新京成電鉄N800形電車

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テンプレート:鉄道車両 新京成電鉄N800形電車(しんけいせいでんてつN800がたでんしゃ)は、 2005年平成17年)に登場した新京成電鉄通勤形電車

概要

2006年平成18年)12月10日に開始された京成電鉄千葉線への片乗り入れに伴い、その対応車両として、また800形が登場から30年以上を経過し老朽取り替えの時期を迎えており、同形式の後継車両として製造された。そのためか、仮称であった「新800形」と呼ばれることもある。なお、N800形のNNewを意味する。

新京成電鉄では、1971年昭和46年)の800形以降、8000形8800形8900形と4世代に渡って新京成オリジナル設計の車両を導入してきたが、本形式ではモハ250形およびサハ550形以来の京成電鉄の車両を基本とした設計に戻った形となった。

製造コストの低減のため、車体構造や基本的な性能などは京成新3000形をベースに、帯を新京成電鉄のラインカラーの一つとされるマルーン(上)と白色(下)としている。車体側面の4本のマルーン帯は、新京成線沿線の4つの自治体松戸市鎌ケ谷市船橋市習志野市)をイメージしたものである。また、白色帯は新京成電鉄を表し、クリーンでオープンな企業イメージを表現している。なお2014年(平成26年)8月以降順次、新京成が保有する全車両に対して同年6月に制定されたコーポレートカラーを用いたデザインへの変更が実施されることに伴い、新デザインへの変更が行われることになっている[1][2]

最初の編成(N818編成)は2005年(平成17年)4月に竣工し、同年5月28日の試乗会を経て、翌5月29日より営業運転を開始した。

その後8000形の置き換えとして、後述のとおり第2編成(N828編成)・第3編成(N838編成)も運転を開始した。

なお、数字の前に「N」を冠した鉄道車両の主な形式・系列としては、他に新幹線N700系電車(車両番号にはNは付かない)や名古屋市交通局N1000形電車/N3000形電車がある。

京成3000形との相違点

  • 帯の色 - 3000形は赤と青、本形式はマルーンと白。
  • 車体外部窓枠の色 - 3000形はアルミ地無塗装、本形式は黒色処理。
  • 車両番号標記プレートの位置 - 3000形は側面戸袋部分に赤地のプレート、本形式は腰板にステンレス地とマルーン文字。
  • 弱冷房車マーク - 3000形は東日本旅客鉄道(JR東日本)や東京急行電鉄と共通(文字フォントは若干異なる)、本形式は新京成オリジナルデザイン。また京成では8両編成のみ設定。
  • 運転室 - 運転操作機器・計器配置の基本は共通であるが、列車番号設定器・表示器操作盤等の機器配置は三社で異なる。運転台仕切窓への着色ガラス採用、車掌台側仕切窓への遮光幕採用は本形式のみ。
  • 車内設備 -京成3000形のレイアウトに8800形と8900形のカラースキームを使用。
    • 内装・座席 表地- 3000形は紫色・ベージュ系化粧板・床はブルーとグレーのツートーン。本形式は座席表地がワインレッド色・ピンク系化粧板・床は薄茶で客用扉脇にはを設置、側窓のロールアップカーテンは沿線名産の梨やぶどうの柄入り。
    • つり革 - 3000形は丸形(京成の車両は全車丸形・8000形、8800形も丸形)、本形式は8900形と同型の三角形。
    • 車両間貫通扉の客室側の処理 - 3000形は化粧板、本形式はステンレス地無塗装。
  • 電子警笛ドアチャイムの音色。
  • LED車内案内表示器の表示内容。
  • パンタグラフ -集電舟がくぬぎ山車両基地に設置の自動計測装置に対応したものを搭載していることから他とは形態が異なり、このため形式名称も異なる(PT7155-B。京成・北総はPT7131-B)。また、パンタグラフ脇のランボードは未設置。

主要諸元

編成表

  テンプレート:TrainDirection  
号車
(8両編成時)
6
(8)
5
(7)
4
(6)
3
(3)
2
(2)
1
(1)
製造メーカー 竣工時期
形式 モハN808形
(M2c)
モハN807形
(M1)
サハN806形
(T)
サハN803形
(T)
モハN802形
(M1)
モハN801形
(M2c)
機器 CP・BT PT
VVVF
SIV SIV PT
VVVF
CP・BT
編成 N818 N817 N816 N813 N812 N811 日本車両 2005年4月
N828 N827 N826 N823 N822 N821 2010年12月
N838 N837 N836 N833 N832 N831 2012年9月
  • VVVF:主制御機(VVVFインバータ)
  • PT:パンタグラフ(シングルアーム形2基)
  • SIV:補助電源(静止形インバータ)
  • CP:空気圧縮機
  • BT:蓄電池
  • 構造上は3・4号車間に中間電動車2両(松戸方からM1'+M2のユニット)が挟めるようになっているが、2013年9月現在中間電動車を増備する計画はない。

