広宣流布

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テンプレート:告知 広宣流布こうせんるふ)とは、法華経の教えを広く宣(の)べて流布させること。すなわち、死後の世界に浄土を求めるのではなくて、法華経の教えによってこの世に仏国土を建設していこう、という理想である。略して広布こうふ)ともいう。

出典

妙法蓮華経 薬王菩薩本事品第二十三「我が滅度の後、後の五百歳の中に、閻浮提に広宣流布して、断絶せしむること無けん」(大石寺版開結522頁)

概要

法華宗各派においては、広宣流布とは、日本国ないし一閻浮提(いちえんぶだい。ここでは全世界の意)への、「三大秘法の広宣流布」であるとしている。 日蓮は、守護国家論に涅槃経を引用し、 「譬へば牧牛女の多く水を加ふる乳の如し。諸の悪比丘(あくびく)も亦復是くの如し。雑(まじ)ふるに世語(せご)を以てし錯(あやま)りて是の経を定む。多くの衆生をして正説・正写・正取・尊重・讃歎・供養・恭敬することを得ざらしむ。是の悪比丘は利養の為の故に是の経を広宣流布すること能(あた)はず。分流(ぶんる)すべき所少くして言ふに足らざること彼の牧牛貧窮の女人展転して乳を売り乃至糜(かゆ)と成すに乳味無きが如し。」(平成新編日蓮大聖人御書125頁) と権教(仮の教え)を捨てて法華経(日蓮の説く実教:三大秘法)につくべき事を説いている。

三大秘法
  1. 本門の本尊
  2. 本門の戒壇
  3. 本門の題目

注:本尊や戒壇については、異論もあり統一されていない。

日蓮宗の主張

総本山久遠寺の立宗750年のスローガンは、「平成14年は立宗750年 唱えよう広めようお題目」であった。 宗祖 日蓮大聖人の願業(大いなる願い)たる広宣流布(世界中に法華経を広め、信じる生活をすること)に挺身し、 日蓮宗の宗是に則り、『四徳波羅蜜(4つの境地)の浄佛国土を顕現する』を目的とすることを再確認。 西天回帰の偉業を達成した立宗700年を越えた、インド数千万人の信徒のさらなる拡充とネパール国との仏教遺跡の保存・修復提携契約終結、また南アジア各諸国への募金活動や学校校舎建設等々のボランテイア活動の拡大活動などに邁進(まいしん)している。

インドでは日本山妙法寺の故藤井法主がガンジーと共にお題目を唱えながらインド国内にて反戦平和運動を展開した 歴史を持つことから、今後も世界平和と戦争をなくす活動をしていくことを誓っている。

日蓮正宗の主張

そもそも、宗祖「日蓮大聖人」は、三大秘法惣在の本門戒壇の大御本尊を図顕し、帰依の対象として弟子檀那に示した。以来嗣法の日興・日目・日道以下現在の第68世日如に至るまで、本門戒壇の大御本尊の相伝をもって唯授一人の血脈相承を継ぐに至っている。広宣流布とは、まさにこの日蓮正嫡の三大秘法=本門戒壇の大御本尊を、一閻浮提=全世界に広めることに他ならない。

  • 仏宝=御本仏日蓮大聖人
  • 法宝=本門の本尊(御本仏日蓮大聖人の仏力法力によって建立と開眼供養され、草木成仏された本門戒壇の大御本尊と、僧宝の信力行力によって書写と御本仏日蓮大聖人所持の妙法の仏力法力により開眼供養され、草木成仏された分身散体の御本尊)[1]
  • 僧宝=白蓮阿闍梨日興上人と後身の御僧侶、広義では以下、唯授一人の血脈相承により猊座と本門の本尊を受け継がれ、現在に至る歴代上人(第二祖日興上人~第9世日有上人~第17世日精上人~第26世日寛上人~第59世日亨上人~第66世日達上人~第67世日顕上人~第68世日如上人)

血脈(=法門の継承)と、(本門の本尊の)ご書写の権能は僧宝たる歴代上人のみ有し、当然の如く、破門された団体には存在しないことに用心必要。[2]

  • 僧宝たる大石寺貫首を仏宝・法宝と同様に拝するべきである文証「およそ謗法とは謗仏、謗僧なり。三宝一体なる故なり(是れ涅槃経の文なり。)」(真言見聞 新編御書608)
  • 三宝一体なる故なり、是れ涅槃経の文なり。

(御義口伝に云く涅槃経は法華経より出でたりと云う経文なり、既に方便と説かれたり云云。第十二為度衆生故方便現涅槃の事) 仏宝・法宝はともに仏力法力。僧宝は、別付属の面授口決を正嘉二年より、弘安五年までうけられた、白蓮阿闍梨日興上人でさえ、信力行力。

  • 日蓮正宗の信心は、白蓮阿闍梨日興上人の信心により正しく(総別の二義、一百六箇の本迹勝劣等)相伝される。
  • (四条金吾殿御返事1148)

..設い正法を持てる智者ありとも檀那なくんば争か弘まるべき然れば釈迦仏の檀那は梵王帝釈の二人なりこれは二人ながら天の檀那なり、

  • (法華行者逢難事965) /文永十一年正月 五十三歳御作
+             与富木常忍
  河野辺殿等中
  大和阿闍梨御房御中
  一切我弟子等中
  三郎佐衛門尉殿
謹上                             日蓮
  富木殿

