札幌市交通局5000形電車

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テンプレート:鉄道車両 札幌市交通局5000形電車(さっぽろしこうつうきょく5000がたでんしゃ)は、札幌市交通局札幌市営地下鉄)が保有する通勤形電車である。南北線のみで運用される。

概要

1995年2000形の老朽取り替えと、ラッシュ時における混雑の緩和を目的に登場した。それまでの2000形や3000形は編成中の客用ドアが片側16ヶ所(1両当たり2ヶ所×8両)しかなかったため、特に乗降客の多い大通駅さっぽろ駅で乗降に時間を要しダイヤ遅延の原因となっていたほか、1両当たりの全長が13.5m級の小型車両8両編成のためデッドスペースとなる連結部が多く、収容力の面でも課題があった。また、南北線では各駅のホーム長が110m弱で建設されており、大通・北24条麻生などホーム両端に階段が設置されている駅も存在するため、ホームを延長しての車両増結は不可能な状況にあった。

検討の末編み出されたのが、当時東日本旅客鉄道(JR東日本)の山手線などで導入されていた多扉車のように客用ドアの数を増やす方法であり、5000形では1両当たりの全長を18m級に大型化し、編成中の客用ドアを24ヶ所(1両当たり4ヶ所×6両)とすることで乗降の円滑化と混雑緩和が図られた。導入の報道発表があった直後は、座席数の減少や従来車両との乗車位置の違いで混乱を招くといった意見もあったが、結果的に専用席は同等の数を確保し、乗車位置に関しては乗車位置表示の色(緑:旧型車両 青:5000形)で分けて案内することとなった。5000形の導入により南北線の各駅ホームにはLED案内装置が設置され、「○色の乗車位置でお待ち下さい」という表示で旧型車両と5000形のどちらが到着するのかを案内するようになった。5000形の編成数が少なかった時期は両方の案内があったが、5000形が大半を占めるようになると旧型車両到着時に限られるようになった(LEDによる案内は双方表示される)[1]

車体は東西線6000形東豊線7000形と同様の18m級片側4扉のボギー車で、従来の2000形や3000形での13.5m・2車体連接構造から大型化された。電動車 (M) と付随車 (T) の構成(MT比)は3M3Tの6両編成で2000形や3000形の8両編成と同一の編成長となっている。

ファイル:Sapporo Nanboku platform.jpg
2000・3000形用の緑色の乗車位置表示と5000形用の青色の乗車位置表示。2012年3月を以って5000形に統一されたため、同年12月に南北線のラインカラーである緑色のものを5000形のドア位置に移設し、青色のものは撤去された。
ファイル:Sapporo5000Hyouji.JPG
車内に取り付けられているLED案内表示装置(2008年8月)

平行カルダン駆動VVVFインバータ制御を採用し、ゴムタイヤダブルタイヤ)直径は850mmと鉄車輪並みとされた。客用ドアは両開きで、各ドアの室内側上部には路線図案内表示器と路線図+LED併合タイプの案内表示器(横浜市営地下鉄3000A形と類似)が交互に設置されている。
内装はこれまでの札幌市営地下鉄の車両から大きく変化し、片持ち式座席の採用[2]、座席に対し垂直方向(乗降口付近)の吊革の増設、六角形貫通路の形状変化、連結部の転落防止外幌の設置[3]運転席と客室の仕切に大型の窓を設置[4]、シングルレバー式主幹制御器の採用、札幌市営地下鉄では(落成時から)初の自動放送装置採用など、これまでにない仕様が多数盛り込まれた。また、主回路制御方式が2000形の抵抗制御からVVVFインバータ制御に代わったことで消費電力の削減、保守にかかる費用や負担・煩雑さが軽減された。

登場時から現在に至るまで、以下の6両編成で運転されている。

  テンプレート:TrainDirection
号車 6 5 4 3 2 1
車両番号 56xx
(Tc)
55xx
(M)
54xx
(T)
53xx
(M)
52xx
(M)
51xx
(Tc)
xxには編成番号が入る。

登場時点から2012年現在まで、北海道における鉄道車両では唯一の4ドア車両である。

新5000形(第18編成以降)

ファイル:Sapporo subway 5000 LCD.jpg
車内に取り付けられているLCD式案内表示装置(2012年2月)

