普通話

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テンプレート:中華圏の事物 普通話(ふつうわ/プートンホワ)は、中華人民共和国において公用語として定められた中国語のことをいう。「普通」は「普(あまね)くゆき渡った」「普遍的に通じた」を意味する。 北京語音を標準音とし、北方話を基礎方言とし、典型的な現代白話文の著作を文法規範とする。現代の普通話は中国の公用語とされる。1950年代から1960年代にかけて共産党と人民政府により、普通話の名称と簡体字ピンインの採用などその内容を法律として定められ、各民族も普通話を学ぶことが推奨されている。中国語圏外の外国語教育における「中国語」は、一般的に普通話を指す。

規定

発音

発音北京語音を標準音とする。これは北方方言に属する音であっても、北京語と全く同じわけではなく、北京土着の音は含まれない。歴史的には清代、官吏たちの共通音として北京官話が設けられ、中華民国になると五四運動以降、国語運動が起こり、国音として採用された。

語彙

語彙北方方言を標準語彙としている。北方方言は使用人口が最も多く、使用地域も東北華北西北西南江淮一帯と広範囲に分布しているため普通話の基礎語彙として採用された。ただし、北方方言のすべての語彙が採用されているわけではなく、他の方言語彙でも影響力の大きなものは普通話に採用される。

文法

文法は典型的な現代白話文の著作で使われている文法を標準としている。ここでいう「現代」とは五四運動1919年)以降のことをいう。白話とは唐代に生まれ、を通じて確立されてきた口語に接近した書き言葉のことをいう。白話によって書かれた文学は白話文学といわれる。これに対立する古典的な書き言葉は文言と呼ばれる。近代中国の新文化運動時代になると、言文一致を目指し、文言文を廃して白話文を採用するという白話文運動が展開され、新しい白話文の形が模索された。こうして確立された現代白話文の文法規則が普通話の標準文法として採用されている。

歴史

前史

テンプレート:Main 中国の歴史のなかでも古くから政治的に何らかの共通語が設けられていたと考えられている。春秋時代、『論語』には孔子が『詩経』や『書経』を読んだり、儀礼を行う際に「雅言」を使ったと書かれており、これは統治階層が使っていた共通語ではないかと考えられている。漢代揚雄方言語彙を記録した書物『方言』には、「通語」という言葉が現れている。異民族に支配された元代には「天下通語」と呼ばれる共通語があったとされる。時代には官話と呼ばれる官吏たちの使う共通語があったことが知られており、明末に訪れた宣教師は官吏(マンダリン)の言語と呼んだ。明代から清初にかけては南京音を標準音とした南京官話であったと考えられており、満洲民族によって支配された清代になると徐々に首都北京の音を基準とした北京官話が有力になっていった。中華民国成立と前後して、官話の名称は国語と改められた。 日本に潜伏した清国維新派の王照が日本のカタカナを参考に1900年に「官话合声字母」を発表し、それをベースに 国が漢字の読みを統一する国音(標準音)の検討を通じて注音符号が採用された。 国音のつづり方は激論の末 各地の発音を折衷したものとなった。 新文化運動の時代には言文一致運動にあたる白話文運動が起こり、それまで古典に対する教養を前提とした統治階層の書き言葉である文言文を廃止し、一般民衆が話す言葉に根付いた書き言葉である白話文を使うことが提唱された。紆余曲折を経て、最終的に北京語音が国音となった。

普通話の歴史

「普通話」という言葉を初めて使ったのは朱文熊とされる。朱文熊は1906年、『江蘇新字母』において中国語文言・普通話・俗語に3分類した。 中華人民共和国成立後の1955年10月共産党と人民政府は全国文字改革会議と現代漢語規範問題学術会議を招集し、そこで現代漢民族の共通語の名称「普通話」とその内容が確定された。これを受けて教育部は11月、「中学・小学および各級師範学校において大いに普通話を推し広めることに関する指示」を発表した。翌1956年国務院が「普通話を推し広めることに関する指示」を頒布して、普通話の名称と内容を法律として定め、同年5月、「各省(市)教育庁(局)において普通話推広処(科)を設立することに関する通知」を発表した。1957年には教育部が「継続して普通話を推し広めることに関する指示」を発表し、1960年には中国人民解放軍総政治部が「全軍において拼音字母を学び普通話を推し広めることに関する指示」を発表し、教育機関や軍隊において普通話を使うことが推奨された。その後、文化大革命により普通話政策は一旦頓挫することになるが、文化大革命終結後、再開され、1982年11月には第5期全国人民代表大会第5次会議を通過した中華人民共和国憲法第19条に「国家は全国で通用する普通話を推し広める」ことが規定され、普通話の公用語としての地位が確立された。

