戦闘潮流

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テンプレート:Pathnav テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible listsジョジョの奇妙な冒険 Part2 戦闘潮流』(ジョジョのきみょうなぼうけん パート2 せんとうちょうりゅう、JOJO'S BIZARRE ADVENTURE Part2 Battle Tendency)は、荒木飛呂彦漫画作品『ジョジョの奇妙な冒険』のPart2(第2部)。波紋の戦士シリーズ・第2弾。単行本5巻 - 12巻に収録されている。

『戦闘潮流』は後年に付けられた副題で、連載当時の副題は「第二部 ジョセフ・ジョースター ―その誇り高き血統」。

2012年より放送されたテレビアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』において、第10話から第26話まで「戦闘潮流」編が放送された。詳細についてはジョジョの奇妙な冒険#テレビアニメを参照。

あらすじ

Part1『ファントムブラッド』から50年後の1938年ニューヨークから物語は始まり、翌1939年まで続く。Part1の主人公ジョナサンの孫であるジョセフ・ジョースター(通称・ジョジョ)が、過酷な波紋の修行を経て、石仮面の吸血鬼より強力な「柱の男」達と種の存亡をかけて戦うアクション活劇。「柱の男」の更なる進化に関わる秘宝「エイジャの赤石」争奪戦が軸となっている。ナチス・ドイツの部隊もこの争奪戦に参加し、主人公サイドと複雑な絡みを見せた。

登場人物

声の項はTVアニメ版ASB版のもの。それ以外のものについては別途記載する。

波紋の戦士

ジョセフ・ジョースター
声 - 杉田智和[1] / 大塚芳忠Part3対戦型格闘ゲーム版
第2部のJoJo。ジョナサンの孫。1920年9月27日生まれ。身長195cm 体重97kg。B型。
シーザーと共に波紋を修行し、カーズらに戦いを挑む。

