指名手配
テンプレート:Otheruseslist テンプレート:Ambox テンプレート:日本の刑事手続
指名手配(しめいてはい)とは、警察が逮捕状の出ている被疑者を逮捕するための手段。
目次
概要
特定の事件の捜査を担当する警察が、全国の警察(または同一県内の他の警察署)に対して、「逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する」ために、指名手配書によって行う手配である。つまり、逮捕状が出ているが、被疑者の所在が不明である場合に行うものであり、通常は全国の警察に手配する。
特別手配
正式には「警察庁指定被疑者特別指名手配」。
「治安に重大な影響を及ぼし、または社会的に著しく危険性の強い凶悪または重要な犯罪の指名手配被疑者であつて、その早期逮捕のため、とくに全国的地域にわたつて強力な組織的捜査を行なう必要があると認められる者」に対して行われる。殺人やテロなどの世間への影響が大きい事件を起こした被疑者が対象となり、特定都道府県だけでなく、日本全国の都道府県警察などを管轄する警察庁がその犯人に対する特別指名手配を取る。対象となる都道府県警にはその特別指名手配となった人物についての情報提供を行うための担当部署・担当者が設置され、また当該都道府県警の警察官全員に対しても、その被疑者の手配書が渡される。1972年に始まった。
過去に下表の52人が特別手配され、公訴時効成立3人と死亡1人を除き、48人が逮捕された。過去の特別手配の例として連合赤軍事件、スナックママ連続殺人事件、オウム真理教事件、広島刑務所中国人受刑者脱獄事件がある。
過去の特別指名手配被疑者一覧
- 下表の内容(特に年齢や被疑罪名)は原則として、特別指名手配指定時点のデータである。指定後に新たに別の事件で逮捕状が出たケースもある。
- 被疑者の氏名について、Wikipedia内の事件と関連する項目に実名のあるものは実名表記、それ以外はイニシャル表記とした。
- 発生日について、連続事件等の場合、あくまで手配容疑の最初と最後の日付を採った。そのため、事件名や事件全体と一致しないケースがある。
- 罪名について、微罪まで正確に把握することが困難なので、報道から判明する限りの表記にとどめた。
- 古い報道ほど、特別指名手配と重要指名手配等を混同したものがまま見受けられるので、注意を要する。
特別手配指定日 | 被疑者 | 年齢 | 性別 | 発生日 | 事件 | 被疑罪名 | 逮捕日 | 逮捕状況 | 逮捕場所 | 判決 | 備考 |
1972年2月1日 | K.M | 41 | 男 | 1970年6月4日 | 板橋団地主婦強盗殺人事件 | 婦女暴行、強盗殺人 | - | - | - | - | 1985年6月4日、公訴時効成立。 |
1972年2月1日 | T.A | 35 | 男 | 1968年8月6日-1971年12月13日 | 尼崎内妻の姉夫婦切傷事件、高松大工刺傷事件 | 殺人未遂 | |||||
1972年2月1日 | K.I | 27 | 男 | 1970年11月18日 | 大阪暴力団員3人拳銃殺傷事件 | 殺人、同未遂 | |||||
1972年2月1日 | I.K | 36 | 男 | 1970年3月27日 | 江南市パチンコ店強盗殺人未遂事件 | 強盗殺人未遂 | 1972年2月16日 | 市民の通報 | 埼玉県 | ||
1972年2月1日 | S.T | 34 | 男 | 1970年9月11日 | 東大阪証券会社員強盗致傷事件 | 強盗致傷 | 1972年2月16日 | 出頭 | 鹿児島県 | ||
1972年2月1日 | 森恒夫 | 27 | 男 | 1971年2月22日-3月5日 | 赤軍派 千葉・神奈川連続4件金融強盗事件(M作戦) | 強盗 | 1972年2月17日 | 警察官が発見 | 群馬県 | 公訴棄却 | 殺人罪等でも起訴。1973年1月1日、一審公判中に自殺。 |
1972年2月1日 | 梅内恒夫 | 24 | 男 | 1969年10月29日-11月4日 | 鉄パイプ爆弾約30本製造 | 爆発物取締罰則違反(製造) | - | - | - | - | 1978年1月10日、共犯者の公判で延長していた公訴時効が成立。 |