特色

列車無線は新京成線用の空間波無線(SR)方式のほか、京成線乗り入れに対応するため誘導無線(IR)方式も搭載している(N818編成は登場当時IR無線は準備工事で台座のみ設置。2006年夏に本体・アンテナを設置。以降の編成は最初から設置)。これに加え、非常用貫通路、運転台の機器配置、保安装置等も京成3000形に準じているため、京成線以外にも京成線と直通運転を行っている北総線都営浅草線京急線などでも車両の構造上は[3]走行が可能である。ベース車の京成3000形が京浜急行電鉄対応仕様であるが故に、本形式でも先頭車が制御電動車 (Mc) となっている。起動加速度などは京成の仕様に合わせているため、従来の車両より若干加速力が高くなっている。

乗務員室遮光幕カーテン)は、京成3000形では助士席側には設置されていないが、新京成の従来形式では助士席側にも遮光幕が設置されているのに合わせて本形式にも設置された。乗務員室の運転士側と中央はスモークガラスとされたのも従来形式と同一である。

8900形と同様に客用ドア上部にはLED式車内案内表示器を設置する。本形式では千鳥配置だが、京成3000形と同一仕様であり、8900形に存在したデジタル時計は設置されていない。表示内容は、新京成線内は8900形、京成線内は京成3000形に準じているが、完全に同じ内容という訳ではなく、それぞれに若干の差異がある。また、京成線内の駅ナンバリングには対応していない。

ドアが閉まる時は一旦わずかな隙間(幅1mm程度)がある状態でドアが閉まり、6秒後にドアを閉める圧力が上がって完全に閉まるようになっている(戸閉弱め機能)。ドアに人や物が挟まれて引き摺られたりする事故を防ぐための仕組みである。しかし、不具合が発生した時のために乗務員室内には戸閉弱め開放スイッチがあり、これを投入すると働かない。

新京成では初めて乗降促進放送を装備した。乗務する車掌によっては発車ベルの代わりに使っていることもある。8900形で搭載された車内自動放送は本形式では当初搭載されておらず車掌により放送されていたが、N818編成は2009年5月に、N828編成は2012年7月にそれぞれ自動放送装置が設置された。N838編成は未設置。声優は日本語を三浦七緒子、英語をクリステル・チアリがそれぞれ担当している。なお、自動放送は新京成線内のみの対応で京成線内は車掌により放送される(8000形・8800形も同様)。

その他

  • 搬入時は京成3000形や北総7500形と違い東急車輛製造(現・総合車両製作所横浜事業所)経由ではなく千葉貨物駅まで甲種輸送し北総の印旛車両基地まで陸送してからくぬぎ山車両基地まで回送される。1次車(N818編成)は自走ではなく北総9000形9008編成に挟まれ2両ずつ3日間にわけて回送された。2次車(N828編成)、3次車(N838編成)は自走。
  • 2006年12月10日の京成千葉線への片乗り入れ開始に合わせて、8000形と8800形の6両編成車の帯は茶色から本形式と同じものに変更された(8800形の京成線非乗り入れ車は帯を変更していない)。
  • N818編成は2008年3月から1年間、印西市複合商業施設ビッグホップガーデンモール印西」のラッピング電車「BIG HOPトレイン」とされた。松戸方の2両は青系、中央の2両は緑系、千葉中央方の2両は赤系のラッピングとなっていた。
  • 2010年度に8000形8504編成の置き換えで2次車6両編成1本(N828編成)が増備され、当該編成は2011年1月28日より営業運転を開始した[4]。機器の一部が京成新3050形準拠に変更されている。また2012年度には3次車として6両編成1本(N838編成)が増備され同年10月1日から営業運転が開始されている。仕様はN828編成と共通。
  • 千葉テレビ放送の人気番組『チュバチュバワンダーランド』とのコラボ企画により、N838編成がラッピング電車「チュバチュバワンダーランド号」として2013年6月3日から8月29日まで運行された。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

参考文献

  • 交友社鉄道ファン
    • 2005年9月号新車ガイド2「新京成電鉄N800形」(新京成電鉄(株)鉄道事業本部 車両部 車両課)

関連項目

外部リンク


テンプレート:Sister

テンプレート:新京成電鉄の車両
  1. テンプレート:PDFlink - 新京成電鉄、2014年7月14日
  2. テンプレート:Cite news
  3. 他社局線の乗務員に対する習熟運転を行っていないこと、車両形式の符番方法が都営1号線直通車両規格に対応していないこと、方向幕・種別幕車内案内表示器、放送装置などが京成線以外に対応していないこと等運用上の複数の制約により、実際には現状のままでの乗り入れは出来ない。また、その計画もない。
  4. テンプレート:PDFlink - 2010年12月16日 新京成電鉄プレスリリース