大橋ジャンクション

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ファイル:Metropolitan Expressway 3 Ohashi JCT.jpg
3号線上り方向から見た大橋ジャンクション
ファイル:Ohashi Junction 20130506 002.jpg
大橋ジャンクション外観

大橋ジャンクション(おおはしジャンクション)は東京都目黒区大橋にある首都高速3号渋谷線中央環状(新宿 / 品川)線を結ぶジャンクションである。

概要

当地には1969年まで東急玉川線大橋車庫が設置されていた。東急玉川線の廃止後は東急バス大橋営業所となったが、2002年に廃止された。

2010年3月28日、中央環状新宿線の全通(大橋JCT-西新宿JCT)により部分的に供用を開始した。残る品川線区間の大井JCT-大橋JCT間は2014年度の開通に向けて建設が進められている。

構造

旧山手通り地下を走っている中央環状線からの連絡線がループを描き3号渋谷線の上まで昇り、そこで都心方面・東名方面に分岐し3号渋谷線の本線に取り付く(なお、3号渋谷線側は建設当時からジャンクションへの分合流を考慮した構造で建設されている)。

ループの両端につながる3号渋谷線・中央環状線(大井方面延伸の計画線を含む)とは上下/内外全4方面に接続する。中央環状新宿線のジャンクション群の中で、土地の制約上一部方面の連絡がない熊野町西新宿両ジャンクションと違い全方面への接続を確保できたのは、連絡線を一個のらせんにまとめたループ部分によるところが大きい。

ループ部分には広大な土地が必要であるが、その見返りとしてループに隣接した敷地に東京都が再開発事業主体となり、超高層ビル型のタワーマンション2棟と公共施設の開発を不動産デベロッパーと共同で行う。建設敷地は約25,000である。
再開発敷地には「O-path目黒大橋(オーパスめぐろおおはし)」の名称が付与され、まず27階建てのタワーマンション「プリズムタワー」が2009年1月に竣工し[1]、42階建てのタワーマンション「クロスエアタワー」が2013年1月に竣工した[2]

ループ部分の構造

  • 地上約35m、地下約36m 高低差約71m
  • 一周約400m
  • 4層構造
  • 制限速度は40Km/h

ループ部分は国立霞ヶ丘競技場程の広大なもので、騒音対策のため4層ループのトンネル構造となっている。また排気ガス対策のため、ループの内側部分には換気所が設けられる。

ループ内は急勾配急カーブのため、ジャンクション内の制限速度を40km/hに設定する事、ループで方向感覚が分かりにくくなる事から行先を色で示す様に路面に塗装する工夫[3]がされている。

ループの屋上部分は公園として緑化され、周囲のマンションと直結した目黒天空庭園として整備されている[4]

連絡している路線

歴史

施工

2007年5月16日首都高速道路はジャンクション建設の施工者をハザマに決定した。総合評価落札方式の入札で決定したもので、落札価格は約116億円であった。今回は一次審査で3者に絞り込み、二次審査で最終的に落札者を決定する2段階方式を採用した。

当初は6者から入札参加の申請があったが一次審査途中であった2007年2月28日大林組奥村組鹿島建設清水建設前田建設工業の5社が名古屋市営地下鉄談合で刑事告発された事を受け翌3月13日にこの5社を首都高速側が指名停止処分とした。そのため大林組・奥村組JV、鹿島・前田建設工業・熊谷組JV、清水建設・佐藤工業JVの3者が参加資格を失った。 テンプレート:Gallery

首都高速3号渋谷線
(302,303)渋谷出入口 - 大橋JCT - (304)池尻出入口
首都高速中央環状線
五反田出入口(建設中) - 大橋JCT - (C22)富ヶ谷出入口

渋滞

当JCTが中央環状線下り(内回り)の暫定的な終点となっており、必ず渋谷線へ流入しなくてはならない構造のため、ループ手前の富ヶ谷出入口付近で渋谷線の渋谷出入口方面と池尻出入口方面別に1車線となる合流部分と、ループを超えた渋谷線の合流部(両方向とも片側1-2車線)がボトルネックとなっており、富ヶ谷出入口付近から1 - 2km程度の渋滞が慢性的に発生している。また、この渋滞後尾に初台南出入口方面から順調に進んできた車両が追突する事故も発生している(→#事故)。

