沖縄タイムス

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:Infobox 沖縄タイムス(おきなわタイムス、英称:Okinawa Times)は、沖縄県で発行されている新聞である。株式会社沖縄タイムス社(おきなわタイムスしゃ、英称:The Okinawa Times)が発行する。1948年(昭和23年)7月1日に創刊された。愛称は「タイムス」、沖縄県外での呼称は「沖タイ」である[1]

創刊

沖縄本島で地上戦開始後、首里市の新聞社壕で発行を続けていた「沖縄新報」は、1945年5月25日に解散した。最後まで壕にとどまったかつての沖縄朝日新聞を中心とした社員10人のうち9人(社長代行の高嶺朝光、編集局長の豊平良顕、具志堅政冶、前田宗信、牧港篤三、大山一雄、稲嶺盛国、仲本政基、島袋俊一)が創設メンバー。1945年7月時点で米軍の準機関紙「ウルマ新報」(現・琉球新報)が、教師などの新聞発行未経験者の手により発行されていたが、沖縄タイムスは「新聞人による新聞発行」を目指し、1948年7月1日創刊された。創刊号発行前の6月29日、米軍占領下の軍票(B円)への通貨切り替えのスクープを号外で出し、これが実質的な創刊となった。

特色

論調

米軍基地平和主義非武装中立の立場をとる。最近では安倍政権の憲法改正案や集団的自衛権の解釈変更に難色を示している。[2] 『新南島風土記』などを著した新川明、川満信一ら戦後、沖縄の文化を牽引した記者を擁し、1990年代には、由井晶子が全国紙、地方紙を通じ、初めて女性として編集局長に就任した。

県内シェア

部数は琉球新報と拮抗している[3]。ちなみに、2014年7月現在、沖縄県内で現地印刷を行う全国紙は、日本経済新聞のみである[4]

夕刊

1993年10月より、週休2日制の定着に伴い、第2土曜日付け夕刊を休刊にした(同じ沖縄県をカバーする琉球新報も同)が、2009年3月に夕刊そのものを廃止し、朝刊のみの発行となった。社告ではその理由を「広告需要が急速に落ち込む一方、新聞用紙代の値上げで新聞製作コストが上昇しているため」と説明し、夕刊時間帯のニュース報道はインターネットでの速報体制を強化するとしている。

朝日新聞との関係

朝日新聞那覇総局と共同通信那覇支局が沖縄タイムス本社内に入居している(毎日新聞読売新聞産経新聞時事通信の支局は琉球新報本社内に入居)。創刊メンバーの豊平良顕が戦前、大阪朝日新聞那覇通信部の記者だったことから朝日新聞社とは特に縁が深く、創刊時から協力関係にあった。世論調査を共同で実施し、現在も人事交流がある。

長年、諸事情によりテンプレート:Clarify日本ABC協会非加盟であったが、最近テンプレート:いつ加盟した。

この経緯から朝日系の日刊スポーツ新聞社とフランチャイズを結び、日刊スポーツを発行しているが、本来発行対象地域である西日本版(九州は福岡本社発行分)ではなく、東京本部版の内容を掲載しており、中央競馬以外の公営競技欄・番組表など一部は未収録である。

また朝日新聞社の電子版サービスである朝日新聞デジタルとのセット購読(沖縄タイムスについては沖縄県で新聞販売店と直接配達ができる地域に限る)が可能な「ダブルコース」の募集も行っており、本紙購読者は朝日新聞デジタルを本誌購読料+1000円/月で利用できる[5]