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シーザー・アントニオ・ツェペリ
声 - 佐藤拓也[1]
ジョセフの戦友で波紋使い。Part1に登場したウィル・アントニオ・ツェペリの孫で、父はイタリア人のマリオ・ツェペリ。1918年5月13日生まれ。20歳。身長186cm 体重90kg。血液型A型。両の頬にアザがある。ガールフレンドを大勢持つナンパ男だが、波紋の師であるリサリサのことは母のように慕っている。軽い性格のジョセフとは当初打ち解けなかったが、ワムウとの初戦でジョセフが自身を囮にスピードワゴンと自分を助けようとしたことを機に彼を見直すようになり、リサリサの下での修行を通して無二の親友となった。初登場の時点で波紋法を習得しており、シャボン玉を媒介とした波紋の攻撃を得意とする。いつでもシャボン玉を出せるよう、衣服には石鹸水を仕込んでいる。
かつては家族と共に幸せに暮らしていたが、シーザーが最も尊敬していた父が理由も告げずに突如失踪した(家族のための生活費は残していたが、悪い親戚に騙され奪われた)ことから父を憎み、性格が荒れて放浪するようになる。孤児院に収容されるも脱走し、ローマの貧民街で犯罪に明け暮れる荒んだ青春を送る。このときに行った幾度もの喧嘩における素拳での一撃を恐れられており、すでに波紋の才能の片鱗を見せている。16歳の時にローマでマリオを発見するが、彼はシーザーが不用意に柱の男に近づいて吸収されそうになったところを庇い、シーザーの目の前で壁に引きずり込まれて柱の男に捕食され、死亡してしまう。シーザーはマリオが自分や家族を捨てたのではなく、柱の男や吸血鬼との戦いに巻き込まないために自分達へ何も告げずに去ったことを知り、祖父と父の遺志を継ぐことを決意する。シーザーを庇う際、切迫した状況のせいか年月のせいかは定かではないが、マリオ自身はシーザーのことを息子と気付かずに死んでいった。しかし、赤の他人さえ命をかけて助けようとしたマリオの気高い精神はシーザーへと受け継がれた。それまでは父への恨みから「姓なんて無え」と言うほどであったが、以後は父及びその血統を強く誇りとするようになり、侮辱する者には容赦をしないようになった。
罠を承知でカーズ達の隠れ家に単身乗り込み、ワムウを追いつめるも後一歩で敗れる。瀕死の重傷を負いながらも自らの父と祖父が自己を犠牲にして他人を救ったことを思い返し、死力を振り絞ってワムウから解毒薬のピアスを奪い取ることに成功。バンダナに引っかけたピアスを自身の血で作ったシャボン玉に入れて飛ばし、ジョセフに託すとかすかに微笑みを浮かべたまま絶命。遺体は絶命直後に落ちてきた瓦礫の下敷きとなったが、その戦いぶりと最期はワムウからも認められ、永遠の命を持つ彼に「永遠に記憶の片隅に留めておく」とまで言わしめた。
ジョセフがピアスと共に受け取ったバンダナは、形見の品として以降もジョセフが所持し、最終決戦ではそのバンダナをジョセフが身に着けて戦った。ワムウに追い詰められた際、そのバンダナを利用することでジョセフはワムウを倒し、シーザーの仇を討っている。
主な技は、衣装に仕込まれている特殊石鹸水に波紋を流し、シャボン玉を発射する「シャボンランチャー」や、それを高速自転させて円盤状に発射できる「シャボンカッター」。後者は祖父の使っていた波紋カッターの応用技で、「シャボンカッター・グライディン」としてそのエッジ部分で切断したり、円盤本体を「シャボンレンズ」として屋内に太陽光を送り込んだりもできる。
リサリサ / エリザベス・ジョースター
声 - 田中敦子[1]
シーザーの波紋の師であり、後に師事したジョセフに波紋の扱い方を厳しく指導した。
ジョセフは知らなかったが、正体は彼の実母エリザベスであり、1889年の大西洋の事件(Part1最終話)でエリナに助けられた赤ん坊。ストレイツォによって育てられ、彼の指導により波紋を習得する。生年月日は1888年12月頃。身長175cm。体重不明。血液型A型。
成人後にイギリス空軍のパイロットとなったジョージII世と結婚し、ジョセフを産む。しかし、夫がイギリス空軍司令官として潜んでいたゾンビ(詳細はディオ・ブランドー#Part2『戦闘潮流』を参照)に返り討ちにされ、エリザベスはそのゾンビを波紋で倒す。しかし冷静さに欠けており、その現場に目撃者がいたことから「イギリス空軍司令官殺し」の国家反逆罪で全世界へ指名手配となり、スピードワゴン財団の協力で姿をくらまし、リサリサと名乗っていた。
50歳だが、波紋の習得により20代後半のような若々しい外見を保っている。波紋パワーはジョセフの軽く3倍。武器は、サティポロジア・ビートルという虫の「100%波紋を伝える糸」で編まれたマフラーで、それに波紋を流して吸血鬼を倒す。また、このマフラーは武器であると同時に、生命反応を感知できるレーダーにもなっている。
柱の男達との最終決戦でカーズに重傷を負わされるが生還し、ジョセフに自分が母親であることを打ち明け[2]、ともにアメリカへ移住。1948年にハリウッドの脚本家と再婚した。ジョセフに対しては、母親としての愛情を押さえ込み、波紋戦士として育てるために常に厳しく接していたが、死亡したと思われていたジョセフが生きて現われた時には涙を浮かべている。Part3には登場こそしないものの、ジョセフに「ジョースター家の血筋の人間には左肩に星型のアザがある」ことを教えていた。
呼び名の由来は、アメリカの音楽グループ「リサリサ&カルト・ジャムテンプレート:要出典
ロギンズ、メッシーナ
声 - 仲野裕(ロギンズ)、中村秀利(メッシーナ)
2人ともリサリサの屋敷の召使であり、波紋の師範代。リサリサの下でロギンズがジョセフを、メッシーナがシーザーをそれぞれ厳しく指導した。ロギンズは最終試練の場でジョセフを待っていたところを、エシディシに殺害された。
メッシーナはエシディシが郵送した赤石の宛て先を突き止め、単独でカーズのいるホテル跡へ向かったシーザーを止めるべく追うが、ワムウに左腕を切り落とされて気絶する(終戦後は元に戻っている)。負傷の影響もあり、最終決戦には参加できなかった。
名前の由来は、ロギンズ・メッシーナ共にアメリカの2人組音楽グループである「ロギンス&メッシーナテンプレート:要出典