1972年2月1日 | 永田洋子 | 26 | 女 | 1969年11月29日-1971年2月17日 | 京浜安保共闘 川崎弾薬輸送列車襲撃未遂事件、真岡銃砲店襲撃事件 | 爆発物取締罰則違反、強盗致傷 | 1972年2月17日 | 警察官が発見 | 群馬県 | 死刑 | 爆発物取締罰則違反容疑は不起訴。殺人罪等で死刑確定。2011年2月5日、病死。 |
1972年2月1日 | 坂口弘 | 25 | 男 | 1971年2月17日 | 京浜安保共闘 真岡銃砲店襲撃事件 | 強盗致傷 | 1972年2月28日 | 逃亡中の犯罪 | 長野県 | 死刑 | 殺人罪等で死刑確定。 |
1972年2月1日 | T.T | 31 | 男 | 1971年9月21日頃-10月22日頃 | 共産主義者同盟 スポイト式時限爆弾6発製造(警察施設連続爆破事件) | 爆発物取締罰則違反(製造) | 1976年10月13日 | 警察官が発見 | 東京都 | 懲役6年 | |
1972年10月9日 | F.S | 42 | 男 | 1972年9月20日 | 清水少女誘拐殺人事件 | 未成年者誘拐、強姦、殺人 | 1972年11月6日 | 警察官が発見 | 大阪府 | 無期懲役 | |
1972年10月31日 | 竹本信弘(滝田修) | 32 | 男 | 1971年8月21日 | 朝霞自衛官殺害事件 | 強盗致死 | 1982年8月8日 | 警察官が発見 | 神奈川県 | 懲役5年 | 強盗致死幇助罪適用。未決拘留算入で収監せず。 |
1974年2月15日 | T.R | 36 | 男 | 1974年2月7日 | 上野消火器商一家殺人事件 | 強盗殺人 | 1974年3月8日 | 知人の通報 | 東京都 | 死刑 | 1986年5月20日、死刑執行。 |
1975年10月30日 | M.K | 35 | 男 | 1969年12月1日-1973年12月23日 | 甲府工員射殺事件、花札賭博 | 殺人、常習賭博 | 1975年12月27日 | 市民の通報 | 千葉県 | 懲役12年 | |
1975年12月23日 | T.K | 37 | 男 | 1975年10月11日-1975年12月12日 | 熊本刑務所京町拘置支所脱獄事件、京都府網野町中学生婦女暴行事件 | 単純逃走、婦女暴行 | 熊本県での婦女暴行罪で起訴後脱獄。 | ||||
1978年1月11日 | 加藤三郎 | 29 | 男 | 1977年10月27日 | 神社本庁爆破事件 | 爆発物取締罰則違反 | 1983年5月16日 | 逮捕者の供述 | 京都府 | 懲役18年 | |
1978年1月11日 | O.S | 27 | 女 | 1978年1月1日 | 板橋アパート爆発物製造・誤爆事件 | 爆発物取締罰則違反(製造) | 1983年5月16日 | 警察官が発見 | 長野県 | 懲役2年6月 | |
1981年7月8日 | I.M | 33 | 男 | 1981年7月6日 | 神田ビル強盗殺人放火事件 | 強盗殺人、放火 | 1981年11月10日 | 出頭 | 秋田県 | 死刑 | 1996年7月11日、死刑執行。 |
1981年11月1日 | D.I | 31 | 男 | 1981年4月4日 | 大宮母娘強盗殺人事件 | 強盗殺人 | (1996年10月) | (病院の通報) | (東京都) | - | 1996年10月6日、逃亡中に病死。1997年2月17日、被疑者死亡で書類送検。共犯者は1999年12月17日、死刑執行。 |
1983年10月1日 | K.T | 27 | 男 | 1983年9月17日 | 伊予銀行西条支店強盗殺人事件 | 強盗殺人 | 1983年10月17日 | 警察官が発見 | 福岡県 | 無期懲役 | 強盗致死罪適用。 |
1983年12月16日 | 奥崎謙三 | 63 | 男 | 1983年12月16日 | 独立工兵隊第36連隊元中隊長長男銃撃事件 | 殺人未遂 | 1983年12月17日 | 出頭 | 兵庫県 | 懲役12年 | |
1985年4月28日 | Y.T | 35 | 男 | 1984年9月19日-1985年4月12日 | 中核派 自由民主党本部放火襲撃事件、羽田・成田両空港ロケット弾事件 | 放火、爆発物取締罰則違反、航空危険罪 | 1987年1月21日 | 警察官が発見 | 愛知県 | 懲役7年 | 手配容疑は不起訴。手配当時は別件で脱獄中。別件の放火、凶器準備集合等で有罪。 |
