有害玩具

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テンプレート:出典の明記 有害玩具(ゆうがいがんぐ)とは、特に児童の健全な発育に有害で、むやみに持たせるとさまざまな危険があると考えられている玩具や道具全般のこと。

概要

有害とされる玩具の多くは武具的性格を持つ。

エアソフトガンボウガン特殊警棒ナイフスタンガンメリケンサックといった物の多くは、今日においては雑誌媒体に、広告として取り扱い業者が名を連ね、通信販売などで簡単に購入できてしまう状況が長く続いている。

エアガンなどには地方自治体が定める青少年保護育成条例によって購入できる年齢の下限を設けている地域が多く、反面上限は制限されないが、これらは業界自主基準による努力義務の範疇にあることも多く、安易な販売をしてしまう業者も少なくない。なお、都道府県などによって青少年保護育成条例の内容は異なるが、性具(大人のおもちゃ)を有害玩具の一例としている地域(神奈川県など)もある。

武具ではないが小型の半導体レーザー発振器を使ったレーザーポインターも有害玩具の範疇として扱われることがある。この装置は1990年代後半において玩具店やゲームセンタープライズゲームの景品として盛んに販売されていたが、安全面での配慮に欠ける製品も多く、児童らがいたずらしていて視力障害を起こすなどなどの事件が多発した。今日では安全基準を満たしたクラス1レーザーポインターだけが玩具店店頭やプライズゲームの景品として販売されているが、光線を受ける側の体質的な問題によっては、同種低出力の製品であっても健康被害を受けるおそれがあるとして、有害玩具に指定し続けている地方自治体も多い。一時期そのような安全基準のない外国製品が玩具として輸入され社会問題化したことがある。

「正当な理由がなくて刃物鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」については軽犯罪法で拘留、科料の刑が規定されている。また、自治体の迷惑防止条例では「何人も、公共の場所又は公共の乗物において、正当な理由がないのに、刃物、鉄棒、木刀その他人の身体に危害を加えるのに使用されるような物を、公衆に対し不安を覚えさせるような方法で携帯」について刑事罰が規定されている。

社会的な視点

これら物の多くは喧嘩に用いられれば重篤な負傷を負わせかねないものであるため、児童は持たせるべきではないのはもちろんだが、必然性もなくむやみに持ち歩くべきでないと考えられている。その他、1997年に発生した神戸連続児童殺傷事件では、犯人とされる少年の自室から多量のナイフ類が押収され、両親の監督不行き届きが言及されることにもなった。

