東急ホテルズ

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株式会社東急ホテルズ(とうきゅうホテルズ)は、日本ホテルチェーン運営会社である。東京急行電鉄(東急)の完全子会社で、東急グループのホテル事業を担う。

概要

東急ホテルズに至る東急グループの国内のホテル事業は、1960年(昭和35年)開店の銀座東急ホテル(2001年に閉店)に始まる。当初は東京急行電鉄の直営事業だったが、1968年に子会社「株式会社東急ホテルチェーン」を設立し、シティホテル部門を同社が担うことになる。一方で、東京急行電鉄本体の別の部署が1973年(昭和48年)にビジネスホテルチェーン「東急イン」を手がけ、東京急行電鉄の国内のホテル事業は、この2種類が長く存在することになった。

2001年(平成13年)、東急イン事業を本体から分離し「株式会社東急ホテルマネジメント」(後の「東急ホテルズ」)を設立。東急ホテルチェーンとの間で予約販売業務など一部業務の統合をすすめ、2002年に「東急ホテルズ」のホテルブランドを掲げて、事実上の事業統合。2005年(平成17年)に、東急ホテルマネジメントが東急ホテルチェーンや東京急行電鉄からホテル運営事業の譲渡を受けるとともに、現在の商号に変更された。 [1]

沿革

  • 1960年(昭和35年)5月8日 - 後の東急ホテルチェーンの第1号店となる、銀座東急ホテルを開業。
  • 1968年(昭和43年)6月1日 - 株式会社東急ホテルチェーン設立。
  • 1970年(昭和45年)7月1日 - 東急ホテルチェーン発足。
  • 1972年(昭和47年)10月2日 - 東急ホテルチェーンが東京証券取引所市場第二部に上場。
  • 1973年(昭和48年)
    • 10月7日 - 上田交通の子会社である上交開発(現:株式会社上田東急イン)が「東急イン」ブランドの第1号店となる上田東急インを開業。
    • 11月1日 - 東京急行電鉄がイン事業の直営第1号店として京都東急インを開業。
  • 1983年(昭和58年)6月1日 - 東急ホテルチェーンが東京証券取引所市場第一部に指定替え。
  • 1992年(平成4年)3月15日 - 東京急行電鉄が東急インの上級ブランドホテル第1号店として、富山エクセルホテル東急を開業。
  • 1994年(平成6年)4月1日 - 東急インチェーンが会員組織「東急REIクラブ」を創設。
  • 1999年(平成11年)10月1日 - 東急インチェーンが「インターネットリアルタイム予約システム」を導入。
  • 2000年(平成12年)3月1日 - 東急インチェーン、東急ホテルチェーンの宿泊予約サイト「東急チェックインドットコム」を開設。
  • 2001年(平成13年)
    • 1月9日 東京急行電鉄ホテル事業部の一部を分離し、国内ホテル運営会社として株式会社東急ホテルマネジメントを設立。
    • 7月11日 東急ホテルチェーンが上場廃止。
    • 7月17日 東京急行電鉄が株式交換により東急ホテルチェーンを完全子会社化。
    • 7月23日 東急ホテルチェーン、東急インチェーンの予約・販売業務を一元化し、「東急ホテルズ予約センター」を開設。
  • 2002年(平成14年)
    • 4月1日
      • 東急ホテルチェーンと東急インチェーンのマーケティング関連業務の一部を一元化し、「東急ホテルズ」にチェーン名称を統一。
      • 仙台、赤坂、横浜、金沢の「東急ホテル」を「エクセルホテル東急」にブランド変更。博多の「東急ホテル」を「東急イン」にブランド変更。
      • 東急ホテルチェーンの会員組織「ウエルカムメンバーズ」と、東急インチェーンの「東急REIクラブ」を一元化し、新たな会員組織「コンフォートメンバーズ」として発足。
    • 5月27日 東京急行電鉄が国内ホテル経営機能の集約を発表。
  • 2003年(平成15年)4月1日 - 東京急行電鉄がホテル事業を東急ホテルチェーンに営業譲渡。
  • 2004年(平成16年)11月1日 - ポイントサービスティーポイントに参加。
  • 2005年(平成17年)
    • 4月1日 東急ホテルマネジメントが東急ホテルチェーンからホテル事業の各部門を会社分割により吸収し、株式会社東急ホテルズに商号変更。
    • 12月1日 - エクセルホテル東急と東急インに電子マネー楽天Edyを導入[2]
  • 2006年(平成18年)4月1日 - ポイントサービスのTOKYUポイントに参加。
  • 2008年(平成20年)1月9日 - 会員組織「コンフォートメンバーズ」をリニューアル。
  • 2009年(平成21年)6月20日 - 宿泊主体型ハイグレードビジネスホテルの新ブランド第1号店として、ホテル東急ビズフォート那覇を開業。
  • 2010年(平成22年)10月22日 - 「(旧)キャピトル東急ホテル」時代から引き続いて東急ホテルズのフラッグシップホテルを担う、「ザ・キャピトルホテル 東急」 が開業。

