名鉄2200系電車

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テンプレート:鉄道車両 名鉄2200系電車(めいてつ2200けいでんしゃ)は、2005年(平成17年)1月に運用を開始した名古屋鉄道特急形車両

本項では、1600系を2200系に準じた改造を行った1700系電車(1700けいでんしゃ)および一般車の2300系電車(2300けいでんしゃ)についても記述する。また、解説の便宜上、個別の編成を指す場合には編成の豊橋・中部国際空港方向の先頭車の番号を取り2201F(Formation = 編成)のように表記する。

概要

これらの形式は従来運行されてきた前面展望を売りにしたパノラマカーグループに代わって、21世紀における名鉄の特急型標準車両として導入されたグループである。パノラマカーの各形式が視界を確保するために、客室を高床構造としたり運転席を2階に設けるなどの工夫がなされていたのに対し、実用本位な設計が特徴的である。

また、パノラマカー系列にはパノラマカーを名乗る(7000系電車)をはじめ、パノラマDX(8800系)、パノラマSuper(1000系電車1600系電車)などファンのみならず、車両ごとに会社が公式に認める愛称があるのが慣例であった。本系列と同時に登場した2000系には「ミュースカイ」という愛称が付けられたものの本系列にはつけられていない。名鉄内での運用上の略号は共通運用されている1700系(後述)とともに「C2」と総称されている。

2200系

概要

中部国際空港が2005年(平成17年)2月に開港するのに先立ち、同年1月の空港線の開業に合わせて運行を開始した特急型車両である。

当初の岐阜方面からの空港アクセス計画では、全車特別車の特急と1600系に3500系通勤車を併結した一部特別車の急行を毎時1本を予定していたが、計画変更により一部特別車の急行は専用の編成による一部特別車の特急で運用されることになったため、2000系をベースにした本系列が製造されることとなった。

本系列の呼称は当初、編成全体を以て2200系であったが、後述する1700 - 2300系の登場後は、一般車を別形式の2300系と見做して2200 - 2300系とする呼称・表記も一部に見られるようになった。

車体外観

車体は軽量鋼製19m級車体で、全体的に2000系ミュースカイと酷似しているが塗装は2000系が青と白をベースにするのに対して、本系列では赤と白をベースにしている。赤色は名鉄の説明では、従来からの名鉄特急のブランドイメージを引き継いだ色だという[1]。また、車両前面の構造は2000系が貫通構造で連結時に開閉させて幌を出せるのに対し、本系列ではいずれの方向も非貫通構造で開閉できない。ただし、本系列ではこの部分にはマジックミラーが設置されており、車内から景色を見ることができる。

車体断面形状は全車同一であるが、側面の外観は車両によって異なり、6両編成中の豊橋・中部国際空港方向の2両(特別車)は2000系に準じた各車両片側2つドア、岐阜・新鵜沼方向の4両(一般車)は3300系に準じた各車両片側3つドアとなっている。なお、いずれのドアも両開きで戸袋に収納される引戸である。ドアの幅は一般車が1300mmで、特別車のそれの1000mmに比べて広くなっている。また、特別車と一般車では屋根上に搭載される冷房装置[2]が異なり特別車は15000kcal/hの集約分散式を1両につき2基、一般車では40000kcal/hの集中式を1基搭載している。

集電装置として屋根上にシングルアーム式パンタグラフを3基搭載するが、この向きが特別車(先頭車モ2200の後位に搭載)と一般車(3300系と同じ配置)とで異なっている。これはモ2200形が2000系のモ2100形を方向転換した形で設計されたためである[3]

客室設備

特別車・一般車共通

本系列は1600系や2000系と同様、もともと空港特急用として登場したため、日本語と英語の2ヶ国語対応の自動放送装置が搭載されている。自動放送は快速特急・特急運用の際に使用され、快速急行以下の列車で運用される場合の車内放送は車掌の肉声によるものとなる。内容は2000系と同様なもので、中部国際空港行き特急に運用された場合のみ専用のチャイムが流れる他、常滑駅→中部国際空港駅間走行時と中部国際空港駅での折り返し待ちの間にはBGMが流れる。それ以外の行き先の列車で運用される場合は1600系で初採用となったものと同じ車内チャイムが流れる。放送の内容は種別・行き先や停車駅の案内の他、ドアの開閉前には注意喚起の自動放送が流れる。このほか、バリアフリー対策として、ドアチャイムを装備。警笛はデュアルトーン(和音)の空気笛とミュージックホーン・電子ホーンを装備する。