また日本各地で野良猫飼い犬野鳥を対象として頻発する動物虐待事件においても、これらの玩具が用いられる例も多い。

主な分類と問題点

エアソフトガン(遊戯銃)
硬質のプラスチック球を難燃性ガスまたは圧搾空気の噴射力で打ち出すもので、法的に問題とされないよう、威力を制限したものが市販されている。また威力に応じて「対象年齢」の下限を設け、メーカーでも自主規制団体を結成し、販売店側に不用意に強力な物を販売しないように呼び掛けている。他にも経済産業省では販売業者側に製造販売の慎重な対応と消費者の教育を求めるなどの呼び掛けを行っている。しかし不当な販売や違法な改造は後を絶たず、悪質な違法改造業者がたびたび逮捕されるなどしており、また未改造の物でも、対象年齢18歳以上のものは威力が0.4J未満、競技用は0.8J未満とはいえ至近距離から素肌に弾があたった場合にが残ることもあり、顔に当たった場合はより重篤な負傷をするおそれがあることからシューティングマッチサバイバルゲームなど本来の遊び方でも目や顔を防護するゴーグルやマスクの着用が勧められており、公式のゲームフィールドによっては、着用が義務付けられている場所もある。また、特に不当に改造された物は人間や動物を最悪の場合死に至らしめることもある。対象年齢10歳以上のモデルに対する威力制限の0.135J未満は条例によるもので、18歳以上のそれは業界団体の自主規制団体によるものであるが、自主規制団体に属していないメーカーでもエアソフトガンの販売が可能である点が問題になっており、2005年9月頃より乱射事件の相次ぎ社会問題として扱われ、2006年には銃刀法により、威力が基準値以上となる改造エアソフトガンを準空気銃と位置付け、威力規制が布かれるようになった。
なお、玩具銃器類は戦争・ヒーロー映画などに登場する「カッコイイ人」と自分を重ね合わせて遊ぶごっこ遊びのような遊びに必要とされ、健全な子供が抱く英雄願望を満たす上で有用な玩具とみなすこともできるため、あまりに排斥するのもどうかという意見も少なくない。エアソフトガンを取り上げるのではなく、親権者らが子供に対し安全確保のための指導をしてから使用させればよいと主張する向きもある(健全なサイバルゲーム団体やフィールドでは、参加者にルールと法令の遵守義務を課している。特に威力に関しては、法令よりさらに厳しい制限を課しているところもある)。また、18歳以上対象に指定された機種はマニア向けという性質から比較的「リアルに」作ってある高級モデルが主流となっており、よりリアルさを求めながらも対象年齢には達していないために購入できない高校生などからは不満の声も挙がる。ただし2000年代後半より対象年齢が低く威力も限定的な廉価版モデルでも、企業間の競争が激化する中で各企業が生き残りをかけて細部の丁寧な仕上げでリアルさを求めた製品を登場させてきている。今日、エアガンと呼ばれて玩具店などで販売されている物は、基本的にこのエアソフトガンである。規制の動向に関してはエアソフトガンの項を参照されたい。
モデルガン
銃器の外観やメカニズムを再現した模型の一種であるが、弾丸の発射機能は無く、銃の構造を詳しく知りたい欲求に応えたり、火薬を用いて擬似的な発砲音や動作を楽しむものである。金属製モデルガンが主流だった頃には、威嚇目的で悪用されたり、弾丸が発射できるように改造されたものが出回ったため、拳銃型のものの表面を白色または黄色(金色)に限定し、改造されやすいものの販売を禁止する法規制が行われた。金属製モデルガンの規制が強化された後はプラスチック製のものが主流になったが、1980年代中頃から台頭してきたエアソフトガンにシェアを奪われ、遊戯銃全体に占めるモデルガンの割合は僅かになっている。現在、モデルガンを有害玩具に指定している自治体は京都府など一部に限られる。
ナイフその他の刃物
ポケットナイフは欧米では古くより日常的な道具として用いられ、日本でも江戸時代から刀子と呼ばれる日用品としての小刀があり、肥後守という伝統工芸品的な物がある。これらの刃物は人類進化してきた上で、の使用と同程度の意味がある以上、普段からよく使う道具として考えることができる。このため少々怪我をしても、児童には大いにナイフを使わせ、多少の怪我を経験し刃物の扱いと危険性を学習させるべきだと考える人も多い。しかしフォールディングナイフやキャンプ用のシースナイフならまだしも、ダガー銃剣のような実質的に武器として発展してきた物ともなると少々話は違ってくる。通信販売では、銃剣や凶悪なスタイルのファイティングナイフが販売されており、一部の店では携帯はおろか所持するだけでも問題視されるものも販売されている。この問題では、白兵戦に使用することを主目的に製造されたナイフを販売していた者達が銃刀法違反などで有罪に処された例がある。道具として扱う分には知育玩具ということも可能だが、リンゴをむいたり鉛筆を削るのに適さないような種類のナイフは有害とみなすことができる。
特殊警棒
強化プラスチックや金属製の伸縮式スチールパイプ棍棒で、合法的な防犯グッズのひとつとされているが、扱いようによって相手を死傷させられる武器になる。各国の警察組織が採用しているものを輸入して販売する業者もあるが、中には粗雑で安価なコピー商品も売られており、簡単に壊れるものもある。重量はその製品にもより異なるが、三段伸縮式のものではおおむね300グラムから400グラム程度と木刀(装飾用ではなく武術用のもの)よりも軽量とはいえ、それでも人を打ち据えれば骨折させることもある。護身用にと持ち歩く手合いもいるが、たとえ護身用であれ、常時携帯するのは軽犯罪法に抵触する。無闇に乱用すれば怪我人を出すので、責任力も無く未成熟な児童や成人らによる所持は(当人にとっても)危険である。
クロスボウ(ボウガンないし洋弓銃とも)
基本的に狩猟あるいは競技用の器具である。銃器(とりわけライフル銃)に比べれば殺傷力も飛距離もはるかに劣ってはいるものの、矢じりが人体の急所(動脈神経)に刺されば、15メートル先にいる人間に対して生命にかかわる傷を与えかねない。クロスボウが悪用された場合にもっとも危惧すべき点は、殺傷力ではなく、銃器と違い無音で犯行に及ぶことが可能な点にある。現段階ではスポーツ用の器具として、誰でも購入することが可能である。また、部活動などの形で学校教育にも取り入れられている弓道用の和弓アーチェリー用の洋弓との兼ね合いから法規制の枠外であり、全国的な法規制は現在のところ困難である。しかし、みだりに携帯すれは、職務質問などでクロスボウの所持を発見した警察官の判断によっては、軽犯罪法違反の現行犯として検挙されることがあり、現にクロスボウを乱用して犯罪を起こした者には、厳しい処罰が待っている。売買にあたり、地域条例などで販売対象年齢は制限されている地域も多い。ただ、通信販売の場合は相手の年齢を確認しうる確実な方法もないため、相当数のクロスボウが不適切な所有者の手にあり、乱用されるおそれがあるという意見もある。乱用者の中には、動物を撃ってみたいという衝動などから野外の動物に矢を発射し、矢が刺さって負傷した野鳥や野良猫が保護される事件もたびたび発生している。クロスボウは、至近距離から急所に撃ち込まれることさえ避けられれば生命を失う恐れは低いが、エアソフトガン同様、殺傷力や命中精度の強化を目的とした不当な強化改造といった問題も懸念される。
スタンガン催涙スプレー 他 
これら相手の行動の自由を奪う器具による暴行事件や強盗事件、恐喝事件も発生している。なおスタンガンや催涙スプレーの使用は刑法上では傷害として扱われるため、これらを用いて上記犯罪を行った場合は肉体的な損傷の有無に関わらず強盗傷害事件暴行傷害事件、または恐喝傷害事件として扱われ、それ相応に重い求刑と民事上の制裁(噴射された施設側や被害者による損害賠償や治療費の請求など)が成される。ただ、護身具として催涙スプレーなどの所持は、犯罪被害から逃れるために有効であるとする最高裁の判例があり、実際に難を逃れた事例も少なくはないため、一概に有害だとして社会から排除することはできない。
ダーツ
日本、アメリカでは有害玩具の指定外だが、ヨーロッパの一部の国では針の部分を使用して人を殺す危険性があるため、有害玩具に指定されている国がある。

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外部リンク

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