音韻体系

普通話の音韻体系では、21の子音と10の母音音素として立てられている。中国語音節構造は(子音C) + (母音M) + 母音V + (子音C/母音V) / 声調T、すなわち(C)(M)V(C/V)/T である。伝統的な中国音韻学では、先頭部分のCを声母、M以下の部分を韻母に2分し、それに声調を加えて分析している。普通話では21の声母と39の韻母があり、声調では4種の調類がある。 普通話の音節には入声が存在せず、日本語における促音のようなつまる音に相当する発音がない。テンプレート:要出典範囲 中国語は主として漢字で表記するが、音素を表記するために拼音(ピンイン)と呼ばれるローマ字が使われる。これに声調記号を組み合わせることで発音を表現する。

声母

声母とは中国語音節構造上、頭子音にあたるものをいう。普通話では21の声母が設けられている。この他に頭子音として半母音[w, j, ɥ]が存在し、wとyで表記されるが、伝統的にこれらは韻母に分類される。ただし、小学校のピンイン教育では便宜上、wとyを準声母と見なし、声母を23とすることがある。なお、音韻分析の基礎となった満州族王朝の満州語も同じく声母が23であり、北京官話と満州語のつよい歴史的関連を示している。

調音方法調音位置 両唇音 唇歯音 歯茎音 そり舌音 歯茎硬口蓋音 軟口蓋音
破裂音
(無声)
無気音 b [p] d [t] g [k]
有気音 p [pʰ] t [tʰ] k [kʰ]
破擦音
(無声)
無気音 z [ʦ] zh [ʈʂ] j [ʨ] ²
有気音 c [ʦʰ] ch [ʈʂʰ] q [ʨʰ] ²
摩擦音 (無声) f [f] s [s] sh [ʂ] x [ɕ] ² h [x]
鼻音 (有声) m [m] n [n]
側面音 (有声) l [l]
接近音 (有声) r [ɻ] ¹

¹ r を有声そり舌摩擦音 [ʐ] と分析することもあるが、無声・有声の対立が他に無いこと、および実際の発音で摩擦が必須ではないことから、そり舌接近音 [ɻ] と見なしている。
² j, q, x ([ʨ, ʨʰ, ɕ]) の三者は独立の音素ではなく、z, c, s ([ʦ, ʦʰ, s])、zh, ch, sh ([ʈʂ, ʈʂʰ, ʂ])、g, k, h ([k, kʰ, x]) のいずれかの三者の異音と見なされる。一般には、g, k, h の異音と見なすのが好まれる。この組が b, p, f および d, t, l の各組と並列になるためである。普通話の点字はそのようになっており、ピンインの j, q, x の点字はそれぞれ g, k, h の点字と同じである。

韻母

韻母とは、中国語の音節構造上、頭子音を除いた残りの部分をいう。介音、主母音、尾音からなる。介音は半母音テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 のいずれか、尾音は半母音の テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 および鼻音の テンプレート:IPA2, テンプレート:IPA2 のいずれかである。普通話の韻母の重要な特徴は、主母音の テンプレート:IPA2テンプレート:IPA2 の対立である。

主母音 尾音 介音
Ø テンプレート:IPA2 テンプレート:IPA2 テンプレート:IPA2
テンプレート:IPA2 Ø [ä]
a
[iä]
ya
[uä]
wa
 
テンプレート:IPA2 [aɪ]
ai
  [uaɪ]
wai
 
テンプレート:IPA2 [ɑʊ]
ao
[iɑʊ]
yao
   
テンプレート:IPA2 [an]
an
[iɛn]
yan
[uan]
wan
[yœ̜n]
yuan
テンプレート:IPA2 [ɑŋ]
ang
[iɑŋ]
yang
[uɑŋ]
wang
 
