座席車

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座席車(ざせきしゃ)とは、鉄道車両のうち、旅客車の一種で乗客を乗せるために供する腰掛を有するものを指す。

概要

一般的には、乗客が横臥する寝台をおもな用途として使用する座席が取り付けられている寝台車と対になるが、寝台車でも定員として「座席定員」と「寝台定員」とに分かれており、昼間座席利用の際にはリンネルなど寝台用具の撤去など然るべき処置を行い、座席車として供する事も行われている。そのため、1970年代まで寝台車を連結する夜行急行列車で混雑が予想される繁忙期には、混雑した昼間時間帯に車両重量の偏差が発生することから敢えて寝台車の連結を中止し座席車に差し替えるという事例があったとされる。

逆に1990年代以降「あけぼの」で寝台車を「寝台用具の省略」という形で座席車に供している事例もある。これに似た事例としてはこちらを参照されたいが、この場合それぞれ「寝台券を徴さない寝台」という位置づけであり、座席車と言うには異論があるものの、営業上の施策から座席車と言う位置づけとなっている。

また、一般には「腰掛を有する」がサハ204形以降、多扉車で補助座席に近い腰掛のみで立席が主となる座席車も存在する。

なお、1980年代後半以降寝台特別急行列車に連結される様になったロビーカー・ラウンジカーはあくまでもフリースペースであり、腰掛があってもそれをその乗客に割り当てる形での座席販売を行っていないため、サービス上は座席車としての扱いを行わないが、車種として区分する際に総じて座席車と扱われる事例がある。

種類

種類としては、等級による分類と、形態による分類がある。このうち、等級によるものは一等車二等車鉄道車両の等級に譲るが、形態としては、以下のものに分かれる。

  • 片廊下式
    • 出入口と車両の長手方向(つまりレール方向)片側に廊下を設ける方式。
    • 日本ではジョイフルトレインのうち、いわゆる「欧風車両」と称されたコンパートメント席で構成された車両での採用がある程度。
  • その他、ヨーロッパでは鉄道車両の前身となった馬車の「コーチ」に見立て、コンパートメント席のみを取り付け廊下を車内に取り付けず、各席への出入口がある方式もある。

関連項目