岩手銀行

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岩手銀行(いわてぎんこう)は、同一商号を使用しているが複数存在した銀行名

  • (現)岩手銀行 1932年(昭和7年)5月19日設立の岩手殖産銀行を母体とする銀行。以下で述べる。
  • (旧)岩手銀行 岩手殖産銀行に、1941年(昭和16年)買収された陸中銀行の前身会社の1社で、 1907年(明治40年)設立、1938年(昭和13年)新立合併

テンプレート:Infobox テンプレート:基礎情報 銀行

株式会社岩手銀行(いわてぎんこう、テンプレート:Lang-en-short)は、岩手県盛岡市に本店を置く地方銀行。岩手県最大の地方銀行。

概要

岩手県最大の地方銀行で、岩手県(庁)の出納業務を取り扱う指定金融機関を受託している。岩手銀行は、昭和恐慌の影響で破綻した地元銀行(盛岡銀行1931年(昭和6年)破綻)を救済するため、県が出資して設立された銀行である。設立から80年以上を経過した現在でも、岩手県と岩手県企業局が保有する株式を合算した場合、第2位の大株主となっている。

堅実経営で知られ、バブル景気当時も積極的な貸し出しには慎重だったことから、バブル崩壊後にも安定した経営を続けた。預貸率(預金残高に占める貸出残高の割合)が6割未満と低く、市場運用に積極的である。

企業スローガンは「信頼の、さらにその先へ。」。

店舗展開

宮城県
最近では仙台都市圏に力を入れはじめ、仙台営業部(仙台市都心)、長町支店(長町副都心)、宮城野支店(若林区大和町)、泉中央支店(泉中央副都心)、塩竈支店(塩竈市)、美田園支店(名取市SAT仙台空港線美田園駅前)の6店舗エリア体制がとられている[注釈 1]
このほか、仙台営業部をフラグシップ拠点とするエリア体制からははずれるが、石巻支店(石巻市)、気仙沼支店(気仙沼市)が県内に設置されている。
さらに、2008年(平成20年)11月5日には、大崎市古川駅前に大崎支店が開設され、同市関連はさることながら、大和町大衡村の工業団地に設置予定の誘致企業やその従業員の家庭などをターゲットとしたフルバンキング店舗として位置づけられる。
青森県八戸市など県外
2005年(平成17年)7月1日より八戸支店を八戸営業部に昇格させ、市内の支店を八戸営業部を母店とするエリア体制に移行した。また、2007年(平成19年)11月1日には八戸市内中心部:十三日町商店街に、同行として青森県では初となるローン特化店舗の十三日町支店(いわぎんローンプラザ八戸)が開設された。
その一方で、2002年(平成14年)9月20日で札幌支店を廃止(口座は本店営業部へ統合)し、北海道からは撤退している。かつては大阪市にも店舗を持っていたが、同様の理由で翌年12月10日をもって大阪支店を廃止(口座を東京支店へ統合)し、大阪府からも撤退している。
インストアブランチ
インストアブランチとしては、盛岡市前潟の「イオン盛岡支店」が開設されている。これは、近隣(盛岡インターチェンジ付近)に銀行の店舗が全くないことから、イオン盛岡SC(現・イオンモール盛岡)の開業時に進出したものである[注釈 2]
中ノ橋支店
中ノ橋支店旧店舗は、明治期を代表する建築家である辰野金吾の設計により、1911年(明治44年)に完成した赤煉瓦造りの3階建ての建物である。その堂々たる外観は市内のランドマークの一つとなるほどに市民の目を惹き、また市の保存建築物や国の重要文化財にも指定されている[1]
前身の盛岡銀行時代から1983年(昭和58年)まで岩手銀の本店であった。新(現)本店開業後は一支店として運営されてきたが、2012年(平成24年)8月6日、隣接する新店舗への移転に伴い閉鎖され、改装工事を経た上で記念館などとして一般公開される予定となっている。

