政治資金規正法

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テンプレート:Ambox テンプレート:Infobox 政治資金規正法(せいじしきんきせいほう)は、1948年に制定され、政治家や政治団体が取り扱う政治資金について規定した日本法律。「規」が正しく、「規」ではない。

概要

政治団体に対して設立の届出と政治資金収支報告書の提出義務を課して政治資金の流れを明らかにするとともに、政治活動に関する寄附政治献金)や政治資金パーティーの制限、株式などによる投機的運用の禁止など政治資金の取り扱いを直接的に規制し、違反した場合には罰則なども課せられる。

なお、報道などでは政治活動に関する寄附のことを「政治献金」と呼ぶことがあるが、これは法律用語ではない。また、寄附だけでなく政治資金パーティーのパーティー券の購入をあわせて政治献金と言う場合もある。

本法に規定する政治団体は基本的には人格なき社団であるが、政党助成法上の政党要件を満たせば政党法人格付与法に基づき法人格を得ることができる。また、政党以外の政治団体であっても、他の法令に基づき法人格を有している例がある(自民党政治資金団体である財団法人国民政治協会など)。

外国人からの寄付の禁止

政治資金規正法第二十二条の五により、外国人外国法人、主たる構成員が外国人若しくは外国法人その他の組織からの政治活動に関する寄付を禁止されている。このため、法律に反して外国人からの政治献金を受けている政治家について問題とされることがある。2011年には、韓国人から献金を受けたことについて国会で追及された前原誠司外務大臣が辞職する事件が起きている。

内容

  • 第1章 総則(第1条 - 第5条)
  • 第2章 政治団体の届出等(第6条 - 第18条の2)
  • 第3章 公職の候補者に係る資金管理団体の届出等(第19条 - 第19条の6)
  • 第3章の2 国会議員関係政治団体に関する特例等
  • 第4章 報告書の公開(第20条 - 第20条の3)
  • 第5章 寄附等に関する制限(第21条 - 第22条の9)
  • 第6章 罰則(第23条 - 第28条の3)
  • 第7章 補則(第29条 - 第33条の2)
  • 附則(第34条 - 第39条)

沿革

本法は、第二次世界大戦後の混迷した政治情勢のもと現出した政治腐敗と群小政党の乱立に対処するため、GHQの指導により1948年に制定された。当初、内務省政党法[1]の立案を試みたが成案に至らず、その後国会での各党間での協議を経て、最終的にアメリカ合衆国の腐敗行為防止法をモデルとする政治資金規正法として成立した。制定当初は政治資金の収支の公開に主眼が置かれ、寄附の制限は設けられていなかった。

制定後、本法は長期にわたり大きな改正がなされなかったが、田中角栄首相の金脈問題を背景として、1975年に全面的な改正が行われた(三木内閣時)。この時、はじめて寄附の制限が導入され、同時に政治団体の収支公開も強化された。

1988年に発覚したリクルート事件を機に、選挙制度と政治資金制度の抜本的な改革を一体のものとして行う「政治改革」が大きな政治課題として認識されるようになった。1992年宮澤内閣時における「緊急改革」として、政治資金パーティーに関する規制、政治団体の資産公開、政治資金の運用の制限などが新設された[2]

1994年細川政権の連立与党と自由民主党の合意により成立したいわゆる政治改革四法のなかで、選挙制度改革政党助成制度の導入と軌を一にして大幅な改正がなされ、企業・団体からの寄附の対象を政党(政党支部を含む)、政治資金団体、新設された資金管理団体に限定した[3]。このとき、法律の附則により、資金管理団体に対する企業・団体献金については5年後に禁止の措置を講ずることとされていたが、附則の規定どおり、1999年に資金管理団体に対する企業・団体からの寄附は禁止された。

近年の改正

  • 2005年日歯連闇献金事件を機に、政治資金団体に関する寄附の出入りについては原則銀行や郵便振込み等で行うことが義務づけられた。また、政党及び政治資金団体以外の政治団体間の寄附の上限(年間5000万円まで)が設けられた(それまでは無制限)。
  • 2007年事務所費問題を受け、資金管理団体による不動産取得の禁止や資金管理団体の収支報告義務の強化を内容とした改正が行われた。2008年国会議員関係政治団体に関して、全ての領収書の開示や第三者による監査義務付けを柱とした改正法施行(2009年分の収支報告書から適用)。

脚注

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関連項目

外部リンク

  • 政党法は憲法に定める「結社の自由」等との関連で反対論が強く、現在に至るまで制定されていない。ただし、政党への法人格付与については、1994年政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関する法律が成立した。
  • このとき、併せて政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律が制定された。
  • また、法違反に関する罰則が強化され、有罪確定時の公民権(選挙権及び被選挙権)停止規定が制定された。