志穂美悦子

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テンプレート:存命人物の出典明記 テンプレート:ActorActress 志穂美 悦子(しほみ えつこ、1955年10月29日 - )は、日本女優歌手フラワーアーティストテンプレート:Refnest岡山県西大寺市出身。海外ではSue Shiomi の名で知られ[1]、日本で初めて女優自らスタント擬斗を演じ[2][3]1970年代から1980年代にかけて活躍した。ジャパンアクションクラブ (JAC ) が初めて輩出した女優でもある。愛称は悦っちゃん[1]

本名は長渕 悦子(ながぶち えつこ)[注釈 1]。旧姓は塩見(しおみ)。夫はシンガーソングライター長渕剛、娘は女優の長渕文音、長男はヒップホップミュージシャンのWA航RU、次男はレーシングドライバー長渕蓮

来歴・人物

生い立ち

父親が大蔵省造幣局に勤務する家庭に長女として生まれた。弟が一人いる。岡山市立西大寺中学校から1971年岡山県立西大寺高等学校へ進学。子供のころから運動が得意で、中学・高校と陸上部に所属。中学時代には80メートル・ハードルで、13秒4という岡山県歴代2位の記録を残す。1968年から放映されていたテレビドラマキイハンター』を観て以来、千葉真一の熱狂的ファンとなり[2][1]、感化された志穂美は高校生の時にスタント・パーソンになりたい夢を抱く[4]1972年8月、千葉が主宰するジャパンアクションクラブ (JAC ) に一般公募を受け、合格。同年10月に上京して入会するとともに中延学園高等学校に転校し、1974年に卒業する。

アクションスター

1973年千葉真一主演映画ボディガード牙』では、牙直人の妹・マキのスタント擬斗吹き替えを担当し、デビュー[注釈 2]原作者梶原一騎は無名であった志穂美のアクションに惚れ込み、シリーズ化された次回作に志穂美の配役を強く推薦したため、『ボディガード牙 必殺三角飛び』(1973年)では、マキを演じた渡辺やよいに代わって抜擢された。

毎日放送の『サスペンスシリーズ』の一本で雑誌『コミック&コミック』に連載されていた小池一雄原作による殺し屋をしながら、数百年も生きている鬼婆の兄妹の物語を描いた劇画をテレビドラマ化した『現代鬼婆考・殺愛』(1973年9月28日放送)で塩見 悦子名義で、主演である千葉真一 (大庭しげ男) の妹・大庭しげみで出演。その後、芸名を千葉の本名「前田 禎穂」から「穂」をもらい[4]志穂美 悦子に改名した。同年のテレビドラマ『キカイダー01』の第30話『悪魔? 天使? ビジンダー出現!!』(1973年)からレギュラーとして登場。志穂美が扮したマリはビジンダーというキャラクターに変身し、若年層を中心に人気を博す。

1974年には千葉真一主演映画『激突! 殺人拳』に助演JAC へ入所して2年経過していたが、東映では千葉に続く格闘映画として、ヒロインが活躍する“女ドラゴン”の企画を進めていた。その主役にはアンジェラ・マオをあてがう予定だったものの、諸事情により来日できなくなる。師匠である千葉が志穂美を強く推薦し、当時18歳だった志穂美の抜擢に東映では意見が割れるものの、映画出演3作目にして主役の座を射止めた。

同年8月、志穂美悦子初主演による東映映画『女必殺拳』(1974年)が公開。志穂美演じるヒロインが日本で行方不明となった麻薬Gメンである兄を探して、麻薬シンジケートに立ち向かい、拳法で悪党を叩きのめす物語は大ヒットし、同年12月には続編となる『女必殺拳 危機一発』(1974年)、翌年8月には『帰ってきた女必殺拳』(1975年)とシリーズ化。海外でも公開され、Sue Shihomi の異名で世界的に知名度を上げ、出世作となった。剣技だけでなく格闘をメインにし、吹き替えなしで演じて多数の作品に主演したアクション女優としては日本映画史上初の存在であり、その後も追随する存在は出ていない。