特別車(愛称「μ(ミュー)」)

ファイル:名鉄2000系ディスプレイ.JPG
特別車のLCDディスプレイ

6両編成中の2両(1号車と2号車)が該当する。基本的な構成は2000系と同様なもので、客室と出入り口がデッキを挟んで仕切られている形で、客室の座席は通路を挟んで2+2列の青緑色の回転式リクライニングシート。シートの背面にはテーブル、および乗車券などを挟めるチケットホルダーが付いている。照明は落ち着いた感じを出す間接照明式を採用。側窓は開閉不能で、カーテンは自由な位置で止めることのできるフリーストップ式、窓際部分には上着をかけられる突起も用意されている。

2号車にはトイレと洗面台が設置されている。トイレは洋式のものと名鉄の車両で初めて男性用小便器を設置した。また、オムツを替える台も設置されている。

客用案内表示として日本語・英語による自動放送の他にデッキ部分にLCDが設置されており、現在位置や行き先を視覚的に知ることが出来る他、中日新聞ニュースなども流れる。

一般車

6両編成中の4両(3号車から6号車まで)が該当する。基本的な構成はほぼ同時期に登場した3300系通勤形電車を基本とし、座席は紫色の転換式クロスシートとロングシートをドア間毎に交互に配置するセミクロスシート配置で、中間車3両は3300系と同様にクロスシートとロングシートの割合が約半々で窓配置も同様であるが、岐阜寄りの先頭車であるモ2300形は豊橋寄りのドア間1区画4列のみがクロスシートであるため、他の車両よりもロングシートの割合が多い。また、同形式は乗務員室の奥行きの関係でその直後に座席と側窓がないことと、補助席を収納して設ける車椅子スペースの位置も3300系との客室設備上の相違点である。照明は直接照明式。側窓は車端側の上部だけ内折れ式に開閉可能で他は固定式とされ、UVカットガラスが採用されたため、カーテンは設置されていない。側窓の内枠も1200系のようなFRPではなく、3300系などと同じアルミ部材である。

客用案内装置は特別車のLCD方式に対して、3300系と同様な2段表示が可能な3色LED方式のものとなっている。

3・4・5号車は中間車であるが、車掌の車内巡回中にも停車駅での客用ドア開閉と出発合図が可能なように戸閉めスイッチと連絡用ブザーが設置されている。

運転・走行機器

主電動機(走行用モーター)の制御装置にはVVVFインバーター制御を採用。架線を流れる直流電流を三相交流に変換しかご形三相誘導電動機を制御する。制御装置はIGBT素子を用いる東芝製、IGBT素子をベースに他の部品も一体化させたIPM回路を用いる三菱電機製の2種類があるが性能的には同等となっている。この装置は電動車に搭載し、1台で主電動機2台を制御する[4]。本系列では電動車1両につき主電動機を4台搭載するため、電動車1両につき制御装置を2台搭載していることになるが、東芝製と三菱製を混在させては使用しない。また、編成単位でみた場合1編成6両につき電動車は3両あるため、制御装置は6台搭載していることになるが、編成単位でみた場合もメーカーは揃えられている[5]

主電動機には2000系と同一の東洋電機製造製かご形三相誘導電機[6]を採用。この主電動機の定格出力170kWという値は本系列や2000系にとどまらず、1700系を除く名鉄のVVVF車両に共通する出力となっており、これを電動車1両につき4台搭載する。主電動機の回転力を車軸に伝える方式はWNドライブ式で歯車比は5.65となっている。台車は住友金属工業ミンデン式台車でいずれもボルスタレス構造・踏面ブレーキ・ヨーダンパを採用しており形式は電動車が車輪直径810mmのSS164系、付随車が車輪直径860mmのSS064系となる。なお、特別車には防音車輪を採用して静粛性を向上させており、形態が微妙に異なる。