テンプレート:IPA2 Ø [ɤ]
e
[iɛ]
ye
[uǫ]
wo ¹
[yœ̜]
yue
テンプレート:IPA2 [eɪ]
ei
  [ueɪ]
wei
 
テンプレート:IPA2 [ǫʊ]
ou
[iǫʊ]
you
   
テンプレート:IPA2 [ən]
en
[in]
yin
[uən]
wen
[yn]
yun
テンプレート:IPA2 [ɤŋ]
eng
[iŋ]
ying
[uɤŋ]
weng ²
[iʊŋ]
yong
Ø [z̩]
-i
[i]
yi
[u]
wu
[y]
yu

¹ ピンインでは b, p, m, f のあとに o を用いるが、これは他の頭子音のあとの uo と同じである。
² テンプレート:IPA2 は頭子音があると [ʊŋ] に変わり、ピンインも weng から -ong になる。 r化した韻母を以下に示す。

主母音 尾音
(r化)
介音
Ø テンプレート:IPA2 テンプレート:IPA2 テンプレート:IPA2
テンプレート:IPA2 Ø [ɐɻ] [iɐɻ] [uɐɻ]  
テンプレート:IPA2 [ɐɻ]   [uɐɻ]  
テンプレート:IPA2 [aʊɻ] [iaʊɻ]    
テンプレート:IPA2 [ɐɻ] [iɐɻ] [uɐɻ] [yɐɻ]
テンプレート:IPA2 [ɑ̃ɻ] [iɑ̃ɻ] [uɑ̃ɻ]  
テンプレート:IPA2 Ø [ɤɻ] [iəɻ] [uoɻ] [yəɻ]
テンプレート:IPA2 [eɻ]   [ueɻ]  
テンプレート:IPA2 [əʊɻ] [iəʊɻ]    
テンプレート:IPA2 [əɻ] [iəɻ] [uəɻ] [yəɻ]
テンプレート:IPA2 [ɤ̃ɻ] [iɤ̃ɻ] [ʊ̃ɻ] [yʊ̃ɻ]
Ø [əɻ] [iəɻ] [uɻ] [yəɻ]

r化は テンプレート:IPA2 および テンプレート:IPA2 を単に削除し、テンプレート:IPA2 を削除して主母音を鼻母音化する。 以下に伝統的な分析を示す。普通話の韻母の種類には単母音で構成される単韻母二重母音・三重母音で構成される複韻母、音節末子音が鼻音で構成される鼻韻母がある。いくつかの方言に見られる破裂韻母(入声)は普通話には存在しない。複韻母についてa, e, o から始まる下降二重母音の韻母を前響複韻母、i, u, ü から始まる上昇二重母音の韻母を後響複韻母三重母音の韻母を中響複韻母という。韻母は発音開始時の口の開き方から四呼の4種に分類される。

開口呼 斉歯呼 合口呼 撮口呼
単韻母 -i [ɿ][ʅ] i [i] u [u] ü [y]
a [ä] ia [iä] ua [uä]
o [o] uo [uo]
e [ɤ]
ê [ɛ] ie [iɛ] üe [yɛ]
er [ɚ]
複韻母 ai [aɪ] uai [uaɪ]
ei [eɪ] uei [ueɪ]
ao [ɑʊ] iao [iɑʊ]
ou [oʊ] iou [ioʊ]
鼻韻母 an [an] ian [iɛn] uan [uan] üan [yɛn]
en [ən] uen [uən]
in [in] ün [yn]
ang [ɑŋ] iang [iɑŋ] uang [uɑŋ]
eng [ɤŋ] ueng [uɤŋ]
ing [iŋ/iəŋ] ong [ʊŋ] iong [iʊŋ/yŋ]

通常全ての母音は口母音で発音されるが、[ŋ] で終わる音節の母音は、儿化しなくても鼻母音で発音されることが多い。 韻母はさらに韻頭・韻腹・韻尾の三つの部分に分けて分析される。韻頭は上昇二重母音の始めの音色である狭母音あるいは半母音を表し、介音と呼ばれる。韻腹は単母音あるいは二重母音・三重母音中、最も際だった音色の母音を表し、主母音と呼ばれる。韻尾は下降二重母音の終わりの音色である狭母音であるか音節末の鼻音子音を表し、尾音と呼ばれる。ピンインによる音声表記はこの3分法に対応している。