柱の男

サンタナ
声 - 乃村健次[3]
「柱の男」の一人で、彼ら4人の内では最下位の階級にあたる。カーズたちが旅を始めた頃は赤ん坊であり、カーズいわく「(自分たちの)十分の一しか生きていない若僧」「青っちろいガキ」。カーズたち3人と離れメキシコの遺跡で眠っていた。鉱物化して眠る柱をスピードワゴン財団が発見し、さらにそれをナチス・ドイツが将来人類の存亡に関わると考え、「柱の男」を倒す研究のため奪取、研究の過程で多数の囚人の生き血を吸わせることによって目覚めさせた。後の3人とは異なり、特定の流法(モード)は見せておらず、「憎き肉片(ミート・インベイド)」「露骨な肋骨(リブス・ブレード)」などの自らの肉体の一部を操作して攻撃を行う。最下位とは言えわずかな間に現代語を習得し、サブマシンガン(MP40)を一目見ただけで分解するなど高い知能を持ち、かつ一人でドイツ軍基地を蹂躙する圧倒的な能力を見せる。ただ、ジョセフが自分に吸収されなかったり、波紋で攻撃を防いだりしているのを見て不思議に思っていたことから、「波紋」の存在を知らなかったようである。シュトロハイムの文字通りの捨て身の行動とジョセフの攻撃によって太陽の光を浴び、再び石化。スピードワゴン財団が回収した。その後の行方は劇中では語られていない。
サンタナ」の名は、シュトロハイムが「メキシコに吹く熱風」という意味で便宜上名付けたもので、本名は不明。当初、他の柱の男は「ヤツ」と呼んでいたが、後にカーズもシュトロハイムに合わせて「サンタナ」と呼んでいた。
ワムウ
声 - 大塚明夫[3]
「柱の男」の一人。年齢はおよそ12000歳。1939年1月30日にカーズやエシディシとともに復活。彼らの中では第3位の階級にあるものの、シーザーやカーズに「戦闘の天才」と言わしめる程の実力者。スピードワゴン財団がサンタナの行動を封じるために浴びせたのと同じ人工の紫外線ライトを照射されても、まるで害を受けずに平然と行動することができる。
風の流法(モード)という、体機能の作用で空気の流れをすさまじい規模で操る技法を所有。必殺技は両腕を前に突き出した状態で関節ごと高速回転させ、巨大な竜巻を作り出して標的を粉砕する「神砂嵐(かみずなあらし)」と、膨大な量の空気を体内で圧縮し、極めて高圧の状態で噴出させて標的を切り刻む「最終流法(ファイナルモード)・渾楔颯(こんけつさつ)」。視覚無しでも収納可能な1本の角で風の流れから相手の動きを知ることができる。額の角はドリルのように回転する武器ともなる。肺の水蒸気を胸から出して体の周りを覆い光を屈折させることで、一時的に透明人間になれる。これにより、ごく短時間ながら太陽光線の下でも行動できる。自分の影の中に入られるのを極端に嫌い、相手がカーズであっても無意識の内に反射攻撃をしてしまう。カーズ、エシディシに対して非常に忠実であるが、戦いの場においては自らの戦いの美学を優先する。
自分が認めるに足る敵と戦うことこそを名誉とする誇り高き男。復活後にジョセフと戦い瀕死のダメージを与えるものの、自らに傷を与えた男としてジョセフを認め、心臓に毒の指輪を埋め込み決闘の約束とした。その後は、ギリシャで「エイジャの赤石」を探していたらしいが、スイスのサンモリッツにいるカーズと合流。単独で攻撃を仕掛けてきたシーザーを苦戦しながらも倒すが、自らの命を失ってもジョセフに解毒剤を託そうとした彼の姿に敬意を表し、鮮血のシャボンを割らずに見逃した。その後、ピッツベルリナ山でジョセフと古来の作法に基づく「戦車戦」での決闘を行い、死闘の末に敗れる。首だけの状態になりながらも自分の戦いを汚そうとした吸血鬼達に制裁を加えた後、自分より戦士として高みに立ったジョセフの成長に立ち会えたことに喜びを感じながら、1万年以上に及ぶ自らの人生はジョセフに出逢うためにあったと言い残し消滅した。ジョセフはそれに答え無意識に敬礼で応じている。
名前の由来は、イギリスの音楽デュエット「ワム!テンプレート:要出典
エシディシ
声 - 藤原啓治[3]
「柱の男」の一人でカーズの同志。ダイナマイトを飲み込み、腹の中で爆発させても平然としているほど強靭な肉体を持つ。血液を摂氏500℃にまで加温し、この熱を様々に利用する、炎の流法(モード)(アニメでは熱)の使い手。切れた血管を針のように伸ばし、敵に突き刺し過熱血液を流し込む「怪焔王の流法」(かいえんのうのモード)、血管針を全身から突き出させて回転攻撃を行う「怪焔王大車獄(かいえんのうだいしゃごく)」でジョセフを苦しめた。性格は荒っぽく直情的であるが、彼自身はそれを自覚しており、頭に血が上った時は大泣きして落ち着くことで感情をコントロールする。昔中国に行ったことがあり、ジョセフとの会話で兵法書の「孫子」を引用した。
