外挿

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外挿(がいそう Extrapolation、補外とも言う):ある既知の数値データを基にして、そのデータの範囲の外側で予想される数値を求めること。またその手法を外挿法(補外法)という。

なお、外挿補間という呼び方も広まっているが、本来、補間とは、既知のデータを基にしてそのデータの範囲の内側の数値を予測することであり、内挿の同意語であるから、外挿補間という呼び方は誤りである。

当該数値データを、何らかの関数にあてはめ、数値データの無い範囲(外側)の値を推定する。最も簡単なものは、一次関数(直線)による外挿(直線外挿)である。

外挿の誤りの例

外挿の信頼性はその予測信頼区間によって表示される。予測信頼区間は不可能値にまで発散することもある。しかしその値域を超えて外挿を行うと、誤った結果を導くこともありうる。

例えば、新しい病気の死亡率は当初急激に上昇するかもしれない。その時、死亡率のグラフを線形的に外挿すると、人口のすべてが数年内にこの病気によって死亡するかのように見えてしまう。実際には、罹患者が死亡した後、生存者はこの病気にかかるのを避けるような行動をとるようになるので、新しく発見された病気の死亡率は低下するのである。さらにいえば、生存者が当初からこの病気に対して免疫をもっていることもありうるし、病気の流行に直面することによって後天的に免疫を得ることもありうる。病気の流行と死亡率の上昇を受けて、治療法も発達するかもしれない。人口が無限でなければ単純に線形的な外挿を行うことはできないのであり、人口を上回る速度で流行が拡大していれば生存者より死亡者の方が増えることになると予測される。

同様に、湖の水量が時が経つにつれ減少しているとしても、線形的に外挿を行えば、水が去った後は水量がマイナスになることになってしまう。これは理屈に合わないので、外挿が誤った変域で行われていることになる。

有限の値しかとらない時に無限値の変域を選んだり、負の値をとらない変域の議論を負の値をとる変域に適用するなど、不適切な変域を選択した外挿は誤りなのである。

関連項目