沿革

ファイル:Okinawa Times Building in 1960s.JPG
1960年代の沖縄タイムス社屋
ファイル:Okitai.jpg
2002-2012年の本社(那覇市おもろまち)
  • 1948年 - 創刊号発行。号外が創刊号となる
  • 1949年 - 創刊1周年記念事業として沖縄美術展(沖展)開催。
  • 1951年 - 関西支社開設、本社主催の芸術祭開幕。
  • 1953年 - 東京支社開設、第1回図画・作文、書道展開催。
  • 1954年 - 朝夕刊セット制実施。
  • 1956年 - 福岡支社開設、第1回全琉音楽祭開催。
  • 1957年 - 那覇市久茂地に新社屋完成、第1回タイムス文化講座開催。
  • 1958年 - 日本新聞協会に加盟。
  • 1964年 - 第1回沖縄タイムス教育賞贈呈式
  • 1965年 - 緑化推進協議会と共同で県花決める県民投票実施、デイゴに決定
  • 1966年 - 『新沖縄文学』創刊
  • 1967年 - 第1回沖縄タイムス芸術選賞贈呈式。
  • 1968年 - 「みどりと花いっぱい運動」提唱、沖縄政経懇話会設立。
  • 1974年9月8日 - アテネ発ローマ経由ニューヨーク行きのTWA841便ボーイング707型機が、イオニア海ケフェロニア島近くで爆破され(トランスワールド航空841便爆破事件)、事故機に沖縄タイムスのタイムス・ヨーロッパ産業視察団の上地一史社長(当時)ほか、沖縄タイムスの有力広告主13人が搭乗し、社の上層部と有力スポンサーを失うという惨事があった。
  • 1983年 - 『沖縄大百科辞典』発刊
  • 1984年 - 『日刊スポーツ』の沖縄現地印刷開始。
  • 1985年 - 第1回NAHAマラソン開催。
  • 1993年 - 『新沖縄文学』休刊
  • 1996年 - ウェブサイト開設。
  • 1997年 - 金城真吉に沖縄タイムス賞体育賞を授与
  • 1998年 - 創刊50周年。
  • 1999年 -「新聞制作システムOCEANの開発・導入」で新聞協会賞
  • 2001年 - 1月3日付朝刊を発行開始(琉球新報も同様)
  • 2002年 - 那覇市久茂地から同市おもろまちに本社移転。
  • 2003年 - 創刊55周年、題字を一新。
  • 2008年 - 創刊60周年
  • 2009年
    • 3月より夕刊を廃止。朝刊のみの発行となる。
    • 琉球新報社との間で、災害時やシステム障害などの際の「緊急時における新聞発行の援助に関する協定」を締結。
  • 2011年 
    • 那覇市久茂地に新社屋建設を発表
    • 子ども新聞「ワラビー」を8ページに拡張
  • 2012年
    • 12月、那覇市久茂地の新社屋に移転。12年ぶりにタイムス・ホールも復活した。

