好熱菌

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好熱菌(こうねつきん)は、至適生育温度が45テンプレート:℃以上、あるいは生育限界温度が55テンプレート:℃以上の微生物のこと、またはその総称。古細菌の多く、真正細菌の一部、ある種の菌類藻類が含まれる。特に至適生育温度が80テンプレート:℃以上のものを超好熱菌と呼ぶ。極限環境微生物の一つ。

生息域は温泉や熱水域、強く発酵した堆肥熱水噴出孔など。ボイラーなどの人工的熱水からも分離される。この他、地下生物圏という形で地殻内に相当量の好熱菌が存在するという推計がある。

なお、2009年時点で最も好熱性が強い(高温環境を好む)生物は、ユーリ古細菌に含まれるMethanopyrus kandleri Strain 116である。この生物はオートクレーブ温度を上回る122テンプレート:℃でも増殖することができる。

歴史

1960年代 陸上の温泉(イエローストーン国立公園、日本では箱根伊豆など)から菌を分離。生育限界温度80テンプレート:℃以上の微生物が発見され始める。

1970年代 潜水艇アルビン号により深海熱水鉱床が発見され、熱水噴出孔に微生物が存在することを示唆。

1980年代 至適生育温度が100テンプレート:℃以上の微生物が多く発見される。生育限界温度は1980年には87テンプレート:℃ (Sulfolobus solfataricus) であったが、1983年にはPyrodictium occultumが発見され、一気に110テンプレート:℃に達した。

1993年 キャリー・マリスが耐熱性DNAポリメラーゼを用いたPCRの研究によりノーベル化学賞を受賞する。このとき用いられたDNAポリメラーゼは好熱菌 (Thermus aquaticus) のものであり、Taqポリメラーゼの名前はここに由来する。

限界生育温度更新の歴史
  • 1920年 - 65℃Geobacillus stearothermophilus
  • 1969年 - 80℃Thermus aquaticus(以下全種熱水系)
  • 1972年 - 85℃Sulfolobus acidocaldarius(以下全種古細菌)
  • 1980年 - 87℃Sulfolobus solfataricus
  • 1981年 - 97℃Methanothermus fervidus(以下海洋の熱水噴出孔)
  • 1981年 - 110℃Pyrodictium occultum
  • 1997年 - 113℃Pyrolobus fumarii
  • 2003年 - 121℃Strain 121
  • 2008年 - 122℃Methanopyrus kandleri

主な好熱菌

左が限界生育温度、括弧内は至適生育温度

古細菌

その他Thermococcus(全27種)など超好熱菌だけで約70種。偏性好気性生物ではAeropyrum pernix(最高100テンプレート:℃、至適95テンプレート:℃。クレン古細菌)が最高。

真正細菌

超好熱菌は正式に発表されているものは2属。好熱菌は極めて多数。

真核生物

外部リンク