスプレイ対応のPてれほんS

新時代のピンク電話機として1990年代から販売されたものである。売り切りで提供される。10円・100円硬貨が使用可能。呼び出し音量調節可能。ボタン式。

Pてれほん (PT1)
緊急通報用ボタン装備。液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんW (PT2)
緊急通報用ボタン装備。壁掛け型。液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんII (PT12)
液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんIII (PT13)
液晶ディスプレイ付き。販売終了。
コードレスPてれほん (PT3 TEL)
コードレス子機を装備。液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんE (PT4 TEL)
外部電源不要。販売終了。
PてれほんF (PT51 TEL)
外付け電話機端子装備。液晶ディスプレイ付き。販売終了。
PてれほんDCL
デジタルコードレス子機を装備。ナンバーディスプレイに親機・子機とも対応。ファクシミリ接続対応。呼び出し音量調節も可能。2003年1月販売終了。
PてれほんS
ナンバーディスプレイ・ファクシミリ接続対応。2004年3月販売終了。
PてれほんC
白色の小型の筐体で、プッシュ式ボタンと液晶ディスプレイにダイヤルライト付き。従来機種比で88%の小型化を実現。ナンバーディスプレイ・ファクシミリ接続対応。2009年10月販売終了。
PてれほんCII
白色の小型の筐体で、プッシュ式ボタンと液晶ディスプレイにダイヤルライト付き。2014年5月現在販売中

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 「070……」とダイヤルすると相手に接続できない旨のガイダンスが流れてつながらない。これは通話が数秒程度の短時間で終了した場合、「公衆電話料金」が「加入者からの電話料金」より低額になってしまう不都合(いわゆる逆ざや)があるからといわれている
  • NTTコミュニケーションズナビダイヤルを同一都道府県内限定にしたもの。0570-100-xxx(東)、0570-700-xxx(西)の番号。現在は新規受付終了
  • 鍵操作をすることで聞こえるようになる
  • この場合は発信側の音声が伝わらない
  • レンタルのみで提供されている大型ピンク電話は今でもKS鍵(特殊切替装置用鍵)による切り替えが必要
  • 118はPてれほん側に設定が必要