日立風流物

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日立風流物(ひたちふうりゅうもの)は、茨城県日立市に伝わる民俗文化財で、同地の鎮守神峰神社に伝わる可動・変形する大きな山車と、その上で行われる操り人形(からくり人形)芝居を指す。神峰神社の大祭にて氏子により奉納されてきたもので、現在は毎年春の「日立さくらまつり」で公開されている。

概要

山車は国の重要有形民俗文化財に、操り人形の操作などが国の重要無形民俗文化財に指定されている。2009年9月には、ユネスコ無形遺産委員会により無形文化遺産の代表リストへの記載が決定された。同一の行事に関連して、国の重要有形民俗文化財と重要無形民俗文化財の両方に指定されているものは全国で5組のみで、その内の1つである。

古くは宮田風流物とよばれ、1695年元禄8年)徳川光圀の命により行われた神峰神社の大祭礼に山車が繰り出されたことに始まり、享保年間(1716〜1736年) に人形芝居が加えられ、今日のからくり仕掛けの山車に発達した[1]。以前は例祭(5月3日)で公開されていたが、1988年以降は毎年4月の第2土曜・日曜に開催される「日立さくらまつり」で披露されている。

山車

日立風流物に用いられる山車は、高さ15m、幅3-8m、奥行7m、重量5tの巨大なからくり式の山車である。山車の中には約10人の囃子方や約30人のからくり人形の操り方(作者と呼ばれる)が乗り込み、200人以上で山車を牽引する。

大きな山を背にした城郭の形を模した六層構造を持ち、第一層は囃子方や作者が乗り込む部分である。山車の正面の第二層から上を「館」と呼び、五層の唐破風造りになっている。「館」の第二層は大手門と呼ばれ、手前に倒れる構造になっている。第三層から第六層までは昇降機構(カグラサンと呼ばれる)によってせり上がった後に左右に開いて、大きな逆三角形をした五段の雛壇となり、操り人形芝居の舞台となる。

各段にはそれぞれ2-3体のからくり人形が配されている。人形芝居が終わると「館」は廻り舞台となって回転し、最初は山車の後部であった「裏山」を舞台として、また別の人形芝居が行われる。これらの操作は全て山車内部の綱によって行われ、同じく山車内部で演奏されるお囃子にあわせて演じられる。

この山車は笠鉾(かさほこ)とも呼ばれ、2005年現在、東町、北町、西町、本町の4台がある。

ギャラリー

脚注

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外部リンク

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  1. 長谷川伸三「祭礼・行事」祭礼・行事32ページ(長谷川伸三・糸賀茂男・今井雅晴・秋山高志・佐々木寛司『茨城県の歴史』山川出版社 2003年)