安斎育郎

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安斎 育郎(あんざい いくろう、1940年4月16日 - )は、立命館大学特命教授・名誉教授、立命館大学国際平和ミュージアム名誉館長。専門は、放射線防護学、平和学。趣味は、マジック(東大奇術愛好会会長だった)。

経歴

人物

放射線防護学・平和学

  • 長年国の原子力・核政策を激しく批判してきたことで知られている。そのために、現在でも原子力発電所を学生連れで見学しようとすると断られたりしている[1]
  • 原子力エネルギーは現状の科学技術などに鑑みると管理するのが困難であるとし、原発・核兵器への反対活動を行う(東海村臨界事故の調査活動や反核運動平和運動など)。「九条科学者の会」呼びかけ人を務めている[2]
  • 最近では福島第一原子力発電所事故や事故により散らばった放射性物質の人体への影響についてマスコミから取材をよく受けている。

疑似科学・オカルト現象

  • 立命館大学赴任後、社会科学系学部の一般教育科目を担当したところ、疑似科学オカルト現象に関する自然科学者による解明の質問があり、講義で取り上げるようにあった。その後、疑似科学やオカルト現象を批判・解明する「不思議博士」(「ジャパン・スケプティクス」の元会長)としてもその名が知られるようになった。
  • その活動の一環として「超能力を科学する」「人間がなぜだまされるのか」の演題で、年数十回の全国講演(勤務している立命館大学のほか、地方自治体、さらには企業の研修)や著書執筆を行う他、頻繁にメディア出演[3]もおこなっている。加えて、立命館大学の同僚であった木津川計が主催する雑誌『上方芸能』に「霊感を科学する」というエッセイを毎号発表している。
  • 安斎自身は「世の中にはまだ科学でもわからない事がたくさんあり、急いで決めずに調べていけばよい」「科学のなすべき役割と宗教の役割は別。それぞれにそれぞれの持分がある(ただ、お互いに侵してはいけない領域もある)」という柔軟な姿勢をとっている。著書の中では、「自分は科学で全てが解決できると考えるほど頑迷な人物ではない」と自身を評している。[4]

その他

  • 兄は肖像画家の安斎知行(本名:安斎知治郎)。
  • イラストレーターの安斎肇は、甥にあたる。
  • 趣味はマジックのほかに、俳句や文人画があり、文人画では著書の挿絵も書いたことがある。
  • ABCテレビクイズ仕事人』にマジシャンとして出演したことがある。
  • 立命館大学で担当する「自然科学概論」の講義では、毎回手品を披露し、学生たちの関心を集めている^^

著書

単著

  • 『からだのなかの放射能』(合同出版、1979年)
  • 『中性子爆弾と核放射線』(連合出版、1982年)
  • 『核戦争と地球――平和をまもるために』(岩崎書店、1986年)
  • 『茶の間で語りあう平和』(日本生活協同組合連合会、1987年)
  • 『放射能・そこが知りたい』(かもがわ出版、1988年)
  • 『クイズ反核・平和』(かもがわ出版、1988年)
  • 『茶の間で語りあう原発と放射能』(かもがわ出版、1988年)
  • 『「がん当たりくじ」の話――国境なき放射能汚染』(有斐閣、1988年)
  • 『家族で語る食卓の放射能汚染』(同時代社、1988年) ISBN 4-88683-201-6
  • 『「なぜ」と問うこころ』(かもがわ出版、1989年)
  • 『原発・そこが知りたい』(かもがわ出版、1989年)
  • 『茶の間で語りあう平和』(かもがわ出版、1989年)
  • 『自然・人間・社会』(かもがわ出版、1990年)
  • 『「超能力」を科学する』(かもがわ出版、1990年)
  • 『科学と「超能力」――「なぜ」と問うこころ』(かもがわ出版、1990年)
  • 『茶の間で語りあう地球環境問題』(かもがわ出版、1992年)
  • 『街でうわさの戦争と平和』(かもがわ出版、1993年)
  • 『超能力ふしぎ大研究』(労働旬報社、1993年) ISBN 4-8451-0318-1
  • 『超常現象の科学――世の中の不思議には表と裏がある』(ごま書房、1994年)
  • 『科学と非科学の間――超常現象の流行と教育の役割』(かもがわ出版、1995年/筑摩書房[ちくま文庫], 2002年)
  • 『人はなぜ騙されるのか――非科学を科学する』(朝日新聞社、1996年/朝日文庫, 1998年) ISBN 4-02-256927-1
  • 『「科学する心」を育てる』(保健医療研究所、2000年)
  • 『だからあなたは騙される』(角川書店、2001年)
  • 『不思議現象の正体を見破る――超能力や心霊現象に、人はなぜ騙されるのか』(河出書房新社、2001年)
  • 『霊はあるか――科学の視点から』(講談社、2002年)
  • 『こっくりさんはなぜ当たるのか』(水曜社、2004年)
  • 『だます心 だまされる心』(岩波書店岩波新書], 2005年) ISBN 4-00-430954-9
  • 『騙される人 騙されない人』(かもがわ出版, 2005年/改訂版, 2006年)
  • 『だまされない極意』(日本機関紙出版センター, 2006年)
  • 『放射線と放射能』(ナツメ社,2007年)
  • 『「だまし」の心理学』(PHP研究所,2007年)
  • 『福島原発事故-どうする日本の原発事故』(かもがわ出版,2011年)