歴史

盛岡銀行は、盛岡の実業家が興したものの、1931年(昭和6年)の岩手県金融恐慌で破綻した。この救済として岩手県の主導で岩手殖産銀行が設立され、継承された。この金融恐慌では岩手銀行(旧法人。現銀行とは直接の関係はない)や旧盛岡藩士の出資による第九十銀行も経営破綻し、県下の金融機関が壊滅状態となったため、岩手県の公金取扱いを仙台市の七十七銀行が行なった。

岩手銀行(旧)と第九十銀行は、岩手殖産銀行の支援を受けて、1938年(昭和13年)に旧一関藩士の出資による第八十八銀行と合併し、陸中銀行となったが、陸中銀行は1941年(昭和16年)に岩手殖産銀行に合併した。その後、岩手殖産銀行は1943年(昭和18年)の岩手貯蓄銀行との合併を経て、1960年(昭和35年)に改めて岩手銀行となった。

前身となる各銀行の建物のうち、旧第九十銀行本店は長らく関連会社「いわぎんリースデータ」社屋として1992年(平成4年)まで使用していたが、盛岡市に移管され、2002年(平成14年)から「もりおか啄木・賢治青春館」として開放されている。

沿革

  • 1932年(昭和7年)5月2日 - 株式会社岩手殖産銀行として設立。
  • 1941年(昭和16年)8月16日 - 株式会社陸中銀行と合併。
  • 1943年(昭和18年)1月1日 - 株式会社岩手貯蓄銀行と合併。
  • 1960年(昭和35年)1月1日 - 株式会社岩手銀行に商号変更。
  • 1973年(昭和48年)4月2日 - 東京証券取引所市場第2部へ上場。
  • 1974年(昭和48年)2月1日 - 東京証券取引所市場第1部に指定。
  • 1977年(昭和52年)5月23日 - 全店総合オンラインシステム完成。
  • 1980年(昭和55年)7月7日 - 第2次オンラインシステム完成。
  • 1982年(昭和57年) - 創立50年。
  • 1983年(昭和58年) - 本店を現在地の盛岡市中央通に新築移転、同時にそれまでの本店を中ノ橋支店に改称。
  • 1989年(平成元年)8月1日 - ディーシーカードと共同でいわぎんディーシーカードを設立。
  • 1992年(平成4年)5月6日 - 第3次オンラインシステムスタート。
  • 1993年(平成5年)10月1日 - 釜石信用金庫の営業譲り受け。
  • 1999年(平成11年)11月 - 大宮支店を廃止し、埼玉県から撤退(大宮支店の口座は東京支店に継承)。
  • 2000年(平成12年)
  • 2002年(平成14年)9月20日 - 札幌支店を廃止し、北海道から撤退(札幌支店の口座は本店営業部に継承)。
  • 2003年(平成15年)
    • 9月5日 - 北仙台支店(青葉区台原)を廃止し、仙台支店へ継承。
    • 12月10日 - 大阪支店を廃止し、大阪府から撤退(大阪支店の口座は東京支店に継承)。
  • 2004年(平成16年)4月1日 - 仙台支店の2階に法人部局の仙台営業部を新設(口座勘定は仙台支店扱い)。
  • 2005年(平成17年)
  • 2006年(平成18年)
  • 2007年(平成19年)
    • 4月1日 - 東京支店を東京営業部に昇格。
    • 5月21日 - インターネット支店『岩手銀行イーハトーヴ支店』を開設(東北に本拠を置く金融機関では初)。
    • 9月18日 - 青森支店をAQUA古川二丁目ビル1Fへ移転。
    • 11月1日 - 八戸市中心街に、同行として青森県初となるローン特化店舗:十三日町支店(いわぎんローンプラザ八戸)を開設。
    • 12月10日 - 美田園支店(いわぎんローンプラザ美田園)の開設により、宮城県名取市へ進出。
  • 2009年(平成21年)
  • 2011年(平成23年)2月21日 - ローソンATMと提携し、岩手県内ローソン店舗への共同コンビニATMサービスを開始。
  • 2012年(平成24年)8月3日 - 中ノ橋支店の「赤レンガ」での営業終了。8月6日より、隣接する新店舗で営業開始。
  • 2013年(平成25年)3月13日 - 東日本大震災北海道避難者支援や北海道新幹線新函館開業に備えた経済交流促進を目的に北海道銀行と業務提携を締結。
  • 2014年(平成26年)6月20日 - 高橋真裕頭取が会長に退き、田口幸雄専務が後任として昇格。

