味噌煮込みうどん

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味噌煮込みうどん(みそにこみうどん)は、うどんの料理であり味噌を主とした煮込んだ日本料理

鍋焼きうどんの中でも、味噌味を主としたものを呼ぶ。

味噌仕立ての煮込みうどんは、味噌仕立てのほうとうが好まれる山梨県を始め日本各地にあり、味噌煮込みうどん・田舎煮込みうどん田舎風味噌煮込みうどん等と呼ばれている。

愛知県

愛知県では郷土料理としており、名古屋めしの一つとされている。名古屋めしという言葉が浸透する以前から既に名古屋名物として有名であり、単に「味噌煮込みうどん」とだけ言う場合でも、一般的にこの名古屋の味噌煮込みうどんを指す場合が多い。

戦国時代武田信玄の陣中食だったほうとうが、武田家滅亡後、徳川家に召し抱えられた武田家遺臣によって徳川家に伝えられたものであるという説や、明治時代、愛知県一宮市周辺で盛んであった繊維産業に従事していた女性従業員達が、ほうとうを参考にうどんと野菜を豆味噌で煮込み食していたものが名古屋市周辺に伝わったという説など、その起源には諸説あるが、いずれもほうとうにルーツを求めている[1]

名古屋圏で多く製造され消費される豆味噌は、他地域で産出される麦味噌や米味噌にくらべ、煮込んだ際に風味が落ちにくく、この地方では味噌をベースにした煮込み料理が多い。味噌煮込みうどんもその一つである。他の地方では、米味噌である白味噌ベースで作られている場合もあるが、赤みの強い八丁味噌などの豆味噌を使用するのは、概ねこの名古屋圏のみである。

鰹節の出汁を効かせた豆味噌(八丁味噌など)仕立ての濃い汁を特徴としている。太くて固い麺は「生煮え」「芯が残っている」と敬遠されることもある。

豆味噌が用いられる事がほとんどだが、一部の店では白味噌を用いた味噌煮込みうどんも存在する。

一人前用の小さな土鍋うどんを煮立てて、熱い土鍋をそのままに食卓に出され、すいとんほうとうなどと同じく、つゆや汁を別に作らずに、うどんを煮た汁はそのままの状態で食べる。

味噌煮込みに用いられる土鍋の蓋は空気孔がなく、煮ている最中には使わない。この蓋は食卓に出される直前に土鍋にかぶせられ、食事が始まるまで保温の役割を果たす。そして、食事が始まると、この蓋を小皿代わりにしてうどんとその汁を蓋によそって冷ましながら食べる。このため普通の土鍋の蓋のように空気孔があると汁が漏れ、食べにくくなってしまう。なお、この土鍋の蓋を皿代わりに使うのは効率化のためでもある。

用いられる具としては鶏肉月見卵ネギシイタケなどが一般的である。天ぷらをのせることもある。味噌煮込み専用麺は通常の麺と違い小麦粉と水のみで塩は使わない。塩を麺に練りこまないのは味噌の汁に塩が溶け込んで辛くなりすぎるのを防ぐためである。麺にはきしめんの麺を使用したり、美味しさにこだわるため手打ち麺で提供している場合もある。白飯と一緒に食べることも珍しくなく、また余った汁を米と一緒に炊き、おじやとする場合もある。店にもよるが、卵の乗せる位置は鍋の中心が多い。

名古屋圏では味噌煮込みうどんと白飯を一緒に食べる事があり、これはテレビドラマ『名古屋嫁入り物語』で、植木等演ずる主人公が、東京で味噌煮込みうどんを供するうどん屋において、「おおいっ! リャイスがにゃーじゃにゃーきゃ(名古屋弁で「ライスがないじゃないか」)!」と店員に怒鳴るシーンで描写されている。この地方で、単に「味噌煮込み」と言う場合は名古屋周辺の味噌煮込みうどんを指す。愛知県ではインスタント食品として袋に入った味噌煮込みうどんやカップ麺なども販売されている。

名古屋市以外でも、愛知県内の多くの店で販売されており、名古屋圏に属する岐阜県美濃地方、三重県北勢地方でも味噌煮込みうどんを扱う店は多い。

脚注

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関連項目

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