書留郵便

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テンプレート:国際化 書留郵便(かきとめゆうびん、Registered)とは郵便の特殊取扱の一つである。

ここでは、書留(一般書留・現金書留・簡易書留)のほか、特定記録および、かつて取り扱われていた配達記録についても解説する。

概要

主に、現金金券類といった貴重品や、重要書類を送付する際に利用される。なお、郵便法第17条では、 テンプレート:Indent としている。

書留扱いの場合は、引き受けから配達までの送達過程を記録しており、郵便追跡サービスでの逐次追跡も可能である。郵便物等が破損したり不着の場合、 原則として損害要償額の範囲内で実損額が差出人に対して賠償される。

受け取りにおいては、受領印またはフルネームのサインが必要である。宅配ボックスへの配達は、書留対応の場合以外は不可能である。なお、日曜祝日も配達を行う。

なお、ゆうメールを書留とすることもできる。また、かつては「書留ゆうパック」(さらに以前は書留小包)も存在したが、JPエクスプレスからの宅配便事業の譲受に伴い、補償額上限を50万円に一本化[1]した「セキュリティゆうパック」が設定されたため、2010年7月以降は書留扱いは行わなくなった。また、従前の書留一般小包郵便物からの流れで、書留郵便に付加する特殊取扱の一部について、現行の「セキュリティゆうパック」に付加して利用可能なものもある。

書留の種類

内国郵便

「書留」は郵政民営化前は一般書留のみを指す言葉であったが、民営化後は「書留」とは一般書留、簡易書留、現金書留の総称となった。

一般書留

現金でない高額の貴重品を送る場合に使われる。郵便物の引受から配達までの送達過程(ただし、翌朝10時郵便と新特急郵便を一般書留とした場合は、引受と配達のみ)を記録し、損害賠償額の最高額は500万円。賠償額が大きいほど料金が高くなる。最低料金は賠償金額10万円までで430円。さらに50,000円まで増えるごとに21円が加算されていく。なお、配達証明本人限定受取特別送達・引受時刻証明の取扱とする場合は一般書留としなくてはならない。民営化前には単に書留と呼んだ場合は、この一般書留のことを指した。民営化後でも、一般書留を窓口に差し出すと、職員により「書留」というスタンプ印が押される。

簡易書留

郵便物の引受と配達のみを記録し、補償額は上限を5万円とした実損額である。最大賠償額が少ない代わりに、料金が一般書留よりも安い。特殊取扱料金は310円。2009年2月28日までは350円、2014年3月31日までは300円だった。簡易書留料金としては値下げされたが、低料金で同様な扱いが受けられ利用の多かった「配達記録郵便」(後述)の廃止により、事実上の後継サービスが簡易書留となったため、配達記録郵便の利用者にとっては実質90円の値上げとなった。

現金書留

現金[2]を郵便で送る場合は現金書留でなければならない[3]。郵便物の引受から配達までの送達過程を記録し、損害賠償額の最高額は50万円。賠償額が大きいほど料金が高くなる。最低料金は賠償金額1万円までで430円。さらに5,000円まで増えるごとに10円が加算されていく。現金書留は指定の現金封筒(有料、売価21円)に入れて差し出すのが基本である。現金封筒には通信文の封入も可能。以前は現金書留ゆうパックとしてゆうパックで現金を送ることができたが、サービスの改訂で2010年7月1日以降はゆうパックで現金を送ることができなくなった。

(参考)特定記録

特定記録は書留ではないが便宜上、ここで記述する。2009年3月1日から取り扱いが開始された。それまで存在した「配達記録郵便」の代替となるサービスの一つである。郵便物の引受に関しては書面で記録される一方で、配達に関しては受取人の郵便受箱に配達したことのみが記録される。つまり、受取人の受領印(もしくはサイン)なく配達が完了する点において、以前存在した配達記録と異なる。手渡しや不在時の再配達によるコストがないため、特殊取扱料金は160円に抑えられており、以前の配達記録よりも安い。郵便追跡サービスも利用できるが、2011年3月までは配達出発前に支店内で「配達完了」の端末入力が行われていたため、「郵便追跡サービスに表示される配達完了時刻」と「実際の配達時刻」は時間差があった。したがって、差出人は「配達日」を知ることはできるが正確な「配達時刻」を知ることはできなかった。しかし、2011年4月以降は順次配達先での入力に変更し、時間差は解消しつつある[4][5][6]。なお、「配達記録郵便」と異なり、日曜・祝日の配達は行わない。併用できる特殊取扱は、速達・配達日指定・受取人払いがある。