エイジャの赤石の所在を突き止めて1939年2月25日の夜にエア・サプレーナ島を襲撃しロギンズを殺害、ジョセフと戦うが敗北する。しかし、脳髄だけになりながらもスージーQに取りついて赤石をスイスにいるカーズのもとへ郵送。そしてスージーQの肉体もろとも自爆し、その爆発でジョセフ達も吹き飛ばす事を図るが、ジョセフとシーザーが連携して流した波紋によってスージーQの体から追い出される。それでも今度はジョセフの肉体に再度取り付こうとするが、最期はジョセフの背中の上で朝日を浴びて消滅した。
プライドを捨ててまで仲間のために生きようとした姿には、ジョセフも善悪とは関係無い、一種の敬意を表していた。
名前の由来は、オーストラリアのロックバンド「AC/DCテンプレート:要出典
カーズ
声 - 井上和彦[3]
「柱の男」のリーダー格。柱の男達の中では最も知能が高く、「究極生命体(アルティメット・シイング)」となることを望み「石仮面」を作り出した天才(究極生命体となった時点ではIQ400)。身体から生やす刃を煌めせる光の流法(モード)「輝彩滑刀(きさいかっとう)」を武器として用いる。刃が光るからくりは、刃の表面をチェーンソーのように走る無数のキバ状の突起が不規則に起こす乱反射によるもので金属も容易く切断する切れ味を持つ。刃は手以外にも足などからも生やせる。
弱点なき究極の生命体の追求を信念としている。およそ12,000年前、彼の思想を危険視した同族を返り討ちにして滅ぼした。そして、自分の思想に共感したエシディシと、当時は生まれたばかりで事情を知らないワムウとサンタナを引き連れ、旅に出た。究極生命体になるための研究の過程で「エイジャの赤石」の力を発見。石仮面の完成に必要な「スーパーエイジャ」の所在を突き止めるが、休眠期に入り柱の中で眠りについていた。彼にとって自らの目的を果たすことは絶対のもので、手段は選ばず、ワムウに倣うと見せかけた欺瞞的な戦法や両親をも含む殺戮にも罪悪感は持たない。一方、戦士としてのワムウの姿を讃え尊重しその純粋さに心を傷めたり、エシディシに対しての強い仲間意識を覗かせるなど、この二人への心情は一貫して手厚い。子犬を轢きそうな自動車を斬る、谷の底に咲く花の上に落ちることを避ける、女との戦いは好まないと告げるなどの反面、「究極生命体」となった直後には、自らの能力で生み出したリスに近寄ってきた別のリスを殺させるといった特異な行動を見せる。
スイスでの決闘でリサリサを騙し討ちすることで、ついに赤石を手に入れる。その後ジョセフに策に嵌るが、直後に自らに止めを刺そうとしたシュトロハイム隊の攻撃を利用し、赤石と石仮面の力で究極生命体になる。太陽光や波紋を克服すると共にあらゆる生物の能力を体現できるまでになり、ジョセフの数百倍もの強さの「波紋」を練るまでに至った。エシディシとワムウの復讐、自分のけじめのためにジョセフを自分の手で殺そうとした結果、ジョセフによってイタリアのヴォルガノ島まで誘導され溶岩の中に落とされるも、究極生命体の能力を活用し、空気の鎧をまとって溶岩の中を数十秒に渡って泳ぐという神業で脱出。ジョセフの左腕を切断し、彼とシュトロハイムを死の絶望に追いやった。しかし、新たに得た「波紋」でジョセフに止めを刺そうとしたところ、赤石によって増幅させられた波紋エネルギーが火山のさらなる噴火を誘い、噴出された火山岩に押し上げられて宇宙空間に放逐される。その後、自らの体内から圧縮空気を噴出し、反動で地球への帰還を試みるが、空気を放出したため体内が真空にさらされたことにより圧縮空気そのものと肉体が凍結して失敗。不老不死であるが故に死にたくても死ぬこともできず、最終的に生物と鉱物の中間の物体として永遠に宇宙空間を漂う存在となり、そのうち考えることをやめた。
この他、回想シーンで彼らと同じ闇の生物の一族が数人登場しているが、カーズの粛清を決定する会議を開いている姿と戦い倒され死んでいる姿が描かれるのみである。
名前の由来となったのは、アメリカのロックバンド「カーズテンプレート:要出典