営業政策

法人市場

2006年(平成18年)8月には、営業部を母店としてエリア制をしく仙台・八戸地区の支店と、東京支店(現・東京営業部)を除く岩手県外支店を法人向けの支店にシフトし、各支店のリテール要員を岩手県内の支店に引き揚げさせ、補充要員として、中小企業融資を得意とする要員に入れ替える方針が日本経済新聞等で報じられた。

東京での営業体制を強化するため、2007年(平成19年)4月1日より東京支店が東京営業部に名称変更した。

地方公共団体取引

東北の地方銀行一般に言えることだが、法人の資金需要が乏しく、地方公共団体取引のウェイトが高い。

個人市場

総合口座通帳

岩手銀行の場合、総合口座通帳は3種類あり、「総合口座」(普通・定期)・「新総合口座イーハトーヴ」(普通・貯蓄・定期)・「新総合口座イーハトーヴ積立型」(普通・貯蓄・定期・積立)となっている。2014年より、「総合口座」(及び普通預金単独の通帳)の通帳についてはATM繰越が一部拠点で可能となった。対象は、NTTデータ地銀共同センターへリプレース後発行の通帳に限り、「新総合口座イーハトーヴ」等は、リプレース後発行の冊子であっても窓口対応のままとなっている。

情報処理システム

勘定系システム

勘定系システムは、2005年(平成17年)1月4日からNTTデータ地銀共同センターに移行した[3]。この移行の際、定期預金の記帳に不具合が生じたことが同年3月になって発覚し、普通預金・貯蓄預金(定期預金を利用していない総合口座通帳、定期預金・積立預金を利用していないイーハトーヴ口座を含む)を除く通帳すべてが交換対象となった。

自動機サービス

ATM共同利用(相互無料開放)

個人・法人カードで青森銀行秋田銀行と個人カードで仙台銀行とATM共同利用提携を結んでいる。 テンプレート:Main

ゆうちょ銀行ATMとの提携

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コンビニATM

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ICキャッシュカードへの対応

2007年(平成19年)3月19日ICキャッシュカードと生体認証機能の導入が開始された。以後発行されるカードはローン専用カード2種類を含め、クレジットカード一体型などの例外もあるがすべてICキャッシュカードとなる。なお、貯蓄預金が一体になったカードの場合、貯蓄預金部分の磁気ストライプが付いておらず(他行ATMでは、貯蓄部分のICチップは機能せず、普通預金のみ認識する)、IC対応の自行ATMで利用することになる。

発行開始当初は、5年間の有効期限が設定されていたが、現在は期限のない形をとっている。

その他

利息付与時期

普通預金・貯蓄預金ともに、2月・8月の第2土曜日付で付与される。

両替

岩手銀行では窓口・両替機での両替は100枚まで無料(受入または引渡でどちらか多いほうを基準)となる。

雫石支店

2009年までは雫石支店の他に、ゴルフ場の手前に研修所があった。紫明荘(しめいそう)として運用されていたが、現在は取り壊されている。

コミュニケーション支援ボード

岩手銀行の公式サイトには、岩手銀行によって作られた「コミュニケーション支援ボード」が掲載されている。これをダウンロードして印刷することで、日本人と外国人だけではなく、知的障がい者や聴覚障がい者、自閉症とのコミュニケーションが簡単に出来るように出来ている。 「日本語」・「英語」・「韓国語」・「中国語」の単語が載っている。

脚注

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注釈

  1. かつては、この圏内に北仙台支店(青葉区台原)と玉川支店(塩竈市)が設置されていたが、いずれも廃止されている。
  2. 以前には同様な店舗として同市三ツ割にロッキー球場前店(スーパーマーケットのジョイスが運営)内の「ロッキー球場前出張所」が開設されていたが、不採算のため2006年(平成18年)9月22日の窓口営業終了後をもって母店である本店営業部へ統合されATMも撤去された。
  3. IHネットは2009年11月9日付けで解消。

出典

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関連項目

外部リンク

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