報道などの受賞歴

  • 1964年 -「みどり丸遭難事件」の報道記事と報道写真で新聞協会表彰
  • 1971年 -「沖縄毒ガス移送報道」で日本ジャーナリスト会議 (JCJ) 奨励賞
  • 1972年
    • 豊平良顕に第20回「菊池寛賞」(戦後、沖縄の文化全般にわたり保護推進してきた功績)
    • 連載「沖縄基地協定を点検する」「沖縄と自衛隊」(玉城真幸記者他、企画連載協力者)がJCJ奨励賞
  • 1978年 - 新川明『新南島風土記』で第32回毎日出版文化賞
  • 1989年 -「ちゃーすが沖縄」でJCJ奨励賞
  • 1996年
    • 総集「沖縄・米軍基地問題」で新聞協会賞
    • 「脱基地元年-127万人の実験」でJCJ奨励賞
    • 「50年目の激動--総集 沖縄米軍基地問題」で平和・協同ジャーナリスト奨励賞
  • 1998年
    • 山城紀子記者の「共生社会を拓く」で新聞労連大賞優秀賞
    • 山城紀子記者の「心病んでも」で「平和・協同ジャーナリスト奨励賞」
  • 1999年
    • 「OCEANシステム」で新聞協会賞
    • 「心への侵入」が第四回新聞労連大賞優秀賞
  • 2002年- 山城紀子記者の「医の今」で「ファルマシア医学記事賞受賞」
  • 2005年
    • 『戦後60年キャンペーン/新たな視点・証言で探る沖縄戦』でJCJ賞
    • 沖縄タイムス社、神奈川新聞社共同企画「米軍再編を追う 安保の現場から」で「第11回平和・協同ジャーナリスト基金賞」
  • 2006年
    • 『戦後60年キャンペーン/新たな視点・証言で探る沖縄戦』で新聞労連ジャーナリスト大賞
  • 2007年 -『挑まれる沖縄戦/「集団自決」問題キャンペーン』でJCJ賞
  • 2008年
    • 『挑まれる沖縄戦/「集団自決」問題キャンペーン』で新聞労連大賞
    • 『「アメとムチ」の構図――普天間移設の内幕』で「第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞」
  • 2009年
    • 屋良朝博論説委員の「砂上の同盟―米軍再編が明かすウソ―」が平和・協同ジャーナリスト奨励賞
    • 『地域医療のカルテ』が第28回「ファイザー医学記事賞」優秀賞
  • 2010年 
    • 連載「迷走『普天間』」を中心とする一連の報道でJCJ賞
    • 『地域医療のカルテ』が新聞労連優秀賞
    • 沖縄タイムス社、長崎新聞社、神奈川新聞社合同企画「安保改定50年〜米軍基地の現場から」で「第16回平和・協同ジャーナリスト基金賞」
    • 「依存症 回復への扉」が「第29回ファイザー医学記事賞優秀賞」
    • 「生きるの譜」で「貧困ジャーナリズム大賞」
  • 2011年
    • 沖縄タイムス社・長崎新聞社・神奈川新聞社合同企画「安保改定50年〜米軍基地の現場から」で「新聞労連優秀賞」
    • 「わたしらしく 車いすママの奮闘記」で「同疋田桂一郎賞」
  • 2012年
    • 平安名純代・米国特約記者の「ワシントン発一連の基地報道」で新聞労連ジャーナリスト大賞優秀賞
    • 大野亨恭記者の「不発弾処理問題」で第6回疋田桂一郎賞
  • 2013年
    • オスプレイ強行配備をめぐる一連の報道で新聞労連ジャーナリスト大賞特別賞[6]
    • 「波を鎮まれ」で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞(草の根民主主義部門)受賞
  • 2014年
    • 「波を鎮まれ」で新聞労連ジャーナリズム大賞・優秀賞受賞

批判を受けた報道

1975年7月17日に沖縄県糸満市で発生した(ひめゆりの塔事件)において、当時、現地で取材に当たっていた同紙の記者が、TBSの番組において「怪しい男がいたので注目していました」とあたかもスクープであるかのように発言、同番組出演者もそれを絶賛し、「怪しい男」の存在に気づいていたにもかかわらず警察に通報しなかったことが、これを絶賛したマスコミ関係者共々批判を呼んだ。

太平洋戦争末期の沖縄戦で起きたとされる集団自決について、2007年9月28日付で『9.29県民大会特集』と称する記事を掲載。その中に無残な姿で死んでいる住民の写真を「沖縄戦の『集団自決』で亡くなったとみられる住民たち」とキャプションを付けて掲載した。

これに関し、統一教会系新聞社である『世界日報』(翌29日付)が『歪曲される沖縄戦』と題し(鴨野守・編集委員の署名記事)、「この写真は『決定版 日本の終戦46人の目撃者 米国国防総省報道写真班の証言秘録』(1985年双葉社刊)17ページに掲載されている、米軍の火砲、銃弾攻撃によって無残にも亡くなった沖縄の住民達の写真であり、写真を捏造してでも県民の被害者感情を煽ろうとしている」と指摘し、「『真実を次代へ』と呼号しながら、麗々しくこんな偽写真を掲げるのでは運動自体への信用を落とすことにもなろう」という獨協大学名誉教授中村粲のコメントを掲載した。