(参考)かつて行われていた特殊取扱

配達記録

2009年2月に廃止された特殊取扱である。1995年に取り扱いが開始された。正式には書留ではないが、郵便実務上は書留に近い。郵便物の引受と配達を記録する点は書留と同じであり追跡サービスが利用できたが、万一事故などで配達できない場合でも局員の故意または明らかな過失が認められない限り損害賠償を請求できない。料金は210円(1度に300通以上など、4つないし5つの条件を満たせば、15円ないし50円の割引がある)。ただし、速達・配達日指定以外の取扱とは併用できない。クレジットカードやキャッシュカード・通帳、証券、コンサートチケットなどを確実に届けるために大口顧客による利用が多かった。当初、2008年11月17日をもって廃止する予定で認可申請が出されたが、コストダウンを進める大口利用者からの反発は大きく、廃止発表から実施日までの期間が短すぎてシステムの対応が出来ない等の苦情が多数(約200件)寄せられた。そのため2008年9月24日、「周知期間をとる」とし廃止時期を変更して認可申請を再提出。最終取扱日を2009年2月28日に延期され、当日引受分をもって終了した。事実上の後継サービスは簡易書留である。

2008年のサービス見直しの背景には、郵便事業会社が書留部門の大幅な採算割れを看過できなくなったことがあげられる。郵便事業会社が公表している部門別収支では、2006年度の「速達・書留部門」は年間424億円の赤字を計上し、郵便事業全体の足を引っ張る存在となっている。社会構造の変化(共働き家庭の増加等)により通常昼間に行われる書留郵便物の配達時に不在により配達できないことが多くなり、再配達となるケースが増加した。これが「利用者が増加しても利益につながらない」悪循環を招いたといわれる。上記の通りクレジットカード会社などの大口顧客が大量の郵便物を料金の安い配達記録郵便で出していた。郵便事業会社にとっては配達記録郵便は料金を書留郵便の半額しか取れないにもかかわらず再配達のサービスは同じ基準で行わなくてはならない。書留部門において配達記録郵便の占める通数が半数に達するに至り、改訂(廃止)となった。

国際郵便

書留
郵便物の引き受けおよび配達のみが記録される。6,000円までの実損額が賠償される。内国郵便の簡易書留に似る。6,000円より高額な賠償を必要とする場合には、別の特殊取扱である保険付が適切である。

