大学生協

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大学生協(だいがくせいきょう)とは、職域による消費生活協同組合(生活協同組合)の一種で、主に学校(大学短期大学高等専門学校専修学校専門学校)、他に一部の大学共同利用機関と学術研究を担う独立行政法人も)の学生教職員を組合員とするものである。また、北海道など周辺に店舗の少ない地域などでは、大学周辺の住民を組合員とできると定款で規定する大学生協もある。多くは、全国大学生活協同組合連合会に加盟する。大学生協連加盟生協では愛称として「ユニブコープ」(UnivCoop) が用いられている。

歴史的には、1898年明治31年)、同志社大学の教授であった安部磯雄らにより、教職員及び学生の共同購買組織として学生消費組合が結成されたのが最初とされる(同志社生活協同組合参照)。

運営

通常の生協と同じように、組合員(大学生協ならば、学生、大学教職員、生協職員)の出資により運営される。出資金は入学時など加入の際に納入し、卒業時など脱退の際に返還される。剰余金が発生した場合の組合員への還元等は、他の生協と同様である。

運営は、組合員から委託された生協の職員が各店舗で行い、運営に関する決定権は組合員にある。組合員の意見から方針が立案され、理事や監査の選出と合わせて、年度毎に開かれる「総会」もしくは「総代会」により決定される。理事は学生、大学教職員、生協職員で構成されることが多い。

昨今、各大学生協ごとの運営努力だけでは今まで以上の商品・サービス提供が難しくなってきたため、地域ごとに全国八つの事業連合が組織されている。事業連合は、商品企画・仕入れ、物流業務、経理決算業務、広告広報物作成、生協職員研修等の業務を「業務委託契約」にもとづき実施している。また旅行業務や共済業務は、大学生協連が全国を管轄している。

各生協の経営は独立している。しかし、各単位生協間での人事交流(専務理事就任含みの職員の異動も含む)があること(著名例は「生協の白石さん」こと白石昌則が、著書内で活躍していた東京農工大学生協からインターカレッジコープに異動している)、また、大学生協連や事業連合の経営支援を受けている単位生協が存在することなどから、大学生協連や事業連合との間に従属関係があると見られることもある。小規模単位生協の独立経営は困難であり(破綻した生協もある)生協の精神である「連帯」によって経営が成り立っていることもある。

設置状況

現在、多くの国公立大学私立大学に設立されている。

組合員による自発的な組織とされているため、学生数の多い大学や、自治活動の盛んな大学、売店以外の総合的な営業が望まれている大学に、学生や教職員の要望を基に設立されることが多い。国立大学では教職員・教授会の発言力が強く、私立大学のように理事会が無いため、大学生協の設置は順調に進んだ。しかし、自発的な組織であるが故に、キリスト教や仏教系の大学や、自治活動に消極的な大学では、学生や教職員の要望があっても生協の設立が大学当局により認められない場合も多い。

最近は、生協や購買部の代わりにコンビニエンスストアを設置する大学も多い。

全国大学生協連非加盟の店舗

以下は、全国大学生活協同組合連合会(全国大学生協連)に加盟しない店舗を置く大学の一例である。

全国大学生協連に加盟していない青山学院(青山学院購買会)、國學院大學(國學院大學生活協同組合)、拓殖大学(拓殖大学購買会)、中央大学(中央大学生活協同組合)などは、私立の17大学1専門学校で組織する「私立学校厚生事業連絡会」に加盟している。

大学以外の施設の大学生協

一方、以下の施設は大学ではないが、全国大学生協連に加盟する大学生協を置く。

インターカレッジコープ

生協が組織されていない学校に通学・通勤する者のうち、特定の都府県内に学校があるか、または居住する者を対象とした地域型の大学生協「インターカレッジコープ」も組織されている。

特徴

独占禁止法第23条5項の適用除外(いわゆる「除外の除外」)規定により再販売価格維持契約を遵守する義務を負わないため、書籍雑誌CDなどを市販価格(定価)の1割引程度の価格で組合員に対して提供している所が多い。文房具なども市価より安く提供している所が多い。ただし、民間などによる運営でも、生協と同じく商品の値引きを行う場合がある。

関連項目

外部リンク