1975年には梶原一騎原作の映画『若い貴族たち 13階段のマキ』や志穂美の多羅尾伴内的七変化が見所の映画『華麗なる追跡テンプレート:Refnest』、翌1976年には『必殺女拳士』、『女必殺五段拳』といった格闘映画など主演作が相次ぎ、当時の人気スターのバロメーターであったブロマイドの売上がNo.1となり[1]、以後数年間その地位を固守した。

千葉真一主演の格闘映画『逆襲! 殺人拳』、『直撃地獄拳 大逆転』(1974年)、『少林寺拳法』(1975年)、『激殺! 邪道拳』、『ゴルゴ13 九竜の首』(1977年)の助演や、テレビドラマでも『ザ・ボディガード』(1974年)、『ザ★ゴリラ7』(1975年)、『燃える捜査網』(1975~76年)、『大非常線』(1976年)にレギュラー出演し、JAC における千葉の妹的な立場となった[1]。その一方で、東京・下町の鉄工所を舞台に幼いときに別れた母親を迎え入れた家族の人間模様を描いた、千葉主演のテレビドラマ『七色とんがらし』(1976年、NET)ではホームドラマにレギュラー出演し、スタントや擬斗を演じない初めての作品は芸域を拡げる転機になった。

バラエティ・ミュージカル

大江戸捜査網』(1976~77年)は初の時代劇となり、普段は自分の正体を隠して探索を行い、悪を倒す忍者集団である隠密同心・風でレギュラー出演(第159~202話)。時代劇だが志穂美の立ち回りシーンにはほとんど日本刀を使わず、蹴り技ヌンチャクで相手を倒す擬斗を披露した。この頃から刑事ドラマ明日の刑事』(1977~79年)、『ドラマ人間模様 サーカス』(1977年)、柔道ドラマ『姿三四郎』(1978~79年)、学園ドラマ熱中時代』(1978~79年)、『気になる天使たち』(1981年)で教師を演じるなど、それまでと異なる作品にも出演。

バラエティ番組では『みどころガンガン大放送』(1977年)に初出演。学園を舞台にしたドタバタ劇で志穂美は劇中で「シスター 兼 教師」で登場し、「ミニスカートでのアクション・擬斗や、歌を歌う」など違った一面を披露。独身男3人が互いの友情を深めていく『やる気満々』(1979年)や病院を舞台に大家族が繰り広げる『三男三女婿一匹III』(1979~80年)などのホームドラマにも立て続けにレギュラー出演し、アクションだけではない女優として認知されるようになった。アクションコメディの刑事ドラマ『噂の刑事トミーとマツ』(1979~81年)では、気弱な弟・トミーを叱咤激励している姉・幸子 (サッチ) を演じた。

映画『瞳の中の訪問者』(1977年)でヒロイン・片平なぎさの友人、1978年の映画『柳生一族の陰謀』では千葉真一扮する柳生十兵衛三厳の妹で男装の剣士・柳生茜に扮し、興行収入30億円以上を記録した[5]。同映画は連続ドラマ『柳生一族の陰謀』(1978~79年)として放送され、柳生茜を再び演じている。以降、『柳生あばれ旅[注釈 3]』(1980~81年)の続編となる『柳生十兵衛あばれ旅』(1982~83年)でも柳生茜でレギュラー出演し、本作での主題歌「明日よ、風に舞え」も歌っている。1978年の映画『宇宙からのメッセージ』ではガバナス帝国の侵略を受けて追われる身となった惑星ジルーシアの王女・エメラリーダ姫、1979年には映画『金田一耕助の冒険』、コメディ映画『ピーマン80』に出演した。

1980年には時代劇影の軍団シリーズ』で『服部半蔵 影の軍団』(1980年)のみ第9話のゲスト出演だったが、『影の軍団II』(1981~82年)、『影の軍団III』(1982年)、『影の軍団IV』(1985年)、『影の軍団 幕末編』(1985年)までの全作品を、それぞれ役名が代わりながらも各ドラマの主要人物として出演していく。同年、JAC の弟分・真田広之の初主演となった東映の時代劇映画『忍者武芸帖 百地三太夫』で主人公・鷹丸に加勢する中国の女拳士・愛蓮を、翌1981年にも同じく真田主演のアクション映画『吼えろ鉄拳』に助演し、真田の姉役として盲目のカラテの達人を演じる。この頃には千葉の主演映画『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』にカメオ出演するなど、JAC が関わる映画ではサポートへ回る配役が多く、真田に続くJAC の若手ホープ・黒崎輝主演映画『伊賀野カバ丸』(1983年)、『コータローまかりとおる!』(1984年)にも応援出演[1]