書留に付加する特殊取扱

以下の特殊取扱は、特記のない場合、一般書留とした郵便物に対してのみ付加することができる。

配達証明
一般書留郵便を配達した事実を証明する。料金は310円(ただし、差出後に配達証明を請求すると料金は430円となり、発送時の受領証が必要となる)。
引受時刻証明
一般書留郵便物を引き受けた時刻を証明する。料金は310円。
本人限定受取郵便
下記の3種類に細分される。料金はいずれも100円。日本郵便から「通信事務」で届く配達通知書(封筒に封入、封緘されている)が届く。この時点では配達人は書留本体を所持しない。郵便と付いているが、セキュリティゆうパックに付加することもできる。
基本型
日本郵便が指定する場所(ゆうゆう窓口ないしは郵便局の郵便窓口)に、配達通知書と本人確認書類を持って受け取りに行く方法。後2種と異なり、配達での受け取りはできない。写真付き公的証明書が1通、または写真の付いていない公的証明書(健康保険証など)や写真付き職員証 / 学生証等の内から2点の提示が必要となる。窓口担当者に本人確認書類を提示し、その種類や番号があるものはその番号を控える事によって本人確認を行う。
特例型
自宅(封筒に記載されている名あて人の住所)への配達(自宅以外は不可)か、窓口(ゆうゆう窓口郵便局の郵便窓口。これは受取人の集配担当支店管外でも良く、職場近隣などへ転送も可)へ受け取りに行くかのいずれかを選択できる。氏名、住所および生年月日の記載がある公的証明書1点の提示が必要で、これは写真の有無を問わない(基本型と異なり健康保険証ならそれだけで受け取り可能になる)。配達員や窓口担当者に、本人確認書類を提示し、その種類や番号のあるものはその番号を控える事によって本人確認を行う(受け取りの場合には配達通知書も必要)。これは主としてインターネット経由でクレジットカード入会や銀行キャッシュカード新規申し込みなどの際、申し込み時点では本人確認を行わなず受け付け、送付時に確認をするような場合に多く利用されている。
特定事項伝達型
略して「特伝型」と称することもある。大まかな点は特例型とほぼ同じ。異なる点として、窓口での受け取りは受取人住所を管轄する配達担当支店のゆうゆう窓口のみとなり、郵便局の郵便窓口は不可となること、転送不要が必須であること、差出人に対して本人確認書類の名称および記号番号(番号のないものについては発行者名)・本人確認書類に記載される名あて人の生年月日・本人確認を行った者の氏名・本人確認書類の提示を受けた日時が通知されること、本人確認書類が旧住所や旧姓である場合に他の書類での確認や口頭質問を行わないため受け取りができないこと、差出は法人に限られ、事前に契約の際に届け出た郵便事業支店のゆうゆう窓口のみ(郵便局の郵便窓口は不可)となること、支払が料金後納扱いのみとなることが挙げられる。また、差出人は本人確認の内容について、登録を受けたウェブサイトから確認(ダウンロード)可能となる。特例型と同様に、キャッシュカード・クレジットカードの送付に多く利用される。
特別送達
民事訴訟法上の送達に用いられる。
内容証明
郵便認証司が文書の内容を証明する。
受取通知 
国際郵便の特殊取扱のひとつ。郵便物に受取通知用紙を張り付けて一緒に郵送し、配達の際にその用紙を取り外し受取人からサインを貰う。これを差出人に返送するサービス。書留・保険付・国際小包の扱いにしたものに限り、取り扱うことができる。「A.R.=Advice of delivery(Avis de reception)の略」 
代金引換
郵便物ないしはゆうメールで発送する場合、引換金額が5万円未満の場合、普通扱いでも可能。5万円以上30万円未満の場合は最低でも簡易書留、30万円を超える場合は一般書留によらなければならない。ゆうパックの場合は、引き換え金額が30万円を超える場合はセキュリティゆうパックによらなければならない。専用の送り状の帖付を要する(送り状自体は、郵便物・ゆうメール用については、一般書留扱いか否か電信扱いか否かで、全4種類存在する。ゆうパック用はこれとは別に、電信扱いか否かで2種類存在)。

備考

貼付する切手
切手#書留切手も参照。
書留郵便については郵便窓口(ゆうゆう窓口を含む)でのみ引き受ける(=郵便ポストへの投函はできない)ため、当該郵便物を差し出す際に切手を貼り付けることなく郵便窓口へ持っていき、所定の料金を支払うことで利用できる。この場合、簡易郵便局等特段の場合を除いて郵便窓口職員が郵便局備え付けのメータースタンプを発行し、差し出す郵便物に貼り付けることになる。
また、他の郵便と同様、あらかじめ料金額相当の切手を貼付し、郵便窓口へ差し出すこともできる。なお、日本においては書留専用の切手は発行されていない。

脚注

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関連項目

外部リンク

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  1. 「書留ゆうパック」は、基本の補償額上限は35万円だったが、オプションサービス(料金追加)で上限を50万円とすることも可能であった。また、JPエクスプレスのセキュリティサービスの場合は一律に、上限を50万円とした実損害額の補償であった。
  2. 日本銀行発行の紙幣および日本政府発行の補助硬貨のことであって、外国の紙幣および硬貨は含まれない。また日本円でも古銭は含まれない。
  3. 現金を入れたのに現金書留をしないで普通郵便で送ることは郵便法第17条に違反であり、発覚した場合は同法第40条の規定により郵便物が差出人に戻される。同法第84条第1項では、不法に郵便に関する料金を免れた者に対して30万円以下の罰金刑が規定されている。
  4. 特定記録 - 日本郵便
  5. 追跡サービスを確認すると「お届け先にお届け済み」と表示されているのに、配達されていないことがある - 日本郵便 テンプレート:リンク切れ
  6. 同様の入力方法であったレターパックライトも同月より配達先での入力となった。