小胞体

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典型的な動物細胞の模式図: (1) 核小体(仁)、(2) 細胞核、(3) リボソーム、(4) 小胞、(5) 粗面小胞体、(6) ゴルジ体、(7) 微小管、(8) 滑面小胞体、(9) ミトコンドリア、(10) 液胞、(11) 細胞質基質、(12) リソソーム、(13) 中心体
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細胞核の概要(1) 核膜 (2) リボソーム (3) 核膜孔 (4) 核小体 (5) クロマチン (6) 細胞核 (7) 小胞体 (8) 核質

小胞体(しょうほうたい、テンプレート:Lang-en)とは真核生物細胞小器官の一つであり、一重の生体膜に囲まれた板状あるいは網状の膜系。核膜の外膜とつながっている。電子顕微鏡による観察でその存在が明確に認識された。

構造

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外観から名付けられた主に二種類の小胞体がある。一つは粗面小胞体と呼ばれ、多数の鋲が打たれたように、あるいは点が付着して見えたためにこの名がついた。これはリボソーム細胞質基質側表面に結合しているためであることがその後明らかとなった。もう一つは表面にリボソームのない滑面小胞体。

機能

小胞体は多くの細胞機能に関わっている。

タンパク質合成関連

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リボソームは、一連の伝令RNA Messenger RNA)を読み取り、転移RNA Transfer RNA (TRNA))に結びついたアミノ酸から所定のタンパク質を組み立てる。
ファイル:Protein translation.gif
小胞体に分泌されるタンパク質を組み立てているリボソーム

粗面小胞体では、ゴルジ体リソソーム、小胞体、細胞膜等を構成するタンパク質および、分泌タンパク質が合成される。

タンパク質のプロセシング

合成されたタンパク質の折りたたみや切断、ジスルフィド結合糖鎖の付加等が、小胞体膜表面や内腔で行われる。また、異常なコンフォメーションをとったタンパク質の分解等も行われている。具体的に述べると、リボソームで合成されたタンパク質は、小胞体膜の膜貫通タンパク質であるトランスロコン(透過装置)から小胞体内に輸送される。小胞体内では、生成されたタンパク質が糖鎖付加、ジスルフィド結合の形成等を通じて、正しい高次構造を形成できるようにする。正しい高次構造を形成できないタンパク質は、分子シャペロンがその凝集体形成を阻止し高次構造形成を促進する。最終的に正しい高次構造を形成できなかった異常タンパク質は、トランスロコンを通じて小胞体外へ出され、ユビキチン-プロテアソーム分解系によって分解される。

脂質

滑面小胞体は、脂質を合成する。

タンパク質の輸送

合成されたタンパク質は小胞体から出芽する輸送小胞によって他の細胞小器官や細胞膜へと輸送される。ゴルジ体を経由する系が主要な物とされる。

代謝

シトクロムシトクロムP450等が局在し、これらの酵素が様々な物質の代謝を行っている。

カルシウム貯蔵

細胞内カルシウム濃度は、細胞外からのカルシウムの流入に加え、細胞内のカルシウム貯蔵器官からのカルシウム放出によっても制御されている。小胞体はこのカルシウム貯蔵器官であり、IP3受容体など細胞内シグナル伝達に関わるタンパク質が局在し、カルシウム結合タンパク質等とともにシグナルに応じたカルシウムの放出を行っている。

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