岡崎フラグメント

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岡崎フラグメント(おかざきフラグメント)は、DNA複製におけるラギング鎖の合成時にDNAプライマーゼDNAポリメラーゼIIIによって形成される比較的短いDNA断片(フラグメント)である。

概要

ファイル:DNA-Okazaki-Fragment-prelim.PNG
ラギング鎖 (a下) からみて複製フォーク(d)は遠ざかっていくため、DNA合成が段階的に行われる。このとき合成される短いDNA断片 (c) を岡崎フラグメントという

DNAポリメラーゼによるDNAの合成は、5'から3'への方向にしか行えないが、ラギング鎖では3'から5'への方向の合成を必要とする。そのためDNA合成は段階的に行われる。まずDNAプライマーゼによって数塩基の短いRNAプライマー)が合成され、続いて、その3'末端からDNAポリメラーゼIIIによってDNAが合成される(ただし真核生物はDNAポリメラーゼδ、ユーリ古細菌はDNAポリメラーゼDを使用する)。こうしてできるのが岡崎フラグメントである。岡崎フラグメントの長さは、真正細菌では1000-2000塩基程度、真核生物及び古細菌では100-200塩基程度である。

このあとRNA部分がRNアーゼHによって分解され、DNAポリメラーゼIによって分解およびDNAの再合成を受ける。断片の間に残ったニック(ホスホジエステル結合が切れている部分)はDNAリガーゼによって結合される。

岡崎令治(おかざき れいじ、1930年10月8日-1975年8月1日)により発見された(1967年)ので、この名がある。