そもそもこの写真は、大田昌秀が米国での情報公開で発見し、著書『これが沖縄戦だ』(1977年刊)に掲載されたのが初とされている。大田は「米側の説明では『砲撃による死』となっているが、集団自決だろう」と記しているが、その根拠は示されていない。現在は沖縄県平和祈念資料館で展示され、案内冊子には「犠牲になった住民、糸満市、6月21日」と説明されている。

著名な人物

連載

漫画

コラム

筑紫哲也がかつてテンプレート:いつ『沖縄版多事争論』を連載していた。復帰前テンプレート:いつに朝日新聞那覇支局に勤務していた。

拠点

本社

那覇市久茂地2-2-2タイムスビル

印刷工場

浦添印刷センター(印刷工場)。UP(ユーピー)センターともいう。

浦添市伊奈武瀬1-10-5。

支社・支局

テレビ・ラジオ番組表

番組表日刊編集センターから配信されている。

ステレオ放送は番組表内の文字表記(略記号)で「[立]」と表記されている。

最終面 
地上波テレビ。NHK総合テレビEテレ琉球放送琉球朝日放送沖縄テレビ(フルサイズ)、NHK BS1BSプレミアムWOWOWプライム(ハーフサイズ)、解説欄
中面 
衛星放送・ラジオ。民放系BS放送、沖縄ケーブルネットワーク宮古テレビ石垣ケーブルテレビ(3局とも自主編成のチャンネル。宮古テレビと石垣ケーブルテレビは上下2段で2チャンネル分掲載)、AFN(テレビ。「AFRTS」と表記)、一部CS放送、NHKラジオ第1ラジオ第2、RBC iラジオ、ラジオ沖縄NHK-FMFM沖縄コミュニティFM放送(FM石垣を除く。ただしFM石垣もかつては掲載されていた)

県外放送局とラジオNIKKEIは掲載されていない。

海外電子配送版

2002年6月1日からカナダのNewspaper Direct社のサイト『PressDisplay』にて朝刊を閲覧することができたが(有料)[7]、2011年までにテンプレート:いつ中止された[8]

コーポレートアイデンティティ

マスコットは「ワラビー」。こどもを意味する沖縄の方言「わらび」と動物の「ワラビー」をかけている。

メセナ活動

NAHAマラソン 
走者25,000人、「太陽と海とジョガーの祭典」として知られる沖縄県内最大のマラソン大会。
全琉音楽祭 
沖縄タイムスが毎年1月に開催している音楽行事。

関連会社

関連放送局

脚注

テンプレート:Reflist

関連項目

外部リンク

テンプレート:Sister

テンプレート:日本の主な新聞 テンプレート:47NEWS テンプレート:47CLUB テンプレート:Navbox テンプレート:Navbox

テンプレート:朝日新聞社
  1. 日本新聞協会の呼称例
  2. 沖縄タイムス電子版「沖縄タイムス+プラス」2014年6月16日号より抜粋
  3. http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/busu/busu09.html
  4. (沖縄県内全国紙発行部数、読売450部、朝日1304部、毎日320部、日経6845部、産経227部、朝刊ベース、日本ABC協会2010年上半期調べ)。なお、沖縄県内で日経以外の全国紙が全く売られていないわけでなく、各紙毎に東京本社版や大阪本社版、あるいは福岡県の西部本社版を空輸し新聞店に配達したり、コンビニエンスストアや空港・フェリー乗り場の売店などで販売されている。
  5. [1]朝日新聞デジタルのご紹介(沖縄タイムス購読者向けページ)
  6. http://www.shinbunroren.or.jp/oshirase/oshirase.htm
  7. 海外電子配送版社告 2011年1月2日閲覧
  8. List of International Newspaper Titles for Newspaper Subscriptions 2011年1月2日閲覧