ブレーキシステムは回生ブレーキ付の電気指令式空気ブレーキで、停止直前まで回生ブレーキだけが作動する純電気ブレーキ機構が搭載されており、踏面ブレーキなどの摩擦系ブレーキの使用回数を減らし、ブレーキシューの摩耗を低減している。同じように電気指令式ブレーキを採用する3100系・3150系通勤形電車との併結運転に対応しているが、これらの起動加速度(2.0km/h/s)および非常減速度が低いため、特に起動時は加減速性能を極力揃えた1000系・1200系1800系との併結運転よりも若干の違和感があり、起動加速度も落ちる。ただし高速性能に関しては同等であり、実際には併結運転は停車回数の少ない優等列車の運用のみであるため、これによる運転時分への影響は皆無に等しい。

照明や空調装置の電源には75kVAの静止型インバーター(SIV)を採用、制御装置と一体化しており制御装置の製造メーカーがSIVも制作しているため仕様は同じだが型式が異なる。また、ブレーキに使う圧縮空気をつくる電動空気圧縮機(コンプレッサー、CP)[7]は一般車の付随車に搭載している。もっとも、前述のように制動時には回生ブレーキなどの非摩擦系のブレーキ主体で停車することが可能で、ドアの開閉もモーター駆動であるために、圧縮空気がさほど消費されずCPの作動頻度は少ない。

運転台はコンパクトにまとめられている。基本的に2000系と同一であるが、本系列は先頭部分が非貫通構造で乗務員室内に余裕があるため、一部のスイッチ類が中央部に置かれている点が異なる。マスター・コントローラーは加速・減速操作が一体化した右手で動かすワンハンドルタイプで、ノッチは加速が5段階、減速が7段階の範囲で調節できる。

保安装置

自動列車停止装置(ATS)と列車無線のほか、運転士の体調の急変に備えEB装置を装備する。

製造年次による違い

1次車

2004年度(平成16年度)製造分で、2201F - 2204Fが該当する。落成当初、特別車は2次車と比較して座席が1列分多く、その分荷物置き場が少なく、座席背面のチケットホルダが装備されていなかったが、2次車落成時に1人掛け座席を車椅子対応席を残して撤去して、荷物置き場が増設となり、座席背面にチケットホルダが取り付けられた。一般車はクロスシートが3300系と同様、横2+2列の配置でこの部分にはつり革が装備されておらず、客室内の手すりはピンク色となっている。また、天井の冷風吹出口はFRP製である。

2次車

2007年度(平成19年度)製造分で、2205F - 2209Fが該当する。それまではごく一部を除いて全車特別車での運行が基本であった、犬山線 - 河和線系統の特急の約半数を一部特別車での運行とするために導入されたもので、特別車は車椅子対応席以外の1人掛け席が荷物置き場となり、窓配置が変わった。また、当初より座席背面にチケットホルダを装備する。一般車はクロスシートが横2+1列の配置に変更された。このため、一般車の座席定員はモ2300形で4名、他の3両では6名ずつ減少し、全体定員は4両合計で10名増えた。また、3150系2次車と同じく手すりの色もライトブルーパープルに変わっているほか、クロスシート部分にもつり革が設置された。また、天井の蛍光灯間(冷風吹出口・ラインデリア周り)のパネルがFRP製からアルミデコラに変更されたため、1次車とは天井中央部の見付けに差異が生じている。この5本の編成は営業運転開始当初、常滑駅発車直後に流れるBGMが映画八十日間世界一周』のテーマ曲「Around the World」となっていたが、すぐに従来車と同じBGMに変更された。

衝突事故

2204F

2010年末ごろ、2204Fは名電赤坂駅 - 御油駅間における鹿(シカ)との接触事故により、特別車側の先頭車(2204号車)のスカートが破損、中央部分のみ撤去され、一般車側の先頭車(2300形)と同じような形状になっていた。しかし、2300形のように縦にまっすぐ撤去された訳ではなく、従来のスカートには切れ込みがあり、その部分に沿って撤去したため、少し内側に従来のスカート接続部分がはみ出ている。翌年2月中旬に舞木検査場で復旧工事が行われ、原状を回復した。

1700系

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概要

2008年12月27日のダイヤ改正から、2000系ミュースカイを除く全車特別車特急を廃止するという計画に基づき、全車特別車編成であった1600系は一部特別車編成(特別車2両、一般車4両)へと改造・改番された。3両編成に組成されていた1600系のうち、2008年度中に豊橋方先頭車(ク1600形)4両を廃車とし、残った2両(モ1700形+サ1650形)×4本を改造のうえ1700系「特別車」として整備したものである。これに新造の「一般車」4両組成の2300系を加え、1700 - 2300系6両編成の「一部特別車」となった[8][9]