吸血鬼

ストレイツォ
声 - 飛田展男
Part1で登場した波紋の戦士でリサリサの育ての親にして師匠。年齢はスピードワゴンと同い年。老師トンぺティの後を継ぎ、波紋法の指導者となったが、波紋法を持ってしても防ぎきれぬ自身の老化に危機感を持っており、ひそかにディオ・ブランドーの吸血鬼の力に憧れていた。そのため、スピードワゴンに呼ばれて弟子たちとともにメキシコを訪問し、柱に埋め込まれたサンタナと多数の石仮面を目の当たりにした際、弟子たちを殺害した後にスピードワゴンを襲い、石仮面を持ち出して吸血鬼となった(その際に、容姿がPart1とほぼ同じ状態にまで若返った)。しかし、吸血鬼となった後も血を吸わず、無関係な人間を手にかけることはなかった(ジョセフを誘き出すために少女(声 - 吉田聖子)を人質にとったが、その際にも奥歯を引っこ抜いただけで殺してはいない)。自身の脅威になるであろうと判断したジョセフを抹殺すべく彼と戦い、Part1でディオも使用した「空裂眼刺驚(スペースリパースティンギーアイズ)」を使った。また、リサリサが所持しているのと同じような波紋をよく伝導するマフラーを身につけており、それでジョセフの波紋を散らして防いだ。だが、ジョセフの用意していた多数の兵器と機転によりマフラーを失い、空裂眼刺驚も撃ち返されて敗北。若返ったことを至上の幸福と称して、波紋の呼吸を行い、自らの命を絶った。
名前の由来はPart1のダイアーとともにイギリスのロックバンド「ダイアー・ストレイツ」から[4]
鋼線(ワイアード)のベック
声 - 鶴岡聡
カーズの部屋の門番を任されている吸血鬼。厚ぼったい唇と語尾に「〜ズラ」をつける口調が特徴。恋人を絞め殺した脱獄囚だったが、逃亡中にカーズの持つ石仮面により吸血鬼となった。自分の体毛を棘状に変化させることができる。ジョセフのクラッカーを破壊し、リサリサを抱き締めてお仕置きしようとしたが、逆に波紋を流されて死亡した。
カーズの影武者
カーズの影武者を務めていた吸血鬼。リサリサとカーズの戦いで、本物のカーズが「殺気の無い構え」を見せ姿を消した後、柱のヒビの中から現れる。リサリサに波紋を流され、呆気なく倒れるが、カーズが攻撃するための隙を作ることには成功した。頭髪はかつらであり、倒された後はかつらが外れ、禿頭があらわになった。
戦車の御者
声 - 山本兼平
吸血馬二頭が引く戦車の御者を任されていた吸血鬼。興奮し猛り狂った吸血馬を抑えることができず、ワムウ、カーズに避難を勧めた。吸血馬はワムウによって静められ、自身も命は助かった。

その他、カーズによって生み出された約100人もの吸血鬼(全員、元はごろつきの類)が登場している。そのいずれもワムウとカーズに制裁を下されたり、カーズにエネルギーを吸収されている。大半はシュトロハイムとナチス親衛隊、スピードワゴン財団特別科学戦闘隊に倒されている。

その他の登場人物

ロバート・E・O・スピードワゴン
声 - 上田燿司[1]
ディオとの戦いの後アメリカに渡り石油王となり、スピードワゴン財団を設立。吸血鬼と柱の男たちについて調査をしていた。