1987年10月31日 | T.T | 47 | 男 | 1985年4月12日 | 中核派 羽田・成田両空港ロケット弾事件 | 爆発物取締罰則違反、航空危険罪 | - | - | - | - | 2000年4月12日、公訴時効成立。 |
1988年6月2日 | M.M | 44 | 男 | 1988年4月18日-6月1日 | 徳島・愛知主婦連続強盗殺人事件 | 強盗殺人、殺人 | 1988年6月3日 | 警察官が発見 | 群馬県 | 死刑 | 両事件とも強盗殺人罪適用。2008年2月1日、死刑執行。 |
1988年10月31日 | 福嶋昌男 | 44 | 男 | 1986年5月4日 | 中核派 迎賓館ロケット弾事件 | 爆発物取締罰則違反 | 1993年3月30日 | 警察官が発見 | 静岡県 | 懲役12年 | |
1988年10月31日 | 安東美樹 | 33 | 男 | 1988年5月14日 | 一和会会長宅前 警察官3人銃撃事件(山一抗争) | 殺人未遂 | 1990年9月12日 | 警察官が発見 | 大阪府 | 懲役20年 | |
1991年2月6日 | O.K | 44 | 男 | 1989年7月12日-9月21日 | 土地詐取事件(警察庁広域重要準指定5号 杉並資産家老女ら殺害事件) | 有印私文書偽造、詐欺 | 1995年6月28日 | 逃亡中の犯罪 | 茨城県 | 死刑 | 殺人罪等で死刑確定。2008年4月10日、死刑執行。 |
1991年2月6日 | A.J | 48 | 女 | 1989年7月12日-9月21日 | 土地詐取事件(警察庁広域重要準指定5号 杉並資産家老女ら殺害事件) | 有印私文書偽造、詐欺 | 1995年6月28日 | 逃亡中の犯罪 | 茨城県 | 懲役5年 | |
1991年9月12日 | O.S | 38 | 男 | 1986年7月15日-1989年7月21日 | 警察庁広域重要指定118号 岩手・福島連続誘拐殺人事件 | 営利誘拐、強盗殺人 | 1991年10月31日 | 警察官が発見 | 東京都 | 死刑 | 2014年6月26日、病死。 |
1991年12月30日 | N.M | 35 | 男 | 1991年12月13日-28日 | 警察庁広域重要指定119号 スナックママ連続殺人事件 | 強盗殺人(4件) | 1992年1月7日 | 逃亡中の犯罪 | 大阪府 | 死刑 | |
1994年1月26日 | U.Y | 39 | 男 | 1993年10月26日 | 警察庁広域重要指定120号 大阪愛犬家連続殺人事件 | 死体遺棄(住吉区主婦死体遺棄) | 1994年1月26日 | 知人の通報 | 大阪府 | 死刑 | 殺人罪等で死刑確定。 |
1994年11月9日 | I.M | 40 | 男 | 1994年2月28日 | 富士フイルム専務殺害事件 | 殺人 | 1996年10月17日 | 警察官が発見 | 京都府 | 懲役10年 | 傷害致死罪適用(実行犯は殺人罪)。 |
1995年3月29日 | 松本剛 | 29 | 男 | 1995年2月28日 | オウム真理教 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 | 逮捕監禁 | 1995年5月18日 | 警察官が発見 | 東京都 | 懲役4年 | |
1995年4月19日 | 佐々木正光 | 38 | 男 | 1994年3月27日 | オウム真理教 宮崎県資産家拉致事件 | 営利略取 | 1995年5月13日 | 出頭 | 東京都 | 懲役4年6月 | |
1995年4月19日 | Y.Y | 36 | 男 | 1994年7月28日-10月26日 | オウム真理教 山梨元看護師監禁事件 | 監禁 | 1995年4月26日 | 警察官が発見 | 山梨県 | 懲役2年・執行猶予4年 | |
1995年4月19日 | W.K | 26 | 男 | 1994年7月28日-10月26日 | オウム真理教 山梨元看護師監禁事件 | 監禁 | 1995年4月26日 | 警察官が発見 | 山梨県 | 懲役1年6月・執行猶予3年 | |
1995年4月27日 | 井上嘉浩 | 25 | 男 | 1995年2月28日 | オウム真理教 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 | 逮捕監禁 | 1995年5月15日 | 警察官が発見 | 東京都 | 死刑 | 逮捕監禁致死罪適用。殺人罪等で死刑確定。 |
