熱雑音

熱雑音（ねつざつおん、テンプレート:Lang-en-short）は、抵抗体内の自由電子の不規則な熱振動（ブラウン運動^[1]）によって生じる雑音のことをいう。1927年にこの現象を発見した二人のベル研究所の研究者ジョン・B・ジョンソン及びハリー・ナイキストの名前からジョンソン・ノイズまたはジョンソン-ナイキスト・ノイズとも呼ばれる。

抵抗体内で発生する雑音の電圧V_n [V]^[2]、電流I_n [A]は次式で与えられる。

<math>V_\mathrm{n} = \sqrt{4k_\mathrm{B}TR \Delta f}</math>

<math>I_\mathrm{n} = \sqrt{4k_\mathrm{B}T \Delta f\over R}</math>

ここでk _B はボルツマン定数、T は導体の温度[K]、Δf は帯域幅[Hz]、R は抵抗値[Ω]である。

従ってノイズの大きさP_n [W]は次式で与えられる。

<math>P_\mathrm{n} = V_\mathrm{n}I_\mathrm{n} = 4kT \Delta f</math>

また、雑音元(信号元)から回路に入力される雑音電力を入力雑音電力と言い、電気通信分野での増幅器雑音計算には専らこちらが使用される。その電力N _i [W]は計算上、雑音電圧の 2 乗を入出力インピーダンスの 4 倍で割った値となり、次式で与えられる。

<math>N_\mathrm{i} = k_\mathrm{B}T \Delta f</math>

ノイズの大きさは温度で決まる。室温（300K）のノイズ（入力雑音電力）の大きさP をデシベル単位（dBm）で表すと

<math>P = -174 + 10 \log(\Delta f)</math>

である。

熱雑音が問題になるような領域は極めて小さい信号を扱う場合で、そのような場合は、増幅器を極低温まで冷却して極限まで雑音性能を高めることなどがされる。

熱雑音が有効活用される例として、コンピュータの乱数発生器に熱雑音を用いる物がある。

参考文献