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テンプレート:統合文字 (なだ)は、沖合の中でが荒く、潮流が速い所を指す。とも書き表される。さんずいに難という字の如く、古くから航海が困難な場所とされ、そのため沿岸には避難港が発達している。とりわけ、黒潮(日本海流)が流れる太平洋側に多く分布する。その反面、鹿島灘以北の太平洋岸には全く灘が見られない。これは、灘という地名の由来が、海運交通の発展と関係が深いと思われる。一方、瀬戸内海にも灘が多数分布する。だが、この灘は穏やかな水域が多く、本来の定義から大きく反する(後に詳述)。

海流の影響による灘

このタイプの灘は遠洋に多い。灘が太平洋側に多いのは主に黒潮(日本海流)の影響である。相模灘、遠州灘、熊野灘、日向灘はこれらに該当する。一方、日本海に面する玄界灘や響灘は対馬海流の影響である。マグロカツオなどの回遊魚などは海流に乗って移動するため、一帯は好漁場となりやすい。

瀬戸内海の灘

瀬戸内海豊後水道にも灘が多く分布する。しかし、これらは洋上のものとは逆に、水面が穏やかなものが多い。これは、灘には、風や波が荒く、航海が困難な場所という意味のほか、陸地の沖合で島が少ない地域を指すことがあるためである。また、神戸市東部の灘五郷の地域に代表されるように、目の前に海原が広がる一帯に灘という地名が付けられている事例がある。よって、瀬戸内海を航海中は、至る所に小島が見られるが、灘と呼ばれる場所は島が少ないことから、海原を表す「灘」と名付けられたと考えられる。海上保安庁の見解では、航海に注意を要する狭い海域と認識されている。

日本の灘

海上保安庁の水路図示に記載されている14か所は太字で記載。