1981年には映画『魔界転生』を演劇化した『柳生十兵衛 魔界転生』で天草四郎時貞を演じ、同時上演ではJAC創立からの物語である『スタントマン物語』にも出演。1982~85年にはJAC総出演のミュージカルゆかいな海賊大冒険』、『酔いどれ公爵』や、水曜ロードショー特別企画として放映されたJAC 総出演のテレビドラマ『素晴らしきサーカス野郎』(1984年)にも出演。映画『蒲田行進曲』(1982年)では本人役で友情出演し、時代劇映画『里見八犬伝』(1983年)に八犬士の一人・犬坂毛野で出演。同作品は配給収入23.2億を超えるヒットをした[6]

独立

1984年には芸能界を舞台にした青春映画『ザ・オーディション』、『上海バンスキング』に出演。上海とジャズを題材とし、日中・太平洋戦争の激動の時代を生きる中国人歌手・林珠麗 (リリー) を演じた。テレビドラマ『金曜日の妻たちへII』(1984年)にレギュラー出演。サラリーマンの愛人であるスナックの店員・大石千佳を演じる。バラエティ番組『欽ドン!良い子悪い子普通の子おまけの子』(1983~85年)に出演。『良い悪い 普通のお婆ちゃんと妻の悦ちゃん』でコントを行い、これまでのイメージを一新することとなった。

1985年にはJACサニー千葉エンタープライズ)より独立し、個人事務所『ハンドレット』を設立[注釈 4]。映画では角川春樹事務所創立10周年記念作品『二代目はクリスチャン』に主演した。同作は劇作家つかこうへいが志穂美を念頭に原作・脚本を執筆をした作品で、教会に仕える清純なシスターが、ひょんなことからヤクザの二代目を襲名する物語である。志穂美にとっては『女必殺五段拳』(1976年)以来、9年ぶりの主演作となり、配給収入12.5億を超えるヒットをしたテンプレート:Refnest。1986年には映画『熱海殺人事件』では警視庁の名物刑事・二階堂部長刑事の10年来の愛人で女刑事・水野朋子を演じるなど幅広い役柄をこなした。

結婚・引退

1986年6月からホームドラマ親子ゲーム』で、元暴走族ラーメン屋を営む青年(長渕剛)と同居する恋人を演じた。撮影中に志穂美が左手小指の付け根を骨折し、病院に向かう志穂美に長渕が付き添ったことから親密となる[7]。不器用ながらもお互い魅かれ合っていくカップルが描かれた映画『男はつらいよ 幸福の青い鳥』(1986年)でも長渕と共演し、志穂美にとって最後の映画となった。この頃には付き合っていることをお互い認め、1987年8月29日に長渕と結婚[7]。入籍のみで済ますつもりだった長渕だが、初婚である志穂美は「芸能人としてでなく、普通の人としてひっそり式を挙げたい」という希望から、9月17日に師匠・千葉真一が修行した寺の近くにある奈良県天川村天河大弁財天社にて、双方の両親と親しい知人のみ出席して式を挙げた[7]。長渕の意向で芸能界を引退した志穂美は、「クセのある男なので専業主婦したい」とこれ以降は芸能活動を行っていない[7]1988年3月17日に長女・長渕文音女優)を授かったのを皮切りに、長男・WA航RU(ヒップホップミュージシャン)、次男・長渕蓮レーシングドライバー)らの娘・息子がいる。

1995年1月に長渕が大麻取締法により逮捕され、それ以前に長渕との不倫関係が噂されていたタレント・国生さゆりが記者会見を開き「薬物に対する身の潔白と、長渕夫人を交えて話し合い、長渕との不倫関係を清算させた」と発表した事により、志穂美の名が再びマスコミの注目を浴びることになった。1996年8月7日には二人が結ばれるきっかけとなった『男はつらいよ』シリーズの主人公・寅さんを演じる渥美清の訃報が報道され、長渕・志穂美夫妻の連名入りで渥美への追悼詩を寄せた[8]