1995年5月11日 | 北村浩一 | 27 | 男 | 1995年3月23日頃-4月11日頃 | オウム真理教 特別手配被疑者隠匿(公証人役場事務長逮捕監禁致死事件) | 犯人蔵匿・隠避 | 1996年11月14日 | 逮捕者の供述 | 埼玉県 | 無期懲役 | 殺人罪等で無期懲役確定。 |
1995年5月11日 | 大内早苗 | 37 | 女 | 1995年3月20日 | オウム真理教 名古屋出家信者母親拉致事件 | 営利略取 | 1995年5月12日 | 出頭 | 愛知県 | 懲役2年4月 | |
1995年5月13日 | 中川智正 | 32 | 男 | 1995年2月28日 | オウム真理教 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 | 逮捕監禁 | 1995年5月17日 | 警察官が発見 | 東京都 | 死刑 | 逮捕監禁致死罪適用。殺人罪等で死刑確定。 |
1995年5月13日 | 平田悟 | 30 | 男 | 1995年2月28日 | オウム真理教 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 | 逮捕監禁 | 1995年10月19日 | 市民の通報 | 群馬県 | 懲役15年 | 逮捕監禁致死罪適用。殺人罪等でも有罪。 |
1995年5月23日 | 林泰男 | 37 | 男 | 1995年3月20日 | オウム真理教 地下鉄サリン事件 | 殺人、同未遂 | 1996年12月3日 | 市民の通報 | 沖縄県(石垣島) | 死刑 | |
1995年5月23日 | T.K | 35 | 男 | 1995年3月20日 | オウム真理教 地下鉄サリン事件 | 殺人、同未遂 | 1995年7月20日 | 出頭 | 東京都 | 懲役2年8月 | 手配容疑は不起訴。別件の殺人予備罪、火炎瓶処罰法違反で有罪。 |
1995年5月23日 | 端本悟 | 28 | 男 | 1995年3月20日 | オウム真理教 地下鉄サリン事件 | 殺人、同未遂 | 1995年7月9日 | 警察官が発見 | 埼玉県 | 死刑 | 手配容疑は不起訴。 |
1995年5月23日 | 中村昇 | 28 | 男 | 1995年3月20日 | オウム真理教 地下鉄サリン事件 | 殺人、同未遂 | 1995年7月9日 | 警察官が発見 | 埼玉県 | 無期懲役 | 手配容疑は不起訴。 |
1995年5月23日 | 菊地直子 | 23 | 女 | 1995年3月20日 | オウム真理教 地下鉄サリン事件 | 殺人、同未遂 | 2012年6月3日 | 市民の通報 | 神奈川県 | 懲役5年(控訴) | 手配容疑は不起訴。別件の殺人未遂幇助罪で有罪(控訴)。 |
1995年5月23日 | 高橋克也 | 37 | 男 | 1995年3月20日 | オウム真理教 地下鉄サリン事件 | 殺人、同未遂 | 2012年6月15日 | 市民の通報 | 東京都 | (公判前整理手続中) | |
1995年9月15日 | 平田信 | 30 | 男 | 1995年2月28日-3月1日 | オウム真理教 公証人役場事務長逮捕監禁致死事件 | 逮捕監禁致死 | 2012年1月1日 | 出頭 | 東京都 | 懲役9年(控訴) | 逮捕監禁罪適用。爆発物取締罰則違反等でも有罪(控訴)。 |
1995年9月20日 | 富永昌宏 | 26 | 男 | 1995年5月16日 | オウム真理教 東京都庁小包爆弾事件 | 爆発物取締罰則違反、殺人未遂 | 1995年10月8日 | 出頭 | 埼玉県 | 懲役15年 | |
1995年11月16日 | 八木澤善次 | 33 | 男 | 1995年5月5日 | オウム真理教 新宿駅青酸ガス事件 | 殺人未遂 | 1996年11月14日 | 出頭 | 埼玉県 | 懲役4年 | 殺人未遂幇助罪適用。 |
1995年11月16日 | 松下悟史 | 28 | 男 | 1995年5月5日 | オウム真理教 新宿駅青酸ガス事件 | 殺人未遂 | 1996年11月24日 | 出頭 | 埼玉県 | 懲役4年2月 | 殺人未遂幇助罪適用。 |
2012年1月11日 | L.G | 40 | 男 | 2012年1月11日 | 広島刑務所中国人受刑者脱獄事件 | 単純逃走 | 2012年1月13日 | 警察官が発見 | 広島県 | 懲役2年4月 | 殺人未遂罪等(懲役23年)で服役中脱獄。 |