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エリナ・ジョースター
声 - 川澄綾子
旧姓ペンドルトン。ジョセフの祖母であり、ジョナサンの妻であった。Part2では気品と厳格さを兼ね備えた淑女となっている。また、レストランにて友人であるスモーキー・ブラウンを黒人だという理由で侮辱した相手への怒りを露にしたジョセフに対し、「他の客に迷惑をかけずにやっつけなさい」という旨の発言をするなど、若い頃よりしたたかになっている。
孫のジョセフに対して紳士の教育を厳しく行っており、「エリナおばあちゃんに叱られる」と恐れられつつも、育ての親として深く慕われる。老齢ながら小学校の英語教師を務めており、学校をサボるジョセフに歴史を教えている。彼女の教育はジョセフがエシディシと戦う際大いに役立った。夫と息子を若くして失っているため、孫のジョセフには幸せになってもらいたいと願っている。そのため、ジョセフの父親と母親は戦死と病気でそれぞれ亡くなったとして、波紋や石仮面の存在にまつわることは50年前に終わったと、ジョセフには真実を伝えずにいた。
1950年、自身も数奇で悲しい運命に何度も見舞われたが、最後は孫とその家族、友人達に見守られながら81年の生涯を静かに閉じた。
Part2では普段からサングラスを付けており、一度も取っていない。1コマだけ、サングラスと顔の間から素顔が見えるシーンがある。
テレビアニメ版では普通の丸眼鏡となっており、素顔も見えている。
ルドル・フォン・シュトロハイム
声 - 伊丸岡篤[1]
ナチスの将校で、初登場時には少佐としてメキシコ秘密基地の指揮官を務めていた。瀕死の重傷を負ったスピードワゴンを保護して尋問し、得た情報で基地内に移動させた柱の男達の1人を復活させ、サンタナと命名する。しかし、サンタナの予想を上回る能力に翻弄され、基地内に甚大な被害を負ったことで侵入していたジョセフと一時共闘する。その後、サンタナに弱点の日光を浴びせるために自らの足をジョセフに斧で切り落とさせるなど身を挺した行動を取るが、逆に切断した足の傷口から体内に侵入されてしまう。最後の手段として手榴弾によって自爆したが、それでもサンタナは倒せなかった。しかし、シュトロハイムが自爆したことで再び日光に晒されたサンタナは、ジョセフによって石化される。
死んだと思われたものの、全身をサイボーグ化して再登場(それと同時に大佐へ昇進)。再び柱の男達との戦いに参加する。サイボーグ化にはサンタナのデータが参考にされており、その身体能力は彼を上回ったが、サンタナよりもはるかに格上の存在であるカーズには内蔵された機関銃でダメージを与えたものの胴体を真っ二つにされる。しかし、片目に内蔵された紫外線ストロボを駆使して生き残り、再改造・修理を受けて再度戦線に復帰。カーズとの最終決戦において、苦戦するジョセフを文字通り身を犠牲にして助けており、Part2における彼の最後の戦闘を見届けた唯一の人物となった。
台詞の最後を伸ばす(世界一ィィィ!など)独特の口調を持つ。サイボーグ化された後はこの傾向がさらに顕著になっていた。
性格面ではプライドが高く傲慢な反面、勇気のある人間は人種や年齢を問わず尊重するなどの面を持っている。カーズに止めを刺そうと意気込んで放ったはずの攻撃が、彼がエイジャの赤石を装着した石仮面をかぶっていたために究極生物化の手助けとなってしまうなど、間抜けな一面も見せている。また、単身で実験台になろうとした捕虜の少年(声 - 井口祐一)以外の捕虜全員を実験に使うなど冷酷な面がある一方、自身を犠牲にしてジョセフを助ける正義漢の一面も持つ。
柱の男達との戦いの後、ジョセフの生還を知ることなく1943年スターリングラード戦線で誇り高きドイツ軍人として名誉ある戦死を遂げたことがエピローグで記されている[5]
小説『恥知らずのパープルヘイズ』では名前のみ登場。石仮面による不死の研究の責任者になっていたことが判明しており、シチリアにあった石仮面を回収する予定であったが、スターリングラード戦線で戦死したためにそれは回収されず、シチリアに残されていた。
