向山光昭

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向山 光昭(むかいやま てるあき、1927年1月5日-[1] )は日本有機化学者長野県伊那市出身。

東京大学名誉教授。東京工業大学名誉教授。元東京理科大学教授。前社団法人北里研究所基礎研究所有機合成化学研究室 名誉所員兼室長。現在、東京化成工業株式会社基礎研究所技術顧問。文化勲章文化功労者日本学士院会員・藤原賞全米科学アカデミー会員など。

略歴

業績

エノールシリルエーテルとカルボニル化合物をルイス酸触媒四塩化チタンなど)を作用させるとアルドール反応が進行することを発見。この反応は世界的に向山アルドール反応と呼ばれるほど有名なものである[1]。脱水反応はライフワークともいうべきもので、その手法は大員環ラクトンの合成法である向山-Corey法、糖類の立体選択的アノマー構築など数多くの素反応へと展開された。弟子に当たる光延旺洋がこれを継承し、発展させたものが高名な光延反応である。

東京理科大学時代、これまで有機素反応開発で名をはせた向山は、パクリタキセル(タキソール)の全合成に取り組み、わずか5年で達成した。その合成ルートはアルドール反応をうまく組み合わせ各置換基の立体が制御された非環形化合物をヨウ化サマリウムを用いた環化反応により八員環(B環)を始めに構築するという非常に特徴的なものであった[1]。これはタキソール全合成5例目に当たる。

東京理科大学退職後、北里研究所に異動し、その後も塩化スルフィンイミドイルを用いるアルコール酸化反応や、最近ではキノン - ホスフィンの酸化-還元系を用いる酸化還元縮合反応なども手がけ、今もなお精力的に研究を続ける。

2004年、有機合成化学協会より全米科学アカデミー外国人会員に選出され、また喜寿を迎えたことを記念してMUKAIYAMA AWARDが創設された。2008年には80歳の誕生日を記念し、ケミストリー・アジアン・ジャーナルの第3巻第2号[1]が向山に捧げる記念号として出版された。

門下生

門下に国内だけで30人以上の教授がおり、日本有機化学界の父とも呼ぶべき存在である。畑辻明、桑嶋功(東工大名誉教授、北里大)、植木正彬(東理大・院理)、奈良坂紘一(南洋理工大学・Division of Chemistry & Biological Chemistry)、猪股勝彦(金沢大・理)、中村栄一(東大・院理)[2]光延旺洋青山学院大・院理)、山口雅彦(東北大・院薬)、鈴木啓介(東工大・院理工)、西郷和彦(東大・院工)、岩澤伸治(東工大・院理工)、村上正浩 (京大・院工)、市川淳士(筑波大・院数理)、小林進(東理大・院薬)、硤合憲三(東理大・院理)、林雄二郎(東理大・工)、小林修(東大・院理)、田辺陽(関学大・理工)、椎名勇(東理大・理)、折山剛(茨城大・理)、など。

脚注

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  1. 1.00 1.01 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 テンプレート:Cite journal
  2. テンプレート:Cite web