戦闘員

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2013年8月5日 (月) 02:06時点におけるOspalh (トーク)による版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

戦闘員(せんとういん、テンプレート:Lang-enテンプレート:Lang-frテンプレート:Lang-de)とは、戦争戦闘に従事する要員。近代以降の軍隊では通常は軍人軍属だが、職業や資格ではなく、主に直接に戦闘に参加する者という役割を指す用語のため、民兵私兵などを含み、軍人でも後方勤務などは含まない場合もある。

戦時国際法における戦闘員

戦時国際法における戦闘員は、紛争当事者の軍隊の構成員(衛生要員及び宗教要員を除く)をいう[1]

交戦者

ハーグ陸戦条約附属書 陸戦の法規慣例に関する規則 第1条では正規軍に属する軍人に加え、「遠方より認識得べき固著の特殊徽章を有すること」、「公然兵器を携帯すること」、「部下の責任を負う指揮官が存在すること」、「戦争法規を遵守していること」の4条件を満たす民兵と義勇兵を交戦者の定義としている。

一般市民の保護

国際人道法でも「攻撃に従事している間または攻撃に先立つ軍事行動に従事している間、自己を一般市民から区別すべき義務を負う」こととし、「一般市民の地位を装う事は、背信行為として糾弾される」としており、一般市民を戦闘に巻き込む行為や巻き込む可能性のある行為は禁じられている。

非合法戦闘員に関する論議

ゲリラ戦闘を行う民兵、義勇兵も交戦資格を持ちえるが、実際のゲリラ活動においては、「遠方より認識得べき固著の特殊徽章」や「公然兵器を携帯すること」は行われないことが多い。非合法戦闘員と認定されれば通常の刑事犯罪者とされ、死刑を含む重罪となる可能性が高く、また拘束者の取り扱いや尋問も捕虜としての無差別保護の原則が適用されず、過酷な扱いとなりやすいため、内戦紛争では問題となっていた。

この問題を解決するため、1977年、第一条約追加議定書において、さらに民族解放戦争等のゲリラ戦を想定し、資格の拡大をはかった。 本議定書は、旧来の正規兵、不正規兵(条件付捕虜資格者)の区別を排除し、責任ある指揮者の下にある「すべての組織された軍隊、集団および団体」を一律に紛争当事国の軍隊とし、かつその構成員として敵対行為に参加する者で、その者が敵の権力内に陥ったときは捕虜となることを定めた。ただ、これら戦闘員は、一般住民の保護の必要上、軍事行動に従事中は自己を一般住民と区別する義務を負う(43条、44条)。

ベトナム戦争以来の全般的な傾向としては、「兵士に対する攻撃」は交戦者条件に反する場合でも、交戦者に準じた扱いを行う方向となっていたが、2001年9月11日アメリカ同時多発テロ事件以来、この流れが逆になりつつある。特に米軍はアフガニスタンでは、兵士に対する攻撃も含めてゲリラ全てをテロリストとして扱っており、ロシアチェチェンの反ロシア武装勢力を全てテロリストとみなしている。これらの傾向に便乗した形で非民主的・独裁的とされる国々でも反政府武装勢力をテロリストと呼ぶ傾向が強まっており、これに批判的な欧州連合も欧州におけるテロ事件の増加によりその語調は弱まっている。イスラエルは、ハマースなどの勢力メンバーを「戦闘員」と呼ぶが、これも非合法戦闘員という意味を持ち、いかなる交渉も必要ない相手という見解を示している。

フィクション

一部のフィクション作品では、主要な敵役の手下である一般の戦闘要員を「戦闘員」と呼んでいる場合もある。日本ヒーロー作品では仮面ライダーの「ショッカーの戦闘員」や、後継の作品における「戦闘員」など。

脚注

  1. ジュネーヴ第一条約追加議定書 第43条2 「紛争当事者の軍隊の構成員(第三条約第33条に規定する衛生要員及び宗教要員を除く。)は、戦闘員であり、すなわち、敵対行為に直接参加する権利を有する。」

テンプレート:脚注ヘルプ

関連項目

外部リンク

テンプレート:Gunji-stubhe:לוחם