追て申す、竜樹天親は共に千部の論師なり、但権大乗を申べて法華経をば心に存して口に吐きたまわず此に口伝有り、天台伝教は之を宣べて本門の本尊と四菩薩と戒壇と南無妙法蓮華経の五字と之を残したもう(原文中略)

(三大秘法禀承事1023) 今日蓮が所行は霊鷲山の稟承に芥爾計りの相違なき色も替らぬ寿量品の事の三大事なり。

問う一念三千の正しき証文如何、答う次に出し申す可し此に於て二種有り、方便品に云く「諸法実相所謂諸法如是相乃至欲令衆生開仏知見」等云云、底下の凡夫理性所具の一念三千か、寿量品に云く「然我実成仏已来無量無辺」等云云、大覚世尊久遠実成の当初証得の一念三千なり、今日蓮が時に感じて此の法門広宣流布するなり予年来己心に秘すと雖も此の法門を書き付て留め置ずんば門家の遺弟等定めて無慈悲の讒言を加う可し、其の後は何と悔ゆとも叶うまじきと存ずる間貴辺に対し書き送り候、(原文中略)

  • 仏道修行広宣流布の付属の時と教主と教法と対告衆。

 *時->久遠実成の仏陀滅後、正像2000年以後の、末法時代の建長5年4月28日午の刻。  *教主->垂迹仏陀と一体の異名・本地垂迹の利益広大・三世常恒の御利益・主師親三徳御本仏日蓮大聖人。  *教法->三大秘法の南無妙法蓮華経(本門の本尊・本門の戒壇・本門の題目)  *対告衆->末法時代の妙法流布の時の、万機(上根上機から下機下根にいたるまでの)・天上天下の十方十界の一切衆生・菩薩・信力行力の南無妙法蓮華経如来の常住仏性並びに衆生本有の慈悲心所具の惣じて上行菩薩。

  • "事行の南無妙法蓮華経の五字並びに本門の本尊未だ広く之を行ぜず"(如来滅後五五百歳始観心本尊抄,行㋨重)
  • ”涌出品に云く「我が娑婆世界に自ら六万恒河沙等の菩薩摩訶薩有り、一一の菩薩各六万恒河沙の眷属有り是の諸人等能く我が滅後に於て護持し読誦し広く此の経を説かん」と云云”(上行菩薩結要付属口伝)
  • "属累品に云く「爾の時に釈迦牟尼仏法座従り起つて大神力を現じたもう右の手を以て無量の菩薩摩訶薩の頂を

摩でて是の言を作したまわく我無量百千万億阿僧祇劫に於て是の得難き阿耨多羅三藐三菩提の法を修習せり今以 て汝等に付属す汝等当に一心に此の法を流布して広く増益せしむべし、是くの如く三たび諸の菩薩摩訶薩の頂を 摩でて是の言を作したまわく我無量百千万億阿僧祇劫に於て是の得難き阿耨多羅三藐三菩提の法を修習せり今以て汝等に付属す、汝等当に受持読誦し広く此の法を宣べて一切衆生をして普く聞知することを得せしむべし所以は何ん如来は大慈悲有つて諸の慳りん無く亦畏るる所無く能く衆生に仏の智慧如来の智慧自然の智慧を与う如来は是一切衆生の大施主なり汝等亦随つて如来の法を学ぶべし慳りんを生ずること勿れ」と云云。”(上行菩薩結要付属口伝)

  • ”一 涌出品

 御義口伝に云く此の品は迹門流通の後本門開顕の序分なり、故に先ず本地無作の三身を顕さんが為に釈尊所具 の菩薩なるが故本地本化の弟子を召すなり、是れ又妙法の従地なれば十界の大地なり、妙法の涌出なれば十界皆 涌出なり、十界妙法の菩薩なれば皆饒益有情界の慈悲深重の大士なり、蓮華の大地なれば十界の大地も十界涌出の菩薩も本来清浄なり、所詮悟道に約する時は従地とは十界の衆生の大種の所生なり、涌出とは十界の衆生の出胎の相なり菩薩とは十界の衆生の本有の慈悲なり、此の菩薩に本法の妙法蓮華経を付属せんが為に従地涌出するなり、日蓮 等の類い南無妙法蓮華経と唱え奉る者は従地涌出の菩薩なり外に求むること莫かれ云云。”

  • ”一 囑累品

 御義口伝に云く此の品には摩頂付属を説きて此の妙法を滅後に留め給うなり、是れ又妙法の付属なれば十界三 千皆付属の菩薩なり、又三摩する事は能化所具の三観三身の御手を以て所化の頂上に明珠を譲り与えたる心なり 、凡そ頂上の明珠は覚悟知見なり頂上の明珠とは南無妙法蓮華経是なり云云。”

  • ”神力品八箇の大事

第一妙法蓮華経如来神力の事(中略) 御義口伝に云く此の妙法蓮華経は釈尊の妙法には非ざるなり既に此の品の時上行菩薩に付属し給う故なり、惣 じて妙法蓮華経を上行菩薩に付属し給う事は宝塔品の時事起り寿量品の時事顕れ神力属累の時事竟るなり”

脚注

  1. 草木成仏口決、木絵二像開眼の事
  2. 本因妙抄、百六箇抄、二箇相承書

関連項目

外部リンク