例字 声母 韻母
韻頭 韻腹 韻尾
介音 主母音 尾音
母音 子音
m a
t i ê
b a o
g e n
u a ng
sh u e i
ü a n
er

声調

中国語は音節内の音高の違いによって意味を弁別する言語であり、この音節内の音高パターンを声調という。声調の種類のことを調類といい、普通話には陰平陽平上声去声の4種の調類が設けられている。これを四声ということがある。古代中国語に平声・上声・去声・入声と呼ばれる四声があったが、北京官話(満州化漢語)では平声が二つに分かれて陰平と陽平になり、普通話策定のときに入声復活採用案は否決され、削除されて今日にいたっている。

調類 声調値 例字 拼音 国際音声記号
陰平(第1声) 55 [ʦu˥]
陽平(第2声) 35 bái [paɪ˧˥]
上声(第3声) 214 shuǐ [ʂueɪ˨˩˦]
去声(第4声) 51 [ʨy˥˩]

声調は音の高さだけでなく、音の長さにも関わっている。普通話の四声では上声が最も長く、その次に陽平、陰平、去声の順で短くなる。このため声調によって音が変化する場合があり、例えば、韻母ueiの主母音は上声でははっきりと発音されるが、他の声調ではあいまいであったり、省略されたりする。

連音変化

音節音節が結合し、語や文が作られる過程の中で音の変化が起こることがある。代表的な音変化に以下のようなものがある。

軽声

軽声とは、単語や文のなかで音節が本来の声調を失うことをいうが、声調が音の高さによって特徴づけられるとすれば、軽声は音の強さによって特徴づけられ、短く弱い調子で発音される。その音の高さは、その音節本来の声調とまったく無関係に、前の音節の声調によって決められる。

調類 声調値 拼音
陰平(第1声) + 軽声 2 桌子 zhuōzi
陽平(第2声) + 軽声 3 牌子 páizi
上声(第3声) + 軽声 4 椅子 yǐzi
去声(第4声) + 軽声 1 帽子 màozi

声母無気破裂音破擦音は軽声では有声音化しやすい。

  • b[p][b]
  • d[t][d]
  • g[k][g]
  • j[ʨ][ʥ]
  • z[ʦ][ʣ]
  • zh[ʈʂ][ɖʐ]

韻母の主母音は中央寄りとなり、あいまい母音化する。例えば、「爸爸」は[pa51pa51]から[pa51bə1]となる。

変調

変調とは、後の音節がもつ声調との関係や文法的機能により声調が変化することをいう。

上声 + 上声
上声が連続する場合、前の上声は声調値が35、つまり陽平になる。
上声 + 上声以外
この場合、上声は低くなったまま高く成らず、声調値が211となる。これを半上と呼ぶことがある。
上声 + 軽声
これも半上211となることが多い。ただし、本来上声であった軽声の場合は陽平35で発音する場合と半上211で発音する場合の2通りがある。例えば、哪里(どこ)は陽平で発音され、姐姐は半上で発音される。
上声が三つ連続する場合
言葉の構造により、変調の状況も異なる。例えば、「冷水澡 lěngshuǐ zǎo」のような「2音節の言葉(冷水、冷たい水)+1音節の言葉(、シャワー)」の構造なら、最後の上声だけ本来の上声で発音し、前の上声はすべて陽平35で発音する。逆の場合なら(例えば、「母老虎 mǔ lǎohǔ」、「1音節の言葉(、メス)+2音節の言葉(老虎、トラ)」)、二つ目の上声だけは陽平35で発音する。
上声が三つ以上連続する場合
話すときの速さによって異なる。簡単に言えば、最も早い場合、最後の上声だけ本来の上声で発音し、前の上声はすべて陽平35で発音する。
去声 + 去声
去声が連続する場合、前の去声は低くなりきらず、声調値53となる。これを半去と呼ぶことがある。

