塩素化

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塩素化えんそか)とは化合物に塩素原子を導入する化学反応のことをいう。文脈によっては塩素化反応を使用した実験手法・技術のことを指す場合もある。

実際、塩素化に使用可能な置換反応付加反応は多岐にわたるので、この項では詳細には取り上げない。一覧で示された各項目も合わせて参照いただきたい。

工業的塩素化

工業的に塩素化する場合は、主に塩素ガスを使ってラジカル置換反応、塩化水素を使用したSN2反応やオレフィン等への付加反応が汎用される。

実験室での塩素化

ラジカル置換反応

塩素ガスのラジカル置換反応の制御は難しく、NCS(N-クロルスクシイミド)など等価体を塩素源として反応させる。

SN1反応 (置換反応)

塩化物イオンは求核性が他のハロゲンと比べて乏しいので、あまりSN1反応は利用されない。塩化チオニルを使った水酸基の塩素化は反応機構が協奏的に進行するので利用できる場合がある。

SN2反応 (置換反応)

三級のクロライドは相当する三級アルコールより、SN2反応によって容易に塩素化が可能である。一級、二級アルコールの場合は、脱離反応が平行して進行する場合があり、異性体が混入するか、予定していた異性体がまったくとれないことがある。

AdE反応 (付加反応)

オレフィンへの塩化水素付加はマルコニコフ則に従った成績体を得ることができる。マルコニコフ則に従わない成績体が必要な場合は、ヒドロホウ素化(hydroboration)等で迂回することになる。(通常、塩素化物は合成中間体とされることが多いので、そもそも塩素化を経由しない合成法を検討したほうが早い)。

カルボン酸クロライドの生成

カルボン酸誘導体を作る目的でカルボン酸クロライドをin situで生成する。この場合過剰量の塩化チオニルを使用するのが第一選択となる。このときN,N-dimethyl carbonyl chlorideを触媒的に作用させるために、数滴DMFを系中に加えることもある。

酸性条件や熱的に不安定なカルボン酸の誘導体化はカルボン酸クロライドを経由せずに、DCC-HoBT系縮合剤などを検討すべきである。

塩素化反応の一覧

関連項目