スージーQ
声 - 小島幸子
リサリサの使用人。かなり天然ボケな性格のイタリア人女性。脳髄のみとなったエシディシに操られて体内をボロボロにされるが、ジョセフに救われた。柱の男との戦いを終えたジョセフを介抱した後に結婚するが、彼の生存を仲間達へ連絡し忘れていたため(ジョセフはカーズ戦で死んだと思われていた)、ジョセフは自分の結婚を自分の葬儀の場で発表する羽目となった。結婚後にはジョセフとの間に娘のホリィ・ジョースター(空条ホリィ)をもうけ、さらには孫の空条承太郎が生まれることとなるが、Part4での彼の台詞によると、ジョセフの浮気が判明した時はかなり激怒した模様。
名前の由来となったのは、アメリカの女性ロックミュージシャン「スージー・クアトロ」。
スモーキー・ブラウン
声 - 林勇
ジョージア州出身の黒人少年。ニューヨークでジョセフの財布を盗んだところを見ていた警官のリンチに遭っていた最中、ジョセフに助けられて友人となる。ストレイツォ戦の後はしばらく登場しなかった(ジョセフやスピードワゴンが不在の間、エリナの身辺の世話をしていた模様)が、カーズとの最終決戦で苦戦するジョセフの元へスピードワゴンやシュトロハイムらとともに駆けつけている。エピローグでは苦学した後、ジョージア初の黒人市長となったことが記されている。
名前の元となったのは、アメリカのミュージシャン「スモーキー・ロビンソンテンプレート:要出典
ジョージ・ジョースターII世
ジョナサンとエリナの息子。リサリサの夫でジョセフの父。名は祖父のものを受け継いだ。ジョナサン譲りの容貌を持ったイギリス空軍のパイロット。黎明期の乗り物で、その安全性が保障されていない飛行機に自ら志願して搭乗するなど、ジョナサン同様の強い意志と勇気を持っている。軍の上官がディオの生んだゾンビの生き残りであることに気付いたが、素質はあったものの波紋の修行をしていなかったために殺害された。息子のジョセフには、「父は幼い時に戦死した」としか知らされていなかった。
なお、名前はPart2では単に「ジョージ・ジョースター」と語られているのみで、Part3以降の家系図において「ジョージII世」とされている(ジョージI世は祖父であるPart1のジョースター卿)。
テレビアニメ版では出番が増やされ、花束を手にエリザベスの元を訪れるシーン、空軍パイロットとして活躍するシーン、生まれたばかりのジョセフを夫婦で見守る笑顔のシーンが描かれた。
ブルート
ジョセフに挑みかかってきた大男。伴っていた女性からは「ブルりん」と呼ばれる。ジョセフがストレイツォを爆破して逃走したところその騒ぎを聞きつけ、新聞に載ってヒーローになろうと目論み彼を捕まえるが、ジョセフに鼻を集中的に踵で蹴られて取り逃がしてしまい、逆に醜態を晒すことになった。
テレビアニメ版では上述の場面がカットされたため、登場しない。
ドノヴァン
声 - 松田健一郎
ナチス親衛隊コマンドー。足跡をつけずに砂の上を歩けるほどの身軽さを持つ。メキシコの砂漠でジョセフを尾行し、ストレイツォの情報を得るために拉致しようと目論むが、戦闘に敗れて逆に拷問され、スピードワゴン生存の事実を自供する。その後、サボテンにくくり付けられてしまった。
マルク
声 - 逢坂良太
ナチスの軍人で、シーザーの親友。仕事に一生懸命な人の良い青年。シーザーに手伝ってもらいナンパした女性と婚約中であり、近い将来に結婚する予定だった。ナチスが監視しているローマの地下遺跡へジョセフやシーザーを案内するが、眠りから目ざめたワムウに右半身を食われて致命傷を負う。最期はシーザーに波紋で心臓を止められ、安楽死させられた。
マリオ・ツェペリ
声 - 山野井仁
ウィルの息子でシーザーの父。ナポリの家具職人だったが、ウィルの意志を受け継ぎ波紋の修行に生涯をかけており、ローマで地下遺跡を発見した後に突然失踪する。世界を巡ってそれへの対処法を探っていたが、遺跡の罠に引っかかったシーザーを救おうとして死亡した。マリオ自身はシーザーを自分の息子とは分からなかったが、マリオの死はシーザーを大いに成長させることとなる。