1600系はもともと乗客の少ない路線での運用を目的として3両編成で製造された車両であるため、改造と組成変更にあたって余剰車の発生が避けられなかった[10]。これにより、余剰となったク1600形4両は転用先や譲渡先が見つからなかったため、登場から9年で使命を終えることとなった。ク1600形の台車電動空気圧縮機蓄電池などの一部の機器は新製された2300系に転用され、モ1700形に設置されていた自動解結装置および操作盤はモ2330形に移設されている。また、常滑線・空港線で空港特急として2200系および1700系による新編成13本が出揃い、1200系系列の中部国際空港を発着する特急列車の任を解かれた[11]

方向転換により豊橋・中部国際空港方となった運転台付きの電動車モ1700形をもって新たに1700系の系列名が与えられたが、それに続く中間付随車は1650形のままで改造による改番などは行われておらず、1700系となった系列呼称との間で上2桁の番号のずれが生じている[12]。またこの改造・改組によって、1000 - 1200系などと同様の上り方と下り方で前頭形状が異なる一部特別車編成が久々に登場することになった。

改造点

改造にあたり構体にはほとんど手が加えられていないが、下記の改造が施工された。

全車共通
室内の見付けは2200系特別車とは異なるが、中部国際空港アクセス輸送を考慮して一部の座席を荷物置き場に変更するなど2200系2次車の特別車に準じた仕様となっている。車両両端の一人掛け座席がサ1650形の1か所(車椅子対応)を残して撤去され、代わりに荷物置き場(モ1700形4か所、サ1650形3か所)が設置された。改造後の定員はモ1700形が48名、サ1650形が45名となった。なお、モ1700形はモ2200形に比べて全長が長いため座席1列分4名定員が多い。座席のヘッドレストカバーは「パノラマSuper」のロゴの入ったものから「MEITETSU」のCIロゴの入ったものに変更された。同時に座席背面にチケットホルダも取り付けられた。また、車体側面の号車番号表示は7セグメントマグサイン式からマグサイン風のステッカー貼付とされた。1700系に改造された後も、LED式案内表示の特急・快速特急の英語表記は、最初に「PANORAMA SUPER」と表記されていたが、しばらくして元に戻った。
車体外部の塗装は2200系に揃えられ、前頭部が、貫通扉周りが、側面はで、前面隅と屋根肩部分に帯を配している。2200系の特別車にあるような号車番号表示を兼ねる大きな「1」や「2」のロゴは表記するスペースがないため採用されなかった。
客用ドア閉扉時の自動アナウンスは「を閉めます、ご注意下さい」から、「ドアを閉めます、ご注意下さい」に変更された。同時に「ドアが開きます、ご注意下さい」開扉時自動アナウンスも追加された。全車特別車編成時代には車内チャイムは1種類のみだったが、2200系同様に中部国際空港行き専用チャイムと常滑〜中部国際空港間の走行中と中部国際空港で発車待ちの際に流れるBGMが追加された。
種別・行先表示器については運用開始後しばらく改造前の字幕式で存置されていたが、検査入場時に前面表示器については順次フルカラーLED式に変更された[13]
モ1700形
前面貫通扉下部に設置されていた「パノラマSuper」の電照表示器[14]、自動装置とM式自動解結連結器が撤去され、それに伴い排障器(スカート)下部の左右は一体化された。パンタグラフはシングルアーム式で、位置は引き続き前頭側である[15]警笛は、デュアルトーン(和音)の空気笛とミュージックホーンを装備する[16]。従来より搭載していた出力200kWのかご形三相誘導電動機は継続使用されるが、MT比の変更に伴いそのままでは過剰性能となるため、2300系の加速特性に合わせてVVVFインバータ装置の制御プログラムが変更されている。歯車比は変更されていない。また前灯もシールドビームのままである。
サ1650形
パンタグラフと車内の清涼飲料水自動販売機を撤去、車輪は防音車輪に変更された。側面には2000系・2200系同様に「Series 1700」のエンブレムが貼付された。特徴としてはパンタグラフの撤去跡の空間である。なお、撤去されたパンタグラフは2300系に転用された。また改造ではないが、方向転換によってトイレ洗面所の位置が2200系と同じ配置になった。モ1700形が純電気ブレーキ装備ではないため、元から搭載していたC-1500型電動空気圧縮機が残され、空気圧縮能力を確保している。
旧1601F
2000系に対して2200系がそうであるように、車体傾斜関連の機器は撤去された。旧1601F以外の編成についても車体傾斜機能の追加装備に対する準備工事がなされていたが、それら関係機器についても同時に撤去された。