共著

  • 中島篤之助)『日本の原子力発電――安全な開発をめざして』(新日本出版社、1974年)
  • (中島篤之助)『原子力を考える』(新日本出版社、1983年)
  • 森下一徹)『地球非核宣言』(水曜社、1986年)
  • 滝川洋二板倉聖宣山崎孝)『理科離れの真相』(朝日新聞社、1996年)
  • 姜尚中朱建栄松井やより村山晃)『アジア・女性・沖縄が問う日本』(かもがわ出版、1996年)
  • 藤田明史吉田ゆき)『どう見るインド・パキスタン核実験』(かもがわ出版、1998年)
  • ヨハン・ガルトゥング)『日本は危機か』(かもがわ出版、1999年)
  • 竹峰誠一郎)『ヒバクの島マーシャルの証言――いま、ビキニ水爆被災から学ぶ』(かもがわ出版、2004年)
  • 松村博行・佐藤史郎)『イラク後のアメリカの戦略と世界平和』(かもがわ出版、2004年)
  • 窪島誠一郎)『戦争と芸術――「いのちの画室」から』(かもがわ出版, 2005年)
  • (「対話ノート」編集委員会)『ヒロシマから問う―平和記念資料館の「対話ノート」 』(かもがわ出版,2005年)

編著

  • 『図説原子力読本――これでいいのか原子力開発』(合同出版、1979年)
  • 『原爆と日本の科学技術関係文書』(柏書房、1998年)
  • 『ビジュアルブック 語り伝えるヒロシマ・ナガサキ』シリーズ全5巻(新日本出版社、2004年)
  • 『ビジュアルブック 語り伝える沖縄』シリーズ(新日本出版社、2007年)

共編著

  • 飯田博美)『絵とき放射線のやさしい知識』(オーム社、1984年)
  • 李修京)『クラルテ運動と『種蒔く人』――反戦文学運動"クラルテ"の日本と朝鮮での展開』(御茶の水書房、2000年)
  • (リッツ・ピース・メッセンジャーズ)『北朝鮮の核実験をどう見るか』(かもがわ出版、2006年)
  • 池尾靖志)『日本から発信する平和学』(法律文化社, 2007年)

訳書

  • デイル・バイヤーステイン編『検証・サイババの「奇蹟」』(かもがわ出版、1996年)

脚注

  1. 「科学者の社会的責任と『日本の科学者』」、『日本の科学者』2009年9月号
  2. 「九条科学者の会」呼びかけ人メッセージ (2005.3.13)
  3. 2004年12月-2005年1月、NHK人間講座「だます心・だまされる心」の講師役、新聞雑誌のインタビューやテレビ出演など
  4. 安斎育郎「霊はあるか」(講談社ブルーバックス)214ページ

外部リンク

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