関連用語

柱の男(はしらのおとこ)
2000年周期で眠りにつく謎の生物「闇の一族」のこと。作中では石柱の中で眠っていたカーズ、エシディシ、ワムウ、サンタナがこう呼ばれる。人間が歴史を持つ遥か前に進化の過程の中で地球に出現し、かつて悪魔などと原始の人間たちに認識されていた存在。女性もいたようだが、その生物の頂点に立つ力故に食物連鎖の定義に漏れず繁殖率が極めて低く、地球の生態系にも考慮して他の生物には必要(必要最低限の食料)以上には干渉せずそれまでひっそりと生きていた。しかし一族は、より多くの生物のエネルギーを必要とする「石仮面」を作り出したカーズを恐れ抹殺しようとし、逆に返り討ちに遭って滅ぼされたため、作中の時点で生存するのはカーズら4人のみ。頭にはそれぞれ固有の角(ワムウの発言)、あるいは触角(カーズの発言)がある。人間とは比較にならぬほどの寿命・知能・身体能力を誇るが、紫外線に弱く、太陽光を受けると、吸血鬼のように灰化まではしないものの、硬直して石となる。ただしエシディシによると皮膚の内部や(負傷などでむき出しになった)内臓に紫外線や波紋の攻撃を受ければ消滅もする。普通に口から物を摂取することもある(カーズが酒を飲んでいるなど)が、全身の細胞から消化液を出して「食事」を行うため、波紋使い以外の人間や吸血鬼が柱の男の肉体に接触すると、削り取られるようにして食われてしまう。「石仮面」は彼らには骨針の「押し」が弱かったらしく、「石仮面」に「エイジャの赤石」の力を取り込み、弱点の太陽光を克服、究極生物へ進化することを目論んでいた。Part1から登場する石仮面は、カーズが研究の過程で作った試作品である。その試作品の「石仮面」を使い、「柱の男」達は、高効率のエネルギー源としてあらゆる生物を吸血鬼に変貌させ、捕食していた。「波紋使い」の一族は、この柱の男達からエイジャの赤石を守るため、また柱の男達を殲滅するために存在することも明らかになる。
エイジャの赤石(エイジャのせきせき)
カーズたちが捜し求めていた、ルビーのように赤い石。地球上で極稀にしか存在しない「エイジャ」という希少鉱物で、結晶内で光を何億回も反射を繰り返し増幅した後、ルビーレーザーのように一点に照射する力を持っており、不純物の多い粗悪な石でさえ、ランプの炎の光だけでエシディシの掌を貫通する威力を発揮した。石仮面の骨針の力が自分たちの脳を押すには不足していることに悩んでいたカーズは、赤石の力で骨針を強化しようと考え、ローマ皇帝が持つといわれた一点の曇りも無い「スーパーエイジャ」を入手すべく、ワムウとエシディシを連れて2,000年前のヨーロッパに現れた。「スーパーエイジャ」が無ければカーズの野望は実現しないのだが(実際にジョセフも赤石の破壊を提案していた)、これが無ければ「柱の男」を倒せないという言い伝えが残されていたため、代々の波紋戦士によって引き継がれ、作中の時代では宝石に偽装されてペンダントに組み込まれた状態でリサリサが所持していた。最終的にはジョセフの生きるという執念が成せた偶然により赤石は「波紋増幅器」ということが判明し、そのエネルギーは火山噴火を発生させた。

テレビアニメ

2012年10月5日から2013年4月5日まで、TOKYO MXMBSCBC東北放送RKB毎日放送BS11で放送。全26話で第1部と第2部が映像化されており、第10話から第26話までが第2部の映像化に相当する。 テンプレート:Main

その他

テンプレート:雑多な内容の箇条書き

  • 登場人物の名称は他のPart同様、洋楽のバンド名やメンバー名などをアレンジしたものが多い。
  • シーザーの祖父ウィルは週刊少年ジャンプ掲載時では、「結婚もしなかったし家族も持たなかった」と語っていたが、Part2で彼の孫であるシーザーが登場した。作者いわくこれには苦情が殺到したらしく、後に発行された単行本4巻では「若いころ結婚していたが石仮面に関わり家族を捨てた」という風に台詞が変えられ、同巻末に謝罪文が載せられた。この作者コメントの一部は、日本テレビ系列で放送されたバラエティ番組人生が変わる1分間の深イイ話』(2008年6月9日放送分)で紹介された。
  • 週刊少年ジャンプ連載当時、本作品には「ロマンホラー! 真紅の秘伝説」というキャッチコピーが添えられていたが、これは作者本人の意図するところではなく、担当編集の独断によって付けられた特に意味のないものだったという[6]。しかしエイジャの赤石の登場により、このコピーがそれなりの意味を持つものとなっていった。
  • 作者の荒木飛呂彦は、Part2では敵キャラクターやエシディシが泣くシーンが気に入っており、「強い敵が、ある瞬間に弱みを見せたほうが怖い」と語っている[7]

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

テンプレート:Jojo
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 テンプレート:Cite journal
  2. テレビアニメ版エピローグでは、ジョセフは何とも言えない複雑な表情を浮かべていた。
  3. 3.0 3.1 3.2 3.3 テンプレート:Cite web
  4. 『集英社ジャンプリミックス 戦闘潮流1 ジョセフ・ジョースター編』 P44 JOJO's CHARACTER Part1 ストレイツォ
  5. テレビアニメ版のエピローグでは、背中のアームパーツに仕込んだ銃火器で戦線に立つ姿が描写されている。
  6. コラム「気分はJOJO 最終回SPECIAL!!〜5部Q&A〜」(『週刊少年ジャンプ』、1998年9号)
  7. SPURムック『JOJOmenon』より。