沿革

  • 1999年平成11年)
  • 2008年平成20年)
    • 6月28日 : ダイヤ改正で1600系の定期営業運転を終了。
    • 7月13日 : 三河線にて1600系としてのさよなら運転が実施される[8]猿投駅構内の検車場を出庫し、豊田市駅で乗客を乗せて土橋駅 - 知立駅間を2往復し、再び豊田市駅に戻って最後の客扱いを行い、猿投駅に戻るという行程であった。三河線で本系列が営業運転されたのはこれが唯一の事例である。土橋駅では撮影会および運転台見学会も開催される。なお、運転時には「パノラマSuper」に代わって「1600系 Last Run 3両運転」と表記された特製愛称板が装着される。
    • 8月17日深夜 - 8月18日早朝 : 舞木検査場から大江駅まで廃車回送が実施され、その後ク1600形4両は解体工場へ陸送される[17]
    • 10月28日 : 一般車2300系が甲種輸送される。
    • 11月11日 : 本線試運転を開始。
    • 12月2日 : 1703 - 2333Fを舞木検査場で報道陣に公開。「リサイクル車両」であることがアピールされる。
    • 12月26日 : 1700 - 2300系の「一部特別車」6両編成として、翌日のダイヤ改正を待たずに営業運転を開始。

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2300系

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概要

本系列は、2008年に廃車されたク1600形の走行用機器を一部使用して上記の1700系との組成をさせて製造された特急用一般車車両である。一部特別車特急の編成不足を捕うため、4両編成4本(16両)が落成された。2200系2次車の一般車とほぼ同一仕様であるが、車両番号は2200系の連番ではなく、豊橋方からサ2430+モ2480+サ2380+モ2330とされ、それぞれ31・81からの付番となっている。この処置は2200系の編成単位での追加増備を考慮したのと、編成内の一部機器に廃車となったク1600形の機器が再使用されていること、制御機器等が従来の2200系とは厳密に言えば異なっていることによるものである。なお、過去に名鉄で「2330」を名乗った車両にはモ910形を電装解除したク2330形の例があり、本系列は2代目となる。基本的には2200系一般車の2次車と外観を含め同仕様であるが、一部変更点がある。

なお、この車両は2330系と呼ばれることもあるが、正式な形式名は2300系である[18]

側窓の位置自体は特別車に比べて一般車の方が高いが、天地寸法は1600系の窓が元々大きめだったため、その差は2200系に比べれば小さい。一般車の室内高が2,305mmで、名鉄の冷房車では最も高い点は2200系と同じである。制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御(1C2M × 4群、一基のインバータ装置で2個のモーターを制御する4組で構成)で、定格出力170kWのかご形三相誘導電動機を駆動する。VVVFインバータの制御パターン、ミュージックホーンの音色、主電動機の出力そして歯車比は1700系とは異なる。客用案内装置は1700系(特別車)の1段表示が可能な3色LED方式になっているのに対して、2200・3300系と同様な2段表示可能な3色LED方式のものとなっている。デュアルトーン(和音)の空気笛と日本語と英語の2ヶ国語対応の自動放送装置・車内チャイムおよびドアチャイム・回生ブレーキ付き電気指令式空気ブレーキは廃車となったク1600形の装置を流用し、2000・2200系と同様のミュージックホーン・電子ホーンならびに中部国際空港行き専用チャイム・常滑〜中部国際空港間の走行中と中部国際空港で折り返し待ちで流れるBGMと純電気ブレーキおよびドアの開閉前での注意喚起の自動放送装置を新設した。