ポイントサービス

以下のようなポイントサービスがある。[3]

コンフォートメンバーズ

東急ホテルズ独自の会員組織。東急インチェーンの会員組織「東急REIクラブ」と、東急ホテルチェーンの会員組織「ウエルカムメンバーズ」を2002年(平成14年)4月1日に一元化したもの。年会費無料(最初に加入料が必要)で、最終利用日の翌々年末までに利用する限り半永久的に会員資格が持続する。TOP&カードに付帯したタイプもある。

東急ホテルズ傘下ホテルの宿泊優先予約受付や料金の割引、チェックアウト延長サービスなどの会員特典がある。

ホテルでの宿泊・飲食等に応じて付与されるポイントシステムが付帯しており、たまったポイントは宿泊・飲食料金への充当やギフトカードとの交換、。TOP&カード付帯形会員はTOKYUポイントへの振り替えが可能。ポイントの有効期限はポイントごとの加算日の翌々年の12月31日まで。

また、コンフォートメンバーズカードを提示することで、東急グループ運営のゴルフ場の利用料金割引やNHK学園の生涯学習通信講座の受講料金割引、読売日本交響楽団主催の演奏会のチケット料金割引などの優待措置がある。

提携ポイントサービス

株主優待制度

東京急行電鉄などの株主には、「株主ご宿泊優待券」(無記名式)が配付される。1枚に付き1泊1室限り宿泊料金が30%割引になる。利用の際は宿泊先のホテルか予約センターに直接電話で予約し(旅行代理店経由不可)、事前に「株主優待を使う」旨を伝えなければならない。他の割引との併用不可。残額分についてはコンフォートメンバーズへのポイント加算対象になる。

傘下のホテルブランド

2013年(平成25年)1月1日現在、6つのブランドのホテルを運営、及び運営委託している。尚、一部のホテルにおいてブランドの転換が行われている。

ザ・キャピトルホテル 東急

ザ・キャピトルホテル 東急東京都千代田区)- 東急キャピトルタワー内。東急ホテルズの旗艦店となるホテルで、独立したブランドと位置づけられている。1963年(昭和38年)6月20日に「東京ヒルトンホテル」として開業、1984年の「キャピトル東急ホテル」への改称を経て2006年(平成18年)11月30日閉館。2010年(平成22年)10月22日に、「ザ・キャピトルホテル 東急」として再オープンした。

東急ホテル

高級シティホテル。かつての「東急ホテルチェーン」が展開していたブランド名であり、現在もそのまま引き継いで使用している。なお、開業時「東急ホテル」ブランドであったホテルの中には、建物の建築から期間が経ち、老朽化が進んだ等の様々な理由により、後に「エクセルホテル東急」などへブランド転換されたホテルも存在する。

閉館した東急ホテル

※は東急ホテルとしては営業終了したが、東急ホテルズとは別会社(別ブランド)のホテルとして現存するもの。

エクセルホテル東急

高級ビジネスホテル。従前から東京急行電鉄直営の東急インチェーンの上級ブランドとして存在していたものと、「東急ホテル」からブランド転換したもの(赤坂や金沢など)などがある。

閉館したエクセルホテル東急

ホテル東急ビズフォート

宿泊主体型ハイグレードビジネスホテル。東急ホテルズ移行後に新設されたブランドで、優れた客室空間を提供することを志向している。基本的に宴会場や料飲施設等は持っておらず、専用キーが無ければエレベーターが停止できない女性専用フロア(あるいは、女性専用ルームがあるフロア)の存在や、朝食を宿泊者専用ラウンジにて提供する形式を取っているなど、他の東急ホテルズのブランド(の店舗)とは異なる点が多いのが特徴となっている[7]

東急イン

ビジネスホテル。かつての「東急イングループ」(東京急行電鉄直営ホテル)の主力業態。業態としてはビジネスホテルでありながら、「宿泊・料飲・宴会」の機能を備える所も多い(ホテルによって異なる)。[9]

閉館した東急イン

※は「東急ホテルズ」としては営業終了したが、東急ホテルズとは別会社(別ブランド)のホテルとして現在営業されているもの。

東急リゾート

リゾートホテル。

閉館した東急リゾート

提携ホテル

東急ホテルズの各ホテル同様、「東急ホテルズ予約センター」で空室・料金の照会や予約をできる。また、「コンフォートメンバーズ」や法人契約などの各種割引・特典を利用できる。