一方、渋谷線からの外回り線流入は中央環状線内での渋滞発生時(主に西新宿JCTでの渋滞や事故による車線規制時)を除きボトルネックは存在しない。

当JCT開通(山手トンネル全通)以前に、5号池袋線下りと中央環状線内回りが板橋ジャンクションを経て都心の谷町ジャンクション霞が関出入口)あるいは渋谷線と東名高速道路方面へ向かうには(その逆方向も同じ)、竹橋ジャンクションから都心環状線に入るしかなく、竹橋JCT(あるいはその先の箱崎JCT)から飯田橋出入口にかけての渋滞が多く発生していたが、当JCT開通により渋谷線(特に下り)方面の流れが分散されるようになり、竹橋JCT周辺の渋滞が緩和されている。

なお、首都高会社は当JCT開通効果で用賀出入口三郷ジャンクション川口ジャンクション間の距離が短縮され、(それまで経由していた都心環状線経由と比べて)渋滞が3割減少と試算していた[5]

事故

カーブの連続する独特なループ構造によるためか、開通直前の2010年3月10日に、上り(外回り)方向の渋谷線から中央環状線へ流入する下り坂ループ内で乗用車がスリップした上で停止し、その弾みで後続車が次々と玉突き衝突を起こし負傷者が発生するという、多重事故を想定した大規模な防災訓練が行われた[6]

しかし開通後、主に上り外回り方向で渋谷線から中央環状線へ流入する際の下り坂ループ上で、トレーラーなどの貨物自動車がカーブを曲がりきれずに横転する[7]事故が数件発生する[8] という、想定訓練とは異なる形の事故が現実化する事態となった[9]

このため、首都高会社は注意喚起を同社サイト上に掲載し[10][11]、同様のチラシを近隣のパーキングエリア等で配布している。テンプレート:PDFlink

なお、内回りにおいても当ジャンクションにかけての渋滞時に追突する事故が多く発生している[12]

どちらも前方注視と制限速度(40km/h)を厳守すれば事故発生のリスクを抑える事が出来る。

その他

  • 2009年7月20日テレビ朝日の深夜番組『タモリ倶楽部』による取材が行われ、8月7日14日放送の2回にわたってその様子が放送された。この時には「付近に深さ60mもの縦穴が工事用に掘られている事」「池袋方面との合流部が作られていない事(セグメントの造りが違い、後の建設で壊しやすい工夫がされている)」などが公表された。また、この回に出演した江川達也がロケ地で描いた大橋ジャンクションを示す標識のデザイン案がそのまま実際の標識に採用されている[13]
  • 2009年8月28日、同ジャンクションの建設工事に用いるモルタルを注入中にモルタルが流出しアンダーパスする3号渋谷線へ落下、通行中の自動車数台にかかる事故があった。首都高速道路では、塗装に染みが残った場合などに補償する方針としている[14][15]
  • このジャンクションにおける案内標識では、都心環状線を「都環(Circle-1)」という略称で案内している。

注釈

  1. テンプレート:PDFlink(リンク先の構想図にジャンクションのループも確認できる)
  2. 官民一体の再開発マンション「クロスエアタワー」が竣工最新不動産ニュースサイト「R.E.port」 2013年2月14日閲覧
  3. テンプレート:Cite news
  4. 首都高に巨大天空庭園 「迷惑施設」生かす街づくり日本経済新聞 2013年1月22日
  5. テンプレート:Cite news
  6. テンプレート:Cite news
  7. スピード超過と車重が関係する遠心力の働きによるものかは不明。
  8. 山手トンネル開通区間の事故状況(2)(外回り編)東京SMOOTH Diary(首都高会社の公式ブログ) 2010年6月
  9. 単独の物損事故のためか、新聞報道には至っていない。
  10. 首都高速道路を安全に走るにはポイント4「大橋ジャンクションの運転に注意」参照。
  11. 大橋ジャンクションを走行される方へ東京SMOOTH Diary 2011年6月
  12. 山手トンネル開通区間の事故状況(1)(内回り編)東京SMOOTH Diary 2010年6月
  13. 大橋JCT注意喚起板を江川達也さんに報告 - 東京SMOOTH Diary 2010年3月25日
  14. 首都高の工事現場でモルタル流出、車に被害 読売新聞 2009年8月28日
  15. 3号渋谷線大橋付近の液状のモルタルの落下について 首都高速道路ニュースリリース 2009年8月28日

関連項目

外部リンク

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