2200系からの変更点

  • 方向転換した1700系との連結のため、サ2430形の豊橋側で引き通し線を逆転させている。
  • 種別・行先表示器はコントラストが低く昼夜ともに被視認性に難のあった三菱電機オーロラビジョン R-STAYからフルカラーLED式に変更された(3150系も本系列と同じ年に製造された3次車からはLEDに変更となっている)。
    • 中部国際空港行きに運用される際の航空機マーク表示は、2200系での種別側表示に対し行先側への表示に変更されている。
  • 材は従来のブルーグレー系の濃淡2色から淡いブルーグレー系の単色に変更となり、出入り口付近が黄色となった。
  • 豊橋・中部国際空港方の車端部のロングシート10席はすべて優先席となり、この部分のスタンションポールとつり革は黄色にすることで他の座席との区別を図った。
  • 先頭車前面中央部はモ2300形では厚さ8mmポリカーボネート製であったが、モ2330形の前面中央部はこれを鋼板に変更した上でシルバーメタリック塗装とした。そのため、外観上はマジックミラーになっている中央部の窓がモ2300よりも目立っている。
  • 特別車と一般車(1700系 - 2300系)の間には段差が生じており、その部分の貫通扉には注意を促すステッカーが貼られている。

2200系一般車との共通点

  • 岐阜方先頭車のモ2330形には乗務員室直後の座席と側窓がなく、ロングシートの比率が高い。
  • 車外の号車番号表示はマグサイン風のステッカーとなっている。
  • 車内の客用ドア上部には千鳥配置でLED式の車内案内表示装置旅客用案内表示装置が設置されている。
  • ミュージックホーンの音色は2000・2200系と同じトランペット的である。

主要諸元

  1. 転送 Template:Right

1700系については1600系の項を参照のこと。

  • 起動加速度:2.3km/h/s(単独走行時)、2.0km/h/s(他形式*1と併結した場合)
  • 減速度:3.5km/h/s(常用)、4.2km/h/s(非常:単独走行時)、4.0km/h/s(非常:他形式*1と併結した場合)
  • 営業最高速度:120km/h(130km/h運転の準備がされている)
  • 平坦均衡速度:130km/h以上
  • 主電動機:かご形三相誘導電動機(170kW・1,100V・114A・1,960rpm)
  • 歯車比:96:17=5.65:1
  • 定員:特別席92名→89名*2(2200系)
*1:3500系、3700系、3100系、3300系、3150系
*2:2007年度2次車投入に伴って1次車も荷物置場を増設し統一。

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編成

  テンプレート:TrainDirection
座席 特別車 一般車
2200系(一部特別車) モ2200
(Mc)
サ2250
(T)
サ2400
(T)
モ2450
(M)
サ2350
(T)
モ2300
(Mc)
1700 - 2300系(一部特別車) モ1700
(Mc)
サ1650
(T)
サ2430
(T)
モ2480
(M)
サ2380
(T)
モ2330
(Mc)
  • 1700系として使用されている2両は、改造にあたり豊橋方に連結されるため枇杷島三角線で方向転換され、前記したように舞木検査場にて改造施工後、順次塗色変更が行われ一般車と連結された。

運用

登場当初は名鉄岐阜 - 中部国際空港間と名鉄名古屋・金山駅 - 中部国際空港駅間の系統をメインに平日朝のみ、新鵜沼発豊川稲荷行きとその折り返しの名古屋行き特急、空港線開業当初のダイヤで設定のあった早朝の名鉄一宮駅始発の中部国際空港行き特急[19]からの折り返しの常滑発須ヶ口行き普通などで使用されていた。2005年2月17日の中部国際空港開港後は見物客などによる空港線の大混雑が続いたため、一部列車で本系列の岐阜方に3100系あるいは3150系を連結した8両編成での運行も行われ、翌年4月のダイヤ改正まで見られた。

2次車導入を受けて行われた2007年6月30日のダイヤ改正からは名鉄岐阜 - 豊橋間の快速特急・特急(これ以前にも何度か代走で使用されたことはある)、前出の豊川稲荷行きへの送り込み列車である平日夜の神宮前発新鵜沼行特急(これ以前は回送で送り込まれていた)や平日朝の河和発名鉄名古屋行特急(往路は金山発河和行き急行として運転されていた)に運用されるようになった。本線では前年の改正でいったんは消滅していた3100系・3150系との併結運用が再び行われるようになった。2007年7月28日尾張津島天王祭に併せて津島駅始発の臨時特急列車2本が運行され、うち1本は一部特別車として2203Fで運転された。また、同年10月下旬には2207Fが1200系の代走で新鵜沼 -河和間の特急のうちの一部列車に充当され、同28日には初めて各務原線三柿野駅まで乗り入れた。