2002年には前年から始めた趣味のマラソンをきっかけに、月刊誌「ランナーズ」誌上にて対談「悦ちゃんといっしょに話走(はなそう)」が連載開始。2006年、長渕の父が他界した事により葬儀に参列し、十数年ぶりに公の場に姿を現す。

フラワーアーティスト

2011年11月20日、長渕が経営する自由が丘カフェ『ROCK ON』の特別企画に賛同し、東日本大震災復興支援・チベット難民キャンプ支援としてフラワーアレンジメントの写真集『Flower Arrangement INSPIRE ~いちかばちか~』を自費出版で発売。それに伴い、約5年ぶりに公の場に姿を現し、握手会とサイン会を催した。尚、売上金は全額寄付されるという[9]

2013年2月16日、地元・西大寺で行われた西大寺会陽のRSKラジオに、12月18日には情報番組『はなまるマーケット』にそれぞれゲストで招かれた。『はなまるマーケット』は27年ぶりのテレビ出演となり、女優時代の回想やフラワーアーティストとしての活動を語った[2][3][10][1]

出演

映画

テレビドラマ

演劇

  • 柳生十兵衛 魔界転生 (1981年7月3日~7月28日、新宿コマ劇場) - 天草四郎 ※スタントマン物語と同時上演。第I回JACミュージカル
  • スタントマン物語 (1981年、新宿コマ劇場) ※柳生十兵衛 魔界転生と同時上演、第II回JACミュージカル
  • ゆかいな海賊大冒険 (1982年、新宿コマ劇場) - ミランダ王女 ※第II回JACミュージカル
  • ゆかいな海賊大冒険 (1983年、梅田コマ劇場) - ミランダ王女 ※第III回JACミュージカル
  • ゆかいな海賊大冒険 (1984年、新宿コマ劇場) - ミランダ王女 / クレア ※A,Bキャストで配役が分かれ、違う役を演じた。第IV回JACミュージカル
  • Oh!気分は聖xy Boy (1984年、シアターApple) - スージー、ジョージ、ハービー ※一人三役
  • 酔いどれ公爵 (1985年、新宿コマ劇場) - ナタリー・ガルファン ※第V回JACミュージカル
  • アドベンチャー 青春の出発 (1986年、新宿コマ劇場) ※スタントマン 愛の物語と同時上演。第VI回JACミュージカル。
  • スタントマン 愛の物語 (1986年、新宿コマ劇場) ※アドベンチャー 青春の出発と同時上演。第VI回JACミュージカル。
  • じゃじゃ馬ならし (1986年9月、パルコ九月公演) - カタリーナ

バラエティ番組ゲスト等

CM

ディスコグラフィー

シングル
  • 13階段のマキ / 夜明け前
  • 影法師/白いシャツ
  • 恋のサタデーナイト / 誘われてYOKOHAMA
  • ふたりだけの結婚式 / 二人の愛はしあわせ模様
  • 明日よ風に舞え/思い出 So Long 1982年 CANYON 7A-0219
  • 南の砂のエアメール / シングルルージュ 1984年
アルバム
  • 女必殺拳 志穂美悦子参上!!
  • 恋のサタディーナイト
  • スリー・ディメンション (CDもリリース)
  • ゆかいな海賊大冒険
  • 酔いどれ公爵
  • 上海バンスキング

書籍

写真集
  • 限りなきアクションへの道 (近代映画社
  • 女優 志穂美悦子 (山根貞男編、シネアルバム / 芳賀書店、1981年初版)
著書
  • Flower Arrangement INSPIRE 〜いちかばちか〜 (2011年11月20日)
  • Flower Fighting INSPIRE 〜いちかばちか〜 (2012年05月31日)
  • Flower Arrangement Works INSPIRE 3 In New York (2013年09月21日)

脚注

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注釈

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出典

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外部リンク

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  • 4.0 4.1 テンプレート:Cite journal
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  • テンプレート:Cite web
  • 7.0 7.1 7.2 7.3 テンプレート:Cite journal
  • 報知新聞』1996年8月8日第2面掲載。
  • Etsuko Nagabuchi フラワーアレンジメント写真集テンプレート:リンク切れ 長渕剛オフィシャルサイト
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