法的根拠
国家公安委員会が定めた規則である犯罪捜査規範31条以下が規定し、犯罪捜査共助規則7条以下にも同趣の規定がある。犯罪捜査規範及び犯罪捜査共助規則の法的性質は、あくまでも国家公安委員会が定めた警察内部の取り決め(行政規則)に過ぎない。つまり、一般人に対して何らかの法的効果を有する法律または命令(法規命令)ではない。したがって、「指名手配」により、被疑者の氏名等が、一般人に当然に公表されるという法的効果を持つわけではないという点に留意する必要がある。もっとも、特に重要な事件では、全国の警察機関(警察本部から末端の交番に至るまで)に加えて、公共施設などに被疑者の顔写真や氏名などを配布して、一般人の協力を呼びかける、公開捜査という捜査上の手法をとる場合は少なくない。
少年事件における指名手配と実名公開をめぐる議論
未成年の被疑者に対して指名手配を行った場合には、少年法の趣旨によって、警察が被疑者の氏名や顔写真を一般人に公表することは原則としてない。ただし、凶悪事件で公開しなければ再犯のおそれがある場合など(1968年の永山則夫連続射殺事件の永山則夫等)は、実名と写真が公開されている。2003年に少年であっても例外的に公開を認める警察庁の通達が出されているが、現在でも適用例はない(警察庁HP上には、この通達は公開されていない)。少年の刑事事件の実名や顔写真の報道を禁止する少年法61条の規定など、犯罪を行った少年の処遇の妥当性については議論がある。一部の出版社からは、重大な少年犯罪をあえて実名報道する動きもある。少年犯罪の指名手配の例としては、山口女子高専生殺害事件が上げられる。2006年8月28日に同校の女子学生が校内で絞殺死体として発見され、同校に通う19歳の少年が事件の重要参考人として挙げられ、女子学生死亡後に失踪していたことから事件発覚の翌日の8月29日に指名手配となった。この際に上記の規定により実名や顔写真の掲載は伏せられたものの、殺人を行った可能性があるとして指名手配されている人物のため実名や顔写真を公開すべきとの意見が多数マスコミに寄せられ、9月7日には週刊新潮により第2の被害を防ぐとの理由により、実名と顔写真が掲載された。しかし、同日になりこの少年が8月29日に自殺していることがわかり、未成年の指名手配に対する報道に対し実名など公開するべき・するべきではないといった議論が大きくなった。
補足
近年になってから指名手配を行っても、被疑者を確保するのが難しくなっており、懸賞金を掛け、所在に関する重要情報を通報し身柄確保の一助となった人物には賞金を受け渡す仕組みとなってきている。
2007年4月1日から警察庁は懸賞広告制度を設けた(捜査特別報奨金制度)。
最近ではYahoo! JAPANなどがホームページの広告上に無料で指名手配の被疑者の顔写真を掲載した。そうした所、多くの情報提供が来るようになったりとインターネットを使った指名手配の輪も広がっている。
2005年6月29日放送のテレビ番組『トリビアの泉』で「指名手配犯が自分で警察に捕まりに行っても『自首』にはならず罪も軽くならない」とされたが、あくまで刑法上の自首した者に対して刑を減軽する規定が適用されないだけであり、自ら出頭したことなどが裁判で酌量されて刑を減軽した判決が言い渡される可能性はある(自首、量刑#加重事由・減免事由・減軽事由を参照)。そもそも、刑法上の「自首」とは、「犯罪の事実または犯人が警察に判明していないこと」が要件であり、犯人が特定された時点で、指名手配か否かを問わず、自首の対象足り得ない。
日本警察における指名手配事件
現在指名手配されている事件のみ記載し、日本の警察が指名手配犯の身柄拘束又は死亡や公訴時効成立によって指名手配が取り下げられた事件については記載していない。
2005年以降から、死刑に対する公訴時効が25年に延長された。また2010年4月27日時点で公訴時効が成立していない事件については過去に遡って、人を死亡させた罪であつて死刑に当たる罪の公訴時効が廃止となった。
日本では11月1日から11月30日まで「指名手配被疑者捜査強化月間」とされている。
脚注
関連項目
テンプレート:ウィキプロジェクトリンク テンプレート:Sister
外部リンク
関連キーワード
- jijiyogo.com 時事用語のABC【特別手配】