2008年12月27日の改正からは1700系と共通運用されるようになり、犬山線や河和線での運用が増加した他、平日の夕方には河和発佐屋行き特急のうちの1本にも使用されるようになった。(折り返しは名古屋まで回送)また、1200系と同様に朝には間合い運用として快速急行以下の列車への充当もある。この場合は特別車は利用できず、特別車の側面の行き先表示には「締切」と表示される。なお編成全長が1000 - 1200系より2m余り短いため、中部国際空港行きや豊橋行きなどの名鉄名古屋駅における先頭停止位置は1000 - 1200系よりも後方として、一般車の乗車位置を極力合わせている。なお、1700系は豊橋中部国際空港方先頭車である1号車の車両長が2200系より少し長くなっている。そのため、名鉄名古屋駅 名鉄金山 神宮前では豊橋・中部国際空港行きなどの先頭停止位置を2200系に合わせている関係上一般車の扉位置がわずかに異なっている。 最近 名鉄金山 神宮前でも[2200]と書かれた停止位置目標が設置された。 2011年3月26日の改正からは、今まで入線することのなかった知多新線にも特急で入線するようになった。

運用の変遷

  • 2005年1月29日 空港線開業にともなうダイヤ改正により運用を開始(2200系1次車)。当時はもっぱら中部国際空港駅 - 名鉄岐阜駅間での特急運用が主体で、これ以外ではいずれも平日朝間帯にのみ、新鵜沼駅豊川稲荷駅名鉄名古屋駅間の特急、常滑駅須ヶ口駅行き普通、中部国際空港駅発太田川駅行き急行の運用が設定されていた。 また、いずれも1000 - 1200系の代走で本線特急に使用されたり、津島線での運用(平日朝の普通)に就いたりする事もあった。
  • 2006年4月29日 ダイヤ改正により、それまで早朝の名鉄岐阜駅発中部国際空港行き特急で1本が設定されていた、3100系または3150系と併結した8両編成での運用がいったん消滅した。また、それまで金山駅発着であった夕・夜間帯の中部国際空港駅発着の特急が名鉄名古屋駅まで区間延長された。このほか、平日朝の太田川行き急行の運用が消滅した。
  • 2007年6月30日 ダイヤ改正。2200系2次車就役により、新たに豊橋駅 - 名鉄岐阜駅・中部国際空港駅間系統の特急でも定期運行を開始。これにともなって、前年4月改正時に消滅していた3100系または3150系との併結運用が再開されたほか、名古屋本線と河和線において、早朝や深夜の快速急行以下の列車への使用が開始された。このほか、いずれも平日に限り、朝に1往復のみながら名鉄河和線での定期運用が設定されたほか、夜間に神宮前駅発新鵜沼行き特急が1本設定された。一方で、平日朝に設定されていた常滑駅発須ヶ口行き普通の運用が消滅した。また、常滑線では平日の朝間帯に限り、8両編成での運用も再開された。
  • 2007年10月 2207Fが1200系の代走で犬山線 - 河和線系統の特急に初めて使用され、同28日には臨時の区間延長で各務原線三柿野駅 - 新鵜沼駅間で初めて営業運転が行われた。なお、これ以降も翌年12月の改正まで、犬山線 - 河和線系統の列車の特定のスジでの代走が時折みられ、すべて6両で運行されていた。
  • 2008年12月27日 ダイヤ改正。1700系就役により、中部国際空港駅発着の一部特別車特急は代走の場合を除き、すべて本系列(2200系または1700系)に統一された。また、犬山線と河和線での運用が増加し、全日と平日の夕間帯に犬山線でも8両編成での運用が見られるようになった[20]ほか、津島・尾西線(須ヶ口駅 - 佐屋駅間で平日夕間帯のみ)と広見線(朝の上りのみで、休日にのみ犬山駅→新可児駅間の普通運用が1本設定)での定期運行が開始された。
  • 2011年3月26日 ダイヤ改正により、知多新線での定期運行が開始された。一方で、平日の広見線での定期運用が消滅した。これ以外でも運用に変化があり、河和線での運用が減少[21]した一方、平日の犬山線での運用が増加し、同線において8両編成で運用される機会が増加[22]した。また、犬山線や豊川線では朝間帯に急行(豊川線は平日のみ)や普通(休日の犬山線のみ)での定期運行も開始された。