以上のような普遍的な変調の他に、特殊な語や品詞において起こる変調がある。

不 bù
「不」は通常、去声51で発音するが、去声が続く場合には陽平35で発音される。補語を表す接中辞や反復疑問文といった文法的機能を表す場合には軽声となる。
一 yī
「一」は本来、陰平55であり、単独で発音される場合や語末で発音される場合、序数を表す場合には変調しない。しかし、後ろに去声が続く場合には陽平35で発音され、去声以外の声調が続く場合には去声51で発音される。動詞を重畳するとき、間に入れられる「一」は軽声で発音される。
七 qī・八 bā
「七」「八」は次に去声が続く場合、陽平35で発音してもよいし、本来の陰平55で発音してもよい。
形容詞
重畳で構成される形容詞の後半部分はもとの声調がなんであるかに関係なく、すべて陰平55で発音される。例えば、「好好儿的 hǎohāorde」、「漂漂亮亮 piàopiaoliāngliāng」、「暖洋洋 nuǎnyāngyāng」など。

r化

r化(アル化、児化)とは語が接尾辞-r(漢字ではで表記する)を伴う場合、韻母母音を調音する際に舌先が持ち上げられ、r音性母音となることをいう。r化に伴い従来の音節構造に変化が起こるものがある。

  • 複韻母のうち、韻尾が i [ɪ]であるものは i が脱落する。
  • 鼻韻母の鼻音韻尾は脱落する。ただし、韻尾がng[ŋ]であったものは母音が鼻母音として現れる。
  • 単韻母のうち、iまたはüで構成される音節はそのあとに[ɚ]が加えられ、二重母音化する。これはnを脱落させたin・ünにも当てはまる。
  • zi・ci・si、zhi・chi・shi・riは声母[ɚ]が加えられた音節に変化する。
  • なお、アル化の命名にいみじくも、アルタイ諸語(モンゴル語、女真[満州]語)の影響で語尾変化した発声体系である。チャイナ南半分ではアル化発声の伝統がなく、語義不明確化、発音不明瞭化という点で きらわれている。このため、台湾での国語や南洋チャイニーズの華語ではアル化はせず①アル化で省略しない正式単語②「~子」「~裡」という語尾で代替 という二方法でアル化発声を避けている傾向がつよい。

台湾島の中国語との関係

第二次世界大戦後も国共内戦を戦った中国国民党は、毛沢東の中華人民共和国成立と前後して台湾に撤退したのち、中国語により台湾の統治を行った。台湾の公用語である中国語には普通話ではなく「国語テンプレート:繁体字)」という名称が用いられる。英語での名称としては中国大陸の普通話も台湾島の国語も、現代の標準的な中国語または漢語としてどちらもマンダリンStandard Mandarinもしくは一般的な名称としてMandarin)と呼ばれている。台湾人も英語で会話をする際に、自分たちの中国語をMandarinと呼ぶことが少なくない。

「国語」の呼称は、清朝から中華民国となった時代に採用され、現代の台湾に引き継がれている。

ただし台湾国語には大陸普通話とは以下の差がある;

①アル化を極力使わない
②軽声をあまりつかわない。
③話者に福建省移民末裔が多いので、倦舌音が不明瞭(=ヘタ)で、過去形(肯定・強調)表現にも福建語由来の「'有'+(動詞)」を使用することがある。
④話者に福建省移民末裔が多いので、
  • 「~ロ羅」(~lo : ~じゃん)
  • 「~ロ我」(~wo :~だよ)

という揚子江以北には存在しない語気助詞を多用する。

  • 語気助詞「~ロ育」(~yo :~よ)も多用する。

 ※日本語の影響によるものか、福建語由来かは不明。

⑤日本との頻繁な交流のためか、日本式語彙を大陸とは差別的に流用する。これは「いち早く日本と共通語彙をつかう」、または近年見られるように、「大陸が先に日本式語彙を使い始めたので台湾ではつかわない」、という差別化傾向である。

上述①②により、発音体系が字典どおりで明瞭、 そして台湾の大衆娯楽やメディアの影響力、そして政治的要素や地縁的要素もあり、 東南アジアのチャイニーズコミュニティーでは 今でも台湾式に近いマンダリンを話す。

関連項目