過去の提携ホテル

いずれも東急ホテルズとの提携を解消し、別ブランドとして運営されている。

リンクホテル

かつては「リンクホテル」の名称で、「東急ホテルズ以外のホテルで、東急ホテルズがおすすめするホテル」という形態で、東急ホテルズのホームページ等で該当ホテルを紹介していた。ただし、コンフォートメンバーズや法人契約等、東急ホテルズの各種割引・特典は一切適用されなかった。また、東急ホテルズ予約センター及び各ホテルではリンクホテルの予約は受け付けてはいなかった。

  • ホテル クレッセント旭川(北海道旭川市)
  • 青森国際ホテル(青森県青森市)
  • ホテル国際21(長野県長野市)
  • ホテル モナーク鳥取(鳥取県鳥取市)
  • 高知パシフィックホテル(高知県高知市)

提携クレジットカード

現在、新規発行を受け付けているのは、以下のカードとなっている。2009年(平成21年)3月19日から入会受付が開始された。 いずれも、東京急行電鉄の子会社である東急カードと、三菱UFJニコスDCブランド)の提携カードとなっており、それにJMB機能やPASMOの機能を統合した、多機能型カードとなっている。

  • TOP&ClubQ JMBカード(コンフォートメンバーズ機能付き)
  • TOP&ClubQ JMB PASMOカード(コンフォートメンバーズ機能付き)
    • 普通カード
    • 国際ブランド - MasterCard

類似名称

東横イン(東横INN)
株式会社東横インが運営するホテルチェーン「東横イン(東横INN)」は、東急ホテルズの「東急イン」と名称が似ていることや、閉鎖された旧東急インの建物が東横インとしてリニューアルオープンした物件が現状複数存在すること、東急グループの東京急行電鉄東横線(東急東横線)という路線が存在することなど、様々な理由により混同される可能性があるが、東横インは東急グループとは設立当初より全く無関係の、別の会社である。
2006年(平成18年)に東横イン不法改造問題が発生した際や[12]2008年(平成20年)に東横インの前社長が廃棄物処理法違反で逮捕されたときには[13]、東急ホテルズのウェブサイトや各ホテルの店頭では、「東横インは東急グループとは関係ありません」という告知の掲載がなされている。

尚、「東急」に類似した名称を(ホテル名の一部分に)使用したホテルは、前述の東横イン以外にも存在する[14]が、その何れも東急ホテルズ、並びに東急グループとは関係のない、別の会社である。

関連項目

脚注

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外部リンク

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  1. なお、東急グループによる宿泊事業としては、東急ホテルズ以外に東急不動産系で都市型・長期滞在型のホテルを展開する「東急ステイ」、会員制リゾートホテルを展開する「東急ハーヴェストクラブ」、リゾートホテルを展開する「ホテルハーヴェスト」「リフレッツ」がある。また、1960年代から1970年代には海外でホテル事業を手がける「東急ホテルズインターナショナル」が存在した。
  2. 楽天Edyは、後に新規オープンした「ホテル東急ビズフォート」でも使用可能。
  3. 「ホテルへの直接予約限定」「披露宴を除く宴会・会議での利用不可」など、利用には条件が付く。
  4. 浦安のホテル運営9月終了 東急ホテルズ(SankeiBiz2010年4月23日)
  5. 仙台 エクセル東急閉鎖へ 来年11月河北新報 2009年12月3日)
  6. 仙台エクセル東急閉館 開業30年 土地・建物対応焦点(河北新報 2010年12月1日)
  7. 「ゆとり」と「機能」を追求した「ハイグレードBizホテル」2009年(平成21年)3月3日
  8. ホテル東急ビズフォート広島は、1974年(昭和49年)8月1日に広島東急インとして開業。1994年(平成6年)9月の現在地(広島市中区三川町)への移転を経て、2011年(平成21年)11月20日、「東急イン」としての営業を終了し、改装後ホテルブランドの移行がなされた。
  9. 尚、2003年(平成15年)以後は、東急インとしての新規開業(あるいは、東急インへのブランド移行)は行われておらず、営業終了や既存ホテルのブランド移行(例:東急インからホテル東急ビズフォートへの移行)などにより、東急インとしての店舗数は減少の一途を辿っている。
  10. [1] プレスリリース「ホテル運営会社変更のお知らせ」 2010年3月16日 株式会社東急ホテルズ
  11. 昭和49年竣工の旧建物は昭和57年まで使われ閉館した。(⇒現在はホテル・タイセイアネックス)その後、昭和61年に現建物が竣工された。
  12. おしらせ 2006年(平成18年)1月27日。(2008年5月18日閲覧)
  13. おしらせ 2008年(平成20年)10月29日
  14. 一例としては、「東宝イン」(香川県高松市の「東宝イン高松」(地元企業の「高松パレスグループ」(阪急阪神東宝グループとは無関係)が運営)など。