運行区間

2011年3月26日ダイヤ改正後の運用路線

快速急行以下の列車へ充当されることもあるが、その場合は特別車は締め切りとなるため一般車のみの利用となる。現在、2200系9編成と2008年12月27日ダイヤ改正で運転開始した1700 - 2300系4編成とは基本的に共通運用となっている。このほか西尾線でも一部特別車特急が設定されているが、1000 - 1200系によって運用されており、本系列は西尾線での定期運用はない。

その他

脚注

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参考文献

  • 名古屋鉄道(株)車両部車両課 新川彰浩「新車ガイド 名古屋鉄道1700系」『鉄道ファン』2009年2月号(通巻574号)P.68 - P.72 交友社

外部リンク

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関連項目

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  1. 名古屋鉄道ホームページの2200系車両紹介より
  2. いずれも東芝製で形式は特別車がRPU6018型、一般車がRPU11020型。
  3. その結果として両先頭車が制御電動車の編成となった。改造後の1700系についても同様である。京浜急行電鉄の「先頭電動車主義」は有名であるが、名鉄ではそこまで徹底してはいない。
  4. いわゆる1C2M制御。ちなみに2000系は1台の制御装置が3台の主電動機を制御する1C3M制御。
  5. 末尾1・2・5 - 7の編成が三菱製、同3・4・8・9の編成が東芝製。なお1700系と組成する2300系2330番台車は同1・2が東芝製、同3・4が三菱製。
  6. TDK6382B型。定格出力170kW・端子電圧1,100V・定格電流114A・定格回転数1,960rpm。
  7. 三菱電機製。C-1500型。能力1500L/min
  8. 8.0 8.1 名鉄公式サイト内「1600系さよなら3両運転」の実施について
  9. 名鉄公式サイト内・平成20年12月27日(土)にダイヤ改正を実施~ もっと身近に ますます便利 ~
  10. 過去に同様の編成替えを行った1000系は2両+2両に分割して半数を方向転換したが、3両では大改造が避けられない。また幌も固定側と可動側があるため、改造が必要となった。
  11. 同系列は元々本線特急のために作られた車両であるため。
  12. 経緯は異なるが、過去にも5700系の6両編成化用中間車を5600番台とした例がある(現在は該当する4両のみで組成)。いずれにせよ豊橋・中部国際空港方の先頭車が6400番台である6500系に比べれば、さほど慣例から外れている訳ではない。なお1700系ではまさにそのサ1650形に「Series 1700」のステッカーが貼付けられている。
  13. 名鉄1700系の前面表示器がLED化される|鉄道ニュース|2009年6月7日掲載|鉄道ファン・railf.jp:
  14. これが撤去されたことは即ち、2200系と同様に公式な愛称がないことを意味する。
  15. 名鉄の現有旅客車でいわゆる「前パン」は唯一の存在である。
  16. ミュージックホーンの音色は1000系と2000系の中間に当たり、ややトランペット的である。
  17. 「名鉄ク1600がトレーラで輸送される」『鉄道ファン』・railf.jp
  18. 名古屋鉄道ホームページの1700系車両紹介より
  19. こちらは平・休日とも運転。この列車はその後の2007年6月改正で5300・5700系4両編成による全車一般車特急に変更、更に翌年の12月改正で快速急行に変更されて現在に至っている。
  20. ただし、同改正時点ではさほど多くはなく、休日は午前中に犬山駅→豊橋駅→新鵜沼駅間のルートで3往復の設定であったものの、平日は朝に犬山駅→豊橋駅に片道1本と夕・夜間帯に新鵜沼駅 - 豊橋駅間に1往復半の設定に過ぎなかった。
  21. 平日は昼間帯の列車が全車一般車での運行に変更されて主に5300・5700系で運行される様になったため、休日は昼間帯の列車が代走の場合を除いてすべて1000 - 1200系での運行となったため。
  22. 朝間帯は上りは新鵜沼駅→中部国際空港駅に1本、下りは豊橋駅→新鵜沼駅間に3本で、夕・夜間帯は上りは新鵜沼駅→豊橋駅間に5本、新鵜沼駅→伊奈駅間に1本、下りは豊橋駅→新鵜沼駅間に5本の設定となった。
  23. EMU700型紹介ページ(中文)