大手私鉄

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大手私鉄(おおてしてつ)とは、日本の民営鉄道事業者私鉄)の分類の一つで、特に経営規模の大きなもののこと。大手民鉄とも呼ばれ、他の私鉄とは区別される。国土交通省鉄道局などでも、統計資料を出す際にこの区分を用いている。

概要

大手私鉄各社は、経営規模(資本金営業キロ、輸送人員など)が大きく、4つの都市圏(東京名古屋大阪福岡)及びその周辺で通勤・通学輸送を分担しているという共通点があり、各種の統計や設備投資額で足並みをそろえている。

なお、上場しているJR本州3社(東日本旅客鉄道(JR東日本)・東海旅客鉄道(JR東海)・西日本旅客鉄道(JR西日本))は株主構成から考えると「民間の鉄道」に当たり、また営業キロにおいてはJR旅客6社とも大手私鉄を上回っているが、国鉄から分割民営化されたという歴史的経緯から、JRグループ各社は大手私鉄には含まれない。

歴史

1949年(昭和24年)12月1日京阪電気鉄道京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)と分離し、この時点で14社となった。1990年5月相模鉄道が大手私鉄に昇格するまでの約41年間は14社体制が続いていた。その後2004年4月に、特殊法人帝都高速度交通営団から事業を継承した東京地下鉄株式会社が大手私鉄となり、16社体制となった。

大手私鉄の一覧

掲載順序は『平成21年度 鉄道要覧』に準ずる。括弧内は一般的に呼ばれている愛称または略称。総延長は開業路線の合計であり、鉄道事業法による普通鉄道のうち第一種第二種のほか、軌道法による軌道や、ケーブルカー案内軌条式鉄道を含むが、第三種の普通鉄道は含まない。総延長の数値は『平成21年度 鉄道要覧』によるが、同書では未開業として記載されていた京成成田空港線(2010年7月開業、第二種、51.4km)を加えてある。

No. 会社名
(略称)
本社所在地 設立 総延長
(km)
車両数(旅客用)
(両)
駅数
(駅)
備考
1 とうふ東武鉄道
(東武)
東京都
墨田区
1897年(明治30年)
11月1日
463.3 1,962 203 私鉄最長の複々線区間を持つ、関東最大の私鉄。
2 西武鉄道
(西武)
埼玉県
所沢市
1912年(明治45年)
5月7日
179.8 1,282 92
3 けいせ京成電鉄
(京成)
千葉県
市川市
1909年(明治42年)
6月30日
153.8 602 69 2013年9月に本社を東京都墨田区より移転。
4 けいお京王電鉄
(京王)
東京都
多摩市
1948年(昭和23年)
6月1日
84.7 843 69 1975年5月5日までは総営業距離が最短の大手私鉄であった。
5 とうきようき東京急行電鉄
(東急)
東京都
渋谷区
1922年(大正11年)
9月2日
104.9 1,204 98 連結売上高が1位の私鉄。(JR6社を含めた場合は3位)
6 けいひ京浜急行電鉄
(京急)
東京都
港区
1948年(昭和23年)
6月1日
87.0 782 73
7 とうきようち東京地下鉄
(東京メトロ)
東京都
台東区
2004年(平成16年)
4月1日
192.1 2,773 179 2004年4月1日より大手私鉄に。車両数は全国の大手私鉄の中で最も多い。
8 小田急電鉄
(小田急)
東京都
新宿区
1948年(昭和23年)
6月1日
120.5 1,073 70
9 相模鉄道
(相鉄)
神奈川県
横浜市
西区
1964年(昭和39年)
11月24日
38.1 398 25 1990年5月31日より大手私鉄に。2009年9月16日より相鉄ホールディングスの完全子会社。総営業距離が最短の大手私鉄。
10 なこ名古屋鉄道
(名鉄)
愛知県
名古屋市
中村区
1921年(大正10年)
6月13日
444.2 1,056 275 2005年3月31日までは、東武鉄道を総営業距離で上回っていた。
11 近畿日本鉄道
(近鉄)
大阪府
大阪市
天王寺区
1944年(昭和19年)
6月1日
508.1 1,948 294 総営業距離が最長の私鉄。近畿地方中京圏にまたがる路線網を持つ。
12 なん南海電気鉄道
(南海)
大阪府
大阪市
浪速区
1925年(大正14年)
3月28日
154.8 710 99 純民間資本としては現存する最古の私鉄。
13 けいは京阪電気鉄道
(京阪)
大阪府
大阪市
中央区
1949年(昭和24年)
12月1日
91.1 722 89 本店は大阪府枚方市に所在。2007年6月に大手私鉄で初めて社長/会長制度からCEO/COO制度に移行。
14 はんし阪神電気鉄道
(阪神)
大阪府
大阪市
福島区
1899年(明治32年)
6月12日
48.9 358 51 2006年10月1日より阪急阪神ホールディングス(旧・阪急ホールディングス)の完全子会社。1975年5月6日より1990年5月30日までは総営業距離が最短の大手私鉄であった。
15 はんき阪急電鉄
(阪急)
大阪府
大阪市
北区
1989年(平成元年)
12月7日
144.1 1,315 89 2005年4月1日より阪急ホールディングス(現・阪急阪神ホールディングス、旧・阪急電鉄)の完全子会社。
16 西日本鉄道
(西鉄)
福岡県
福岡市
中央区
1908年(明治41年)
12月17日
106.1 329 72 三大都市圏以外で唯一の大手私鉄。車両数は全国の大手私鉄の中で最も少ない。

大手私鉄15社

上の一覧表から東京地下鉄を除いた15社を大手私鉄と呼ぶこともある。これは東京地下鉄が現在、国と東京都のみが株主の特殊会社であるためである。「鉄道事業者#大手私鉄・準大手私鉄・中小私鉄の区分」も参照。

阪急電鉄と阪神電気鉄道はいずれも、2006年10月1日より阪急阪神ホールディングスの完全子会社であるため、この2社が一括して1社とされる場合もある。そのため全体で15社にしている場合がある。

脚注


関連項目

外部リンク

  • みんてつWeb(社団法人 日本民営鉄道協会の公式サイト)

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