南北線に残る3000形第2 - 5編成の老朽化に伴い、また2012年度の可動式ホーム柵設置および将来のワンマン運転化を控え、2扉車であるこれらを置き換えるため10年ぶりに5000形が増備されることとなった。外観こそ変化はないが、8000形(2006年度以降増備車)に設置された車両間の強化ガラス製仕切り扉やスタンションポールの設置、蛍光灯カバーの廃止、高低差のある吊革、車内案内表示機の液晶ディスプレイ(LCD)化など、これまでの5000形とは細部が異なる仕様となっている。2009年11月20日より運行開始(第18編成)された[5][6]。なおこの新5000形は、北海道初(現時点では唯一)のLCD式車内案内表示器の搭載車両となった。

なおLCD式車内案内表示器は各ドア上部右側に1台のみ設置されているが、その左側にはJR東日本のトレインチャンネルなどのような広告用画面の設置スペースが準備されている。通常は蓋が被せられており右側の案内用画面のみ使用されているが、かつて2010年12月15日から2011年1月9日まで、外部業者がディスプレイ48台を無償貸与し第18編成の左側の画面を稼働させ広告実験を行っていたこともある。

2009年の第18編成に続いて2010年に第19編成(11月15日より運行開始)、2011年に第20編成(11月28日より運行開始)が登場、これにより5000形の増備は終了した。替わりに旧型の3000形は2012年3月25日限りで第5編成の営業運転を終了し、南北線車両は全て5000形に統一された。

製造

全車川崎重工業製である。

  • 01編成:1995年10月 2000形16編成を置き換え
  • 02編成:1996年11月 2000形10編成を置き換え
  • 03編成:1996年12月 2000形03編成を置き換え
  • 04編成:1997年1月 2000形09編成を置き換え
  • 05編成:1997年2月 2000形17編成を置き換え
  • 06編成:1997年3月 2000形05編成を置き換え
  • 07編成:1997年3月 2000形08編成を置き換え
  • 08編成:1997年11月 2000形02編成を置き換え
  • 09編成:1997年12月 2000形04編成を置き換え
  • 10編成:1998年1月 2000形11編成を置き換え
  • 11編成:1998年2月 2000形12編成を置き換え
  • 12編成:1998年8月 2000形13編成を置き換え
  • 13編成:1998年8月 2000形15編成を置き換え
  • 14編成:1998年10月 2000形07編成を置き換え
  • 15編成:1998年11月 2000形01編成を置き換え
  • 16編成:1999年5月 2000形14編成を置き換え
  • 17編成:1999年6月 2000形06編成を置き換え
  • 18編成:2009年11月 3000形03編成を置き換え
  • 19編成:2010年11月 3000形02編成を置き換え
  • 20編成:2011年11月 3000形04編成を置き換え

改造

ファイル:Sapporo subway 5602 interior 04.jpg
つり革に高低差がついた5000形第2編成車内

1997年7月に01編成の連結面に転落防止用幌の取り付けを行った。また、2006年夏に01・02編成の一部のつり革の高さを低くする改造が施された。これは8000形04編成以降に施されたものとほぼ同じだが、5000形はつり革の高さが変更されただけで、それ以外の改造(ワンマン運転対応など)はこの時には行われなかった。

交通局は2009年度から随時ワンマン運転化改造を行う旨を発表、この時市議会に提出された予算計画には「南北線車両ワンマン運転化工事(5編成)」と記されていた。

ワンマン運転化改造は、東西線8000形の2005年以前導入車両に施されたものとほぼ同じ内容であり、自動列車運転装置(ATO)を搭載し、2012年6月4日からATOによる自動運転が開始されている。

2011年夏には03編成の先頭車前面のLED式行先表示器が新型のものに取り替えられている。これによって、見た目は18編成 - 20編成のものと同様となった。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

外部リンク

テンプレート:札幌市交通局の車両
  1. 2012年3月に南北線の全編成が5000形に統一されたためLEDおよび放送での案内は廃止されたほか、乗車位置表示も同年12月に南北線のラインカラーである緑色に統一され、当初5000形用であった青色のものは撤去された。
  2. ただし片持ち式が採用されたのは5000形のみで、後に導入された東西線8000形車両には採用されなかった
  3. 南北線5000形に設置された転落防止外幌は従来の鉄道車両に比べて大型のもので、車両の窓の上辺部分までの高さがある(後に設置された南北線3000形・東西線8000形はこの半分ほどの大きさである。18編成も同様)。また、一部の編成の転落防止外幌には「アルミニウム・リサイクル」を示すALマークがついている。
  4. この窓はワンマン化改造工事の際に撤去され、東西線8000形のような形状に変更されている。2009年度導入の18編成は当初からこの窓が存在しない。
  5. テンプレート:PDFlink
  6. 平成21年度増備車両の搬入及び車両の報道公開の模様を北海道文化放送北海道